これからの婚活に必要なものは「プロデュース力」? 日本の婚活の歴史から考察
条件婚活にも落とし穴が……
現代の婚活を見ていると、その効率の良さに驚かされる。年収や子どもの希望、両親との同居の可能性など、本来なら相手とコミュニケーションを重ねて聞き出すべき情報が、プロフィールを見るだけで知ることができる。自分が思い描いている未来にマッチしない相手とはそもそも恋愛関係にならないので、不毛な出会いがない。離婚に繋がらない結婚を手に入れるためにも理想通りの相手を見つけることは重要だ。
しかし、現代ではマッチングアプリのようなテクノロジーの発展を活かした条件婚活が主流になってきているからこそ 、新たな問題も生まれている。マッチングアプリはお見合いとは違い、多くの人とつながれるところが利点だが、それはデメリットにもなる。実際、筆者は周りで、選択肢が多すぎてどの人に決めたら「正解」なのかが分からないという声を聞いたことがある。限りなく広がる「つながり」の中でプロフィールを吟味し、「どんな人を選べば後悔しない結婚生活を手に入れられるのだろう」と考えて婚活を行っている人が多く、一番必要であろう“恋愛感情”がおざなりになっているのだ。現代の独身者にとって婚活とは、様々な相手の条件を天秤にかけながら結婚後の生活を予測する作業になっているのかもしれない。
これからは「プロデュース力」を活かす婚活を
婚活市場はさらに多くの人と繋がれるよう、テクノロジーが発展していくように思う。そのため、これから先の時代ではプロフィールだけで弾かれないよう、自分を売り込む「プロデュース力」が必要になっていくように思う。例えば、マッチングアプリの自己紹介文で「この人、面白そう」と思ってもらえるようなアピールができたら、気になる存在として印象に残り、出会いのチャンスが増える。
結婚相談所を活用する時にも仲人となってくれるスタッフに自分の人柄をアピールして売り込んでいくことができたら、プロフィールでは見えない良さをスタッフが伝えてくれ、気になる相手とも恋人関係が築けやすくなるだろう。実際、筆者の周りではプロフィールを見て躊躇していた相手の人間性を結婚相談所のスタッフに勧められ、一度会ってみたところ、人柄や価値観に惹かれて結婚に至った友人もいる。
条件婚活で重視される「条件」の中には年収のように、自分の努力では相手の理想に近づけられないものも多い。だが、自分の魅力を伝える「プロデュース力」は、努力すれば高めていくことができる。条件以外で自分の魅力を伝えられる「プロデュース婚活」が今後、主流になっていけば価値観の合う人や一緒に居て楽しいと思える人と巡り合いやすくなる。そうした婚活なら恋心もおざなりにならない。「正解」に固執し、条件のみを吟味して悩んでしまうことも減るのではないだろうか。
漠然と「素敵な結婚がしたい」と思っている人は多い。だが、それを実現させるには「素敵」の中身を突き詰めながら自分をアピールしていき、単なる独身脱出ではない婚活を行っていく必要がある。幸せな結婚は待っているだけでは掴めない。自分を魅力的に見せ、掴みにいくのだ。
■古川諭香
1990年生まれ。岐阜県出身。主にwebメディアで活動するフリーライター。「ダ・ヴィンチニュース」で書評を執筆。猫に関する記事も執筆しており、『バズにゃん』(KADOKAWA)を共著。