なるみや、共感を超えて広がり続けるバズの正体 救われない感情さえポップに昇華する遊び心

そして何より、特徴的な歌声も大きな魅力の一つだ。全体的には女性らしいキュートさがありつつも、どこかに怨念を隠し持ってるような二面性のある歌声。とりわけ「だって、優等生」の終盤で見せる叫び声にも似た歌声に、多くのリスナーが心を震わされるに違いない。
楽曲によって歌い分けているのもポイントで、ゆったりとしたテンポ感の「月夜の庭にて」では息まじりの低いテンション感で歌いつつ、東洋的な雰囲気を持った「死が僕らに恋してる」では不幸さが際立つ暗めの歌い回しで表現している。総じて、音作りは緻密で完成度が高い。その中でさまざまに歌声を変化させながら、豊かな表現力で歌い上げる姿が印象的だ。
ちなみに本作は、自身の音楽活動のテーマでもある「救われない不憫を救おうとする音楽」を集めたという。容姿にコンプレックスがあったり、不登校に苦しむ人など、なるみやの楽曲にはあらゆる境遇に身を置いた人が登場する。ほかのアーティストがあまり扱わないような/歌いにくいテーマを積極的に歌にし、軽やかなタッチでポップソングへと昇華していく。だからこそ、なるみやの音楽は、実際にそうした境遇に悩む人にとっての救いになっているのだと思う。彼女の作品がもたらすものは、いわゆる共感だけではなく、自分のことを「歌ってくれた」というある種の救われる感覚なのではないだろうか。
5月からは『なるみや 1st ライブツアー “まどろみの記憶”』の開催も予定されている。SNSから登場した新世代アーティスト・なるみやの今後のより一層の活躍に期待したい。

◾️リリース情報
なるみや 1st EP『まどろみの記憶』
2025年3月26日(水)リリース
1CD(ミニ絵本仕様)
PDCN-1074 / ¥3,960(税込)
UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売
購入:https://lnk.to/narumiya_MK_ec
配信:https://lnk.to/narumiya_mk
【収録内容】
1. だって、優等生
2. 永眠のすゝめ
3. 醜形恐怖症
4. 月夜の庭にて
5. 死が僕らに恋してる
◾️公演情報
『なるみや 1stライブツアー “まどろみの記憶”』
【日時・会場】
2025年5月24日(土)【大阪】Music Club JANUS(OPEN 16:00 / START 16:30)
2025年5月25日(日)【名古屋】The BOTTOM LINE(OPEN 16:00 / START 16:30)
2025年6月7日(土)【東京】KANDA SQUARE HALL(OPEN 16:00 / START 16:30)
2025年6月8日(日)【東京】KANDA SQUARE HALL(OPEN 15:00 / START 15:30)
【チケット情報】
5,500円(税込)
詳細:https://narumiya-official.jp/madorominokioku/