aiko、あいみょん、TOMOO、冨岡 愛、かわにしなつき……女性シンガーが伝える、あるがままに生きるためのヒント

寒さと暖かさが入り混じる季節、今年も桜の開花予想に春の兆しを感じる時期がやってきた。「春」と聞くと穏やかな印象を受けるが、一方で新年度を目前にして見えない不安にため息をつく人もいて当然だ。むしろ、それは懸命に人生を生きている証だろう。そこで本稿では、何気ない日々に悩むあなたにこそ届けたい、「あるがままに生きるためのヒント」を歌った女性シンガーたちの音楽をご紹介する。
aiko「シネマ」
土ドラ10『アンサンブル』(日本テレビ系)の主題歌としても知られるaikoの「シネマ」は、人生を映画に例えて、「都合よく生きていけばいい」と寄り添う楽曲だ。彼女の魅力が特に詰まっているのは、〈洗濯機の中で悲しみが混じる〉〈きっと終わるまで分かり合えない〉と綴られる、切なくも等身大の言葉たち。日々の「人」との関わりの中でどこか心苦しさを感じている心情をすくい上げつつ、〈今日も都合よく生きる〉とピリオドを打つことで、“まずは自分を大切にしていいんだ”とやさしく教えてくれる。
あいみょん「ラッキーカラー」
あいみょんの「ラッキーカラー」は、失恋を通して自己肯定の大切さを伝える1曲だ。中でも〈今日もまつ毛を空に高くあげる〉〈今日のまつ毛に雨が降りませんように〉と歌うサビでは、好きな人を想いながら少しでも可愛くなりたいと浮き足立つ自分に、ふと「私、恋しているんだ」と感じるリアルな心情を代弁。告白の大成功を〈3回願った〉ほど想いを募らせた恋心が散ってしまっても、たくさん揺れ動いた恋だから、最後には指先もメイクも服装も自分色に染めようと決意するのだ。傷ついた心が痛んでいても自分を大切にするその姿は、誰よりも美しくて素敵だと思う。
TOMOO「あわいに」
恋愛ソングだけでなく、日々そのものを自分らしく生きることを歌った曲も必要だ。江口のりこ主演の水ドラ25『ソロ活女子のススメ 4』(テレビ東京系)オープニングテーマにも起用されたTOMOOの「あわいに」は、些細な日常に幸福を見出す楽曲に仕上がっている。数年後にはNHK朝ドラの主題歌を歌っている未来を想像してしまうのは、彼女の音楽が、日常を彩る軽やかなメロディと歌声、そして、噛み締めるほど味が出る深みのある歌詞――そんな、「すぐそこにあるような身近さと明朗さ」を含んでいるからだろうか。