極上のグルーヴを武器にメジャーデビュー、6人組クルーS.A.R. とは? CMでは名曲カバーにも挑戦、今春EPが重要作に

ソウル、ファンク、R&B、ヒップホップ、ジャズをベースに、生楽器とボーカル/ラップによって独自のグルーヴ感溢れる楽曲を作り上げてきた6人組の“オルタナティブ・クルー” 、S.A.R.。2022年の本格的な活動開始以降、シングルリリースを重ね、ライブ活動も積極的に行いながら、昨年(2024年)3月には1stフルアルバム『Verse of the Kool』を発表し、さらにアルバムリリースに合わせて行われたワンマンライブも大きな成功を収めている。
その1stアルバムから9カ月ぶりとなる昨年12月にリリースされたシングル「juice」は、ある意味、彼らにとっての次の章のスタートと言えるだろう。これまでボーカルに関しては英語での表現がメインとなっていたが、この「juice」では日本語と英語をミックスさせたリリックを披露している。過去にリアルサウンドにて行われた彼らのインタビューでは、ボーカル担当のsantaが将来的に日本語でリリックを書く可能性があることを語っていたが(※1)、「juice」での日本語の取り入れ方は実にスムースで、その上で従来の英語詞のみの楽曲と全く変わらない空気感をキープしている。もちろん、日本語を使うことで表現の幅が広がり、よりリスナーにダイレクトにメッセージを届けることが可能になるという効果もあるだろうが、彼らにとってはリリックが英語であろうと日本語であろうと、やりたいことの軸となる部分は驚くほどブレていない。

その流れは次いでリリースされた「Side by Side」も同様で、ギタリストでもあるImu Samのラップは引き続き英語詞であるが、santaのボーカルはここでも日本語と英語をシームレスに紡いでいる。そして、個々のメンバーのミュージシャンとしての技術力の高さが窺えるバンドサウンドとも見事に絡み合い、極上のグルーヴを作り上げている。さらに今年3月にリリースされたばかりの最新シングル「Back to Wild」では巧みなアレンジ力で緩急をつけながら、タイトルからも窺えるアグレッシブなスタイルを全面に打ち出す。特にラストに畳み掛けるImu Samのラップとバンドとの一体感溢れるセッションは実にスリリングで、彼らを構成する要素の一つであるヒップホップ的な部分も強く出たインパクトある一曲に仕上がっている。


6人のメンバーは現在、20代半ばから30歳前後ということだが、彼らの音楽的なインスピレーション元として個人的に強く感じるのが彼らがまだ子供か、あるいは生まれる前にリリースされた90年代から2000年代前半のD'Angelo、The Roots、A Tribe Called QuestといったThe Soulquarians周辺のアーティストの楽曲だ。もちろん、さらにこれらのアーティストのインスピレーション元でありサンプリングソースでもある60年代、70年代のソウル、ファンク、ジャズもそのバックボーンとして強固に存在しているわけであるが、これらの豊かな音楽的なヘリテージを彼らは咀嚼し、確固たるビジョンを持ちながら自らのフィルターを通してサウンドに落とし込み、楽曲として表現している。そこに変な気負いや遠慮はなく、実に自然体に成し遂げているのはお見事だ。
4月には新作EPのリリースも控えているという彼らだが、すでに発表されている通り、ポニーキャニオン内のレーベル、IRORI Recordsからのメジャーデビューというニュースも大きな後押しとなって、このEPが彼らの今後を占う重要な作品になるのは間違いない。噂ではとある大物ゲストが参加するという話もあるようで、このゲストアーティストとどのような化学反応を起こしてくれるのか、大いに期待したい。
また、今年2月に公開されたトヨタ自動車「YARIS」シリーズのWeb CMに音楽担当として参加し、ゴダイゴの名曲「モンキー・マジック」を自らのスタイルでカバーした彼らだが、メジャー進出によってさらに大きなフィールドで活躍する機会がさらに増えていくのは間違いないだろう。そして、そのもっと先にある彼らのメジャーデビューアルバムがどのような作品になるか、今から楽しみでならない。
なお、新作EPリリース後の5月には大阪と東京を巡るワンマンツアーが予定されており、ライブバンドとしてのS.A.R.を体感するのは絶好の機会となるだろう。残念ながら筆者はまだ彼らのライブは未体験であるが、YouTubeなどで少しだけ公開されているライブ映像を観る限り、テクニックに裏打ちされた演奏の素晴らしさもちろんのこと、オーディエンスとの一体感溢れるグルーヴ感はぜひとも体験してみたいと思わせる魅力が溢れている。こちらもぜひチェックしていただきたい。
※1:https://realsound.jp/2024/04/post-1626775.html
■リリース情報
Digital Single「Back to Wild」Out Now
配信リンク:https://lnk.to/SAR_Back_to_Wild
Major 1st EP「タイトル未定」
2025年春にリリース予定

■ライブ情報
『S.A.R. Live Tour 2025(仮)』
・OSAKA
2025年5月17日(土)Music Club JANUS
Open17:30/Start18:00
・TOKYO
2025年5月23日(金)LIQUIDROOM
Open18:00/Start19:00
■関連リンク
X(旧Twitter):https://x.com/sarofficial311
Instagram:https://www.instagram.com/s.a.r.official/
YouTube:https://www.youtube.com/@s.a.r.6604