髙石あかり、歌唱シーンやMV出演など音楽面でも広がる活躍 楽曲の世界に溶け込む繊細な表現力

 決して全国的な知名度を持っていない中で、2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロイン、松野トキ役に抜擢されたことで脚光を浴びた、髙石あかり。

 一方、映画・ドラマ『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで主演を務めるなどして局地的に熱いファンを生んでいたことから、朝ドラ主演というサプライズはそれらの支持層を大いに喜ばせた。さらに3月23日に最終回を迎えたドラマ『御上先生』(TBS系)では、苦悩を抱えた優等生・千木良遥を演じ、圧倒的な存在感と演技力を見せるなどしてさらなる飛躍を遂げた。

 そんな髙石は、実は音楽面でも評価を高めつつある。2月18日より放送がスタートしたドラマ『アポロの歌』(MBS・TBS系)では、劇中キャラクターが作り出した“合成人”のSIGMA(シグマ)になりきり、SIGMAとして楽曲「鏡像」を歌い上げている。同曲でのSIGMA=髙石のすごさは、なんといってもハイトーンボイスだ。裏声を巧みに織り交ぜて転調を図るだけでなく、そのハイトーンで歌い通す小節があったり、濃淡をつけた様々なバリエーションの裏声を聴かせることで、その歌唱力を強く印象づけた。

ΣNew Album「Everyday Chemistry」(ドラマ「アポロの歌」より)

 加えて『アポロの歌』第1話では、歌手になる夢を持ちながらバーで働く渡ひろみ役も演じ、劇中ではその役として、Kiroro「長い間」(1998年)をカラオケ歌唱。幼馴染の近石昭吾(佐藤勝利)を意識し、自分の想いを込めて、かわいらしくも健気な歌声を披露した。普段は目立たないけどカラオケで歌ったらなかなか上手……という、私たちの周りにも一人はいそうな人物像をその歌声で表現してみせた。この場面を目にし、髙石の“声の演技力”の高さも再確認できた。

【予告】主演: 佐藤勝利×髙石あかり 原作:手塚治虫 監督:二宮健 / ドラマイズム『アポロの歌』2/18 START<ED主題歌:家入レオ「No Control」>

 “声の演技力”という点では、バンドのボーカリストの声を演じたアニメ映画『きみの色』(2024年)も見事だった。同作では、劇中歌「水金地火木土天アーメン」を歌唱している。『アポロの歌』の「鏡像」では特異な存在感や臨場感を重視したアーティスティックな歌い方をしているのに対し、『きみの色』の「水金地火木土天アーメン」では詩的な歌詞をリスナーにきっちり聴き取らせるような、はきはきとしたボーカルスタイルでパフォーマンスしている。髙石の声はポップでカラフルな曲調にも抜群に合うことがよくわかる。

『きみの色』劇中歌「水金地火木土天アーメン 」リリックPV<8/30(金)公開>

 そんな髙石は俳優として本格的に活動する前は、期間限定のダンスボーカルグループ α-X's(アクロス)のメンバーとして約2年間活動していた。α-X'sは、最大17人ものメンバーを抱えた男女混成グループだった。AAAのツアーに同行して各会場周辺で路上ライブを開催し、デビューを目指すための投票イベントなども経験してきたことから、現在の髙石の歌唱力や力強いパフォーマンス、そして声の個性は、厳しさや泥臭さがあるストリートライブの中で鍛え上げられたものであり、大人数のグループの中で埋もれないために磨き上げられたものでもあると言えるだろう。

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