Ms.OOJAらしさとして自分自身を受け止める楽しさ “今”と向き合い続けた先で『最終回』を歌う理由

Ms.OOJA『最終回』を掲げる理由

過去ではなく、“今”に執着がある

ーーネガティブな最終回を経験してしまった場合、Ms.OOJAさんはどう受け止める、もしくはどう乗り越えられていますか?

Ms.OOJA:ネガティブな最終回で言うと、死別が一番大きいのかなと思っているのですが、それはもう抗いようがないんですよね。時間が絶たないと癒えないし、時間が経っても癒えないかもしれない。それでも自分なりの解決策を探しながら生きていくのが、大人になることだと思っていて。私の場合は言葉にして、歌にして伝えることで受け止められている気がします。そして、それが誰かの救いや励ましにもなるアーティストでありたいなとも思っています。

ーーアーティストではない人も、内に溜め込みすぎずに何かしらで発信するほうがいいのかもしれないですね。

Ms.OOJA:そうなんです。言語化ってすごく大事。モヤモヤした気持ちを言語化して、歌にするってある種セラピーのようなものだと思うんですね。なので皆さんにもやってみてほしいですね。

ーー「最終回」に通ずるものがある「どんな過去でも未来でも」も、アルバムのキーになる曲なのかなと感じています。この曲は制作してから7年寝かせているそうで、その理由の1つとして「難しかったから」とライブでおっしゃっていました。その他に寝かせた理由はあったのでしょうか。

Ms.OOJA:たぶん、何かが気に入らなかったんでしょうね(笑)。この曲を伝えるには、当時の自分じゃまだ成熟していないなと思っていたからかもしれない。今思うとちょっと背伸びをして書いた気がします。でも、7年経って「今なら伝えても大丈夫だな」と思えたというか。曲に負けない自分になれたので今回収録することにしました。

Ms.OOJA「どんな過去でも未来でも」@ 青山baroom /2025 3.26 Release 10th AL「最終回」より/ Debut記念日開催Special Live

ーーどんな経緯で制作された曲だったのですか?

Ms.OOJA:私、本を読むのが好きなんです。すごく好きな作品の中に「私は今のあなたが好きだから、あなたの過去は関係ない」というシーンがあるのですが、その言葉に影響されて作りました。人って1年でも別人のように変わることがあるじゃないですか。私もそうで。過去の自分も自分ですが、それは“自分じゃない”とも思っているんですね。それに、過去を引きずって生きていくことにあまり意味がないとも思っていて。そういうメッセージを伝えたくて書きました。そう考えると、私が伝えたいことって結構一貫しているんですよね。2021年に作った『PRESENT』というアルバムも、「時間」や「今」という意味で作っていますし、今を生きることにすごく執着があるのかもしれません。過去のことはすぐに忘れてしまうし、自分に関係がないと思っていて、今が大切。でもね、今を大切にしすぎるのも嫌なんです。

ーー難しい(笑)!

Ms.OOJA:でしょ(笑)。今をもっと充実させなきゃ、大切にしなきゃって圧迫されるもの嫌なんですよ。「今を生きて、息をしているだけで別にいいじゃん」と思いますし、「もっと頑張って生きなきゃ」というのが嫌で。一方で「過去も未来も関係ない。今だよね」とも思うんです。自分がどうしたら幸せになれるかを今考えたらいいのかな、と。

ーーそういうご自身の考えが曲のメッセージになると気づくタイミングがあるのでしょうか?

Ms.OOJA:というよりも、ありのままに自分が伝えたいメッセージを発信することしかできないんですよ。でも、そのメッセージが届いて、刺さって、救われているという人がいるのが見えるのは大きいです。「これで合っているんだ」「私がやってきたことは正しかったんだ」と自分の救いにもなっていますね。

ーーそう考えると、「Oh Well」のメッセージもMs.OOJAさんらしいというか。

Ms.OOJA:そうですよね。「Oh Well」もキーになる曲の1つですね。日本語で「まぁいっか」という意味なのですが、すごくいい言葉。私はそんなに思い詰めるタイプではないですが、知らぬ間にストレスが溜まって、追い詰められる時があるんですね。世の中には私よりももっと追い詰められてしまう人もいると思うので、「まぁいっか」という言葉を歌にして届けることで少しでも楽になってくれたらいいなという思いで作りました。

Ms.OOJA「Oh Well」@ 青山baroom /2025 3.26 Release 10th AL「最終回」より/ Debut記念日開催Special Live

ーー反響はいかがでしたか。

Ms.OOJA:おじゃファミに刺さっているみたいです。皆さん大人の方が多いし、抱え込んでいるものがたくさんあるんだなって。私が思う以上に大変な思いをしている人がたくさんいるみたいで、「みんな、まぁいっかって言ってみよう!」と思いました(笑)。

ーーMs.OOJAさんが思う、「まぁいっか」と言ってみることの良さとは?

Ms.OOJA:まず「まぁいっか」と思えない人ほど言ってみてほしいです。言ってみると、ふっと心が軽くなるんですよ。現実的には全然「まぁいっか」じゃないんですよ(笑)? 誰も手助けしてくれないし、結局自分でやらなくちゃいけないけど、「まぁいっか」と言うとちょっと心が浮かび上がる感覚になれるんです。そうすると今の自分が俯瞰で見えるんですよね。言霊ってあると思っていて。実際に「まぁいっか」と言ってみたり、「Oh Well」を一緒に歌ってみたりすると、その時間だけは本当に「まぁいっか」と思えるはず。口に出すことでいろいろ見えてくることがあると思います。

「“自分の歌だ”と思ってもらうために歌うアーティストに徹したい」

ーーそういった素敵な曲が詰まった1枚ですが、40代という新たなステージに入られたことで楽曲制作に変化などはあったのでしょうか?

Ms.OOJA:30代と比べると、より楽しみながら作れるようになったかな。以前は「こうしなきゃいけない」と思っていたり、自分の中のこだわりやセオリーがあったりしましたが、そんなものは必要ないと思えるようになりました。自分が思うように、楽しく作ればいいじゃんって。もしそれで変な部分があったとしても、それは自分らしさだと考えられるようになりました。むしろ変な部分を作りたい、みたいな(笑)。お決まりのフレーズやよくやる歌い回しなんかも、以前は避けようとしていましたが、「Ms.OOJAのシグネチャー」として受け止められるようにもなりました。

ーー大きな変化ですよね。

Ms.OOJA:長くやってきたことで自信がついたんだと思います。それに、自分が「これはどうなのかな……」と思っていた曲ほどリスナーに刺さるんです。なので、自分の視点でこだわりすぎたり、勝手にルールづけする必要がないと気づいて。

ーーこだわり過ぎはよくないと。

Ms.OOJA:もちろん、自分のこだわりを構築する期間があってもいいんです。その期間を経て、確固たるものができたからこその今ですから。それに、40代になったことで「え、もう死ぬじゃん。時間がないじゃん! もっと楽しいことをしなきゃ」「自分のために自由に生きなきゃ」と思ったんですよね。それは20代、30代でいろんな葛藤を抱えて、挫折もあったからこそ思うこと。そういった時期があっての今だと思うと、楽しむことが大切だなと感じています。

ーーメジャーデビュー15年目を迎えた心境はいかがですか?

Ms.OOJA:「15年目なんだな〜」って(笑)。何も変わらないです。積み重ねてきた証ですが、あまりにも日常というか、自然な流れというか。先ほどお話ししたように過去の自分はもう他人という考えなので、不思議な感覚です。

ーーMs.OOJAさんはバラエティ番組などには出演されませんし、私生活が見えることもほぼない「THE アーティスト」なので、15年のキャリアに重さやプライドを感じられているのかなと個人的に思っていました。

Ms.OOJA:私、Ms.OOJAのプライベートを見せることに関してはあまり価値がないと思っているんです。雑念を入れたくないんですよね。歌を受け取ってくれた方が「自分の歌だ」と思ってもらうために歌うアーティストに徹したいんです。

ーーなるほど。“15年目の先”にもあまりは興味はないですか?

Ms.OOJA:どうだろう……10年単位で人ってすごく変わると思うから、もしかすると急激に興味が出てくることがあるかもしれません。それに、50代になったらまったく別のことをしているかもしれないですから。そういうワクワクはありますね。おじゃファミの皆さんと一緒に成長したいし、見守ってほしいです。

ーーこの先も楽しみです。では最後にもう1問だけ質問を。アルバム『最終回』というタイトルにかけて、「そろそろ最終回にしないと」と思っていることを教えてください。

Ms.OOJA:花粉症!

ーー花粉症!?

Ms.OOJA:今年の私のテーマが「健康」なので克服したいです。あとは、夜型生活も最終回にしたい(笑)。40代になると早起きになると聞いていたのに、夜型人間がまったく直らなくて。なので、夜型と花粉症の最終回を迎えるべく、15年目も頑張ります!

『最終回』

◾️リリース情報
Ms.OOJA 10th Album『最終回』
2025年3月26日(水)リリース
購入:https://msooja.lnk.to/FinalEpisodeCD

・通常盤(CD):¥3,200(税抜)
・UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(CD+Blu-ray+DVD+アクリルスタンド):¥9,900(税抜)
DISC-1:CD、DISC-2:Blu-ray、DISC-3:DVD/三方背スリーブケース+トールケース+アクリルスタンド

【CD】※全形態共通
1. 最終回
2. Oh Well
3. Purple Haze
4. Room
5. Eye to Eye
6. We are Stars
7. Last Night
8. 名もなきメロディー
9. どんな過去でも未来でも
10. Hidamari

【Blu-ray / DVD 収録内容】※UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤
第一部
1. ワインレッドの心
2. ルビーの指輪
3. 恋人も濡れる街角
4. もうひとつの土曜日
5. 勝手にしやがれ
6. You were mine
7. ダンシング・オールナイト
8. メモリーグラス
9. 巡恋歌
10.恋
11.青春の影
12.木蓮の涙 
第二部
13.優しい世界の真ん中で
14.Little Car
15.楽園
16.40
17.花
18.Life
19.I’m ALIVE
20.We are Stars
21.sakura
22.It’s OK
23.Be...
24.光射す方へ
25.Sky

Ms.OOJA 公式サイト

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