三浦透子の歌声に宿るエモーション 際限なく高まる今後のライブへの期待――Billboard Live公演を観て

俳優、そしてシンガーとして活動する三浦透子。2024年11月、彼女にとって初のワンマンライブ『三浦透子 at Billboard Live TOKYO 2024』が開催され、その大きな反響を受けて、この3月に大阪と横浜で追加公演『三浦透子 at Billboard Live Tour 2025』が行われた。本稿では、3月10日の横浜公演 2nd Stageの模様をレポートしていく。


昨年11月の東京公演に続き、過去に三浦へ楽曲を提供した経緯のある小田朋美(Pf)、有元キイチ(Gt)がサポートを務め、さらに今回の追加公演では、有元の呼びかけのもと、サポートメンバーとして山本連(Ba)、上原俊亮(Dr)が加わった。開演時間になると、まずバンドメンバー4名がオンステージ。上原による熱さとシャープなタイトさを兼ね備えたドラムソロが轟くなか三浦も登場し、そのまま1曲目の「漂流」へ。三浦は右手でマイクを、左でマイクスタンドを深く握り、まっすぐ前を見つめ、一つひとつの言葉を噛み締めるように丁寧に歌い届けていく。終盤にかけて、熱く昂るバンドサウンドに呼応するように三浦の歌声に熱がこもり、またその彼女の歌声に触発されるように、バンドサウンドの躍動感がさらに増していく。この編成でステージに立つのはこの公演が4回目ということもあってか、5人の息はとてもぴったりだった。

続く「FISHANDCHIPS」では、三浦はハンドマイクに。時折片手を腰に当てたり、足でステップを刻んだり、身体全体でリズムを感じ取りながら歌い、会場に豊かなグルーヴを共有していく。前半のハイライトを飾ったのは、映画『天気の子』の主題歌のひとつ「グランドエスケープ」。天界の美しさを思わせる高音のピアノのリフ、細かく刻まれるハイハット、ふくよかな響きを放つシンセベース、眩い煌めきをまとうギター、そして三浦の清らかなフィーリングに満ちた歌声。一つひとつの音が繋がり合い、重なり合いながら、ドラマチックなストーリーが紡がれていく圧巻の展開に、思わず息を呑んだ。

三浦は、最後のステージを迎えたことについて「もうすでに寂しい気持ちなんですけど」と胸の内の想いをありのまま伝えつつ、「短い時間ですが、よろしくお願いします」と挨拶。中盤で特に印象深かったのが、有元と小田が提供した2曲が続けて披露された流れだった。「私は貴方」における静けさと激しさのコントラストを通して伝えられる切実なエモーションには否応もなく胸が高鳴ったし、美しさや華々しさのなかに妖しさを感じさせる「intersolid」のスリリングな展開にはとても痺れた。

何より、さまざまなジャンルの楽曲を凛とした深い意志を持ちながら、しなやかに歌っていく三浦のシンガーとしての力量にあらためて驚かされた。後半もハイライトの連続だったが、特に、塩塚モエカ(羊文学)の提供曲「風になれ」を通して届けられた、晴れやかであたたかなフィーリングの余韻が忘れられない。
