East Of Edenという稀代のバンドの“本当の強さ” ツアー東京公演で更新した圧倒的な一体感

East Of Eden、最新ツアー東京公演レポ

 3月12日に初のフルアルバム『The First Eden - Seeds Of Hope』をリリースしたばかりのEast Of Edenが、同作を携えた全国ツアー『East Of Eden Spring Tour 2025 〜 Seeds Of Hope 〜』を開催した。

 昨年12月、新メンバーにMINA(Ba)を迎えたばかりのEast Of Edenにとって、このツアーはアルバムで示した新機軸同様、新体制となったバンドがどのように機能するのかをアピールする絶好の機会。愛知、大阪、東京、そして初の中国・上海での公演を含む全5公演が展開された。本稿では3月19日、Zepp DiverCity (Tokyo)での東京初日公演について記していく。

East Of Eden(撮影=Ryoichi)
Ayasa(Vn)

 まず先に全体的な内容について触れておくと、フルアルバム『The First Eden - Seeds Of Hope』に収録された全11曲(CD通常盤にのみ収録の「Yellow Card」を含む)が演奏されている事実に驚かされる――いや、これが彼女たちにとっては通常運転と言うべきか。思えば、同会場で行われたEast Of Edenのデビューライブ『East Of Eden -World Premiere Special Showcase 2023-』(※1)は、1曲を除けばすべて初披露の新曲。1stワンマンライブから披露され続けているインストナンバー「Yellow Card」や、昨年11月のLINE CUBE SHIBUYA公演で初披露された「Breaker」を除く9曲がライブ初披露と、今も攻めの姿勢でライブに臨んでいることにはただ驚かされる。しかも、『The First Eden - Seeds Of Hope』収録曲は従来のクラシカルなシンフォニックメタルを下地にしただけでなく、ニューメタル以降のモダンなラウドサウンドを軸にした楽曲も多く含まれていることから、演奏や表現においてもこれまでとは違った側面が求められるはず。かつ、そこに従来の既出曲を織り交ぜることでバンドとしてどうバランスを取るのかも、筆者は非常に気になっていた。

East Of Eden(撮影=Ryoichi)
湊あかね(Vo)

 しかし、そんな心配はまったく必要なかった。アルバム同様、ライブのオープニングを飾った「Shooting Star」からして、彼女たちはこの新機軸をすでにモノにしていたのだ。バンドの土台を支えるMIZUKI(Dr)のダイナミックなドラムはこの曲でより魅力を発揮し、MINAはその上にスラップを多用した迫力あるベースフレーズを乗せ、リズム面でより広がりを見せていく。アルバムリリース直前に自身の妊娠を発表したYuki(Gt)も、母体をカバーしながらもエッジの効いたギターサウンドを響かせ、Ayasa(Vn)のバイオリンも時にリード楽器、時にバッキング楽器として多面性を見せながら、East Of Edenらしさに華を添える。そして、ボーカリストとして、さらにはステージの中央に立つフロントとしてその存在感をさらに強めた湊あかね(Vo)も、この曲を自信に満ちた表情で堂々と歌い上げる。この5人でのライブはこの日で3回目ながらも、すでに長く続けてきたバンドらしい、しっくりくる空気を感じることもできた。かつ、MINAの放つフレッシュなオーラがほかのメンバーにも作用し、バンドとして新しい形に再生しようとしている印象も伝わった。この「前から続いているようで、実は新しさもある」という不思議な感覚は、おそらくこのタイミングにしか感じられないものだと思うので、今回の公演を目撃することができたのはラッキーだったのかもしれない。

East Of Eden(撮影=Ryoichi)
Yuki(Gt)

 アルバムからの曲の合間に「Chasing the moon」や「鈍色のラビリンス」「CROSS∞ROADS」といった前ミニアルバム『Forbidden Fruit -2nd piece-』からの楽曲を織り交ぜる構成も、実に自然に感じられた。むしろ、モダンメタル路線を前面に打ち出した新作のカラー中心のセットリストにおいては、前作までのクラシカルなハードロック路線の楽曲はいいフックとして作用しており、以前のライブよりも彩り豊かになったのではないだろうか。

 そんななかで、このツアーの大きな見せ場(聴かせどころ)となったのが中盤に披露された「I don't say goodbye」以降の流れだ。アルバムインタビュー(※2)でも触れたが、湊の中低音域を軸にした深みのある歌声を楽しめるミディアムバラード「I don't say goodbye」は新作のなかでも1、2を争う出色の仕上がりで、ライブにおいてはスタジオ音源以上のエモーショナルさを滲ませながらこの曲を見事に歌唱。続くミディアムヘヴィな「Don't Look Back」ともども、湊あかねという稀代のシンガーの凄みを存分に味わうことができた。

East Of Eden(撮影=Ryoichi)
MIZUKI(Dr)

 そんなストイックな歌や演奏で観る者を圧倒させる一方で、MCではひたすら緩いトークが展開されるのも実にEast Of Edenらしい。加入間もなく、かつほかのメンバーよりも年下ということで、MINAはまだ敬語で会話に参加するものの、それでも5人のやりとりは今がライブの最中だという現実を忘れさせてしまうほどに自然体。突然、次のツアーグッズ案について各々が好き放題に話すその様は、どこか楽屋裏を覗き見しているようにも感じられた。この落差があるからこそ、East Of Edenというバンド、そしてキャラクターの異なる5人のメンバーに惹きつけられるのかもしれない。

 そんなリラックスモードも「Darkside Lotus」で一変。ジェント以降のモダンメタル要素を取り入れたヘヴィなバンドアンサンブルと、演歌チックな節回しを前面に打ち出した湊の艶やかなボーカルが絶妙な化学反応を起こすなか、ライブは終盤戦に突入していく。

East Of Eden(撮影=Ryoichi)
MINA(Ba)

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