aiko「相思相愛」に重なるのは平次と和葉だけじゃない? 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』との親和性を徹底考察

aikoと『100万ドルの五稜星』抜群の相性

 現在大ヒット公開中の劇場アニメ『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(以下『100万ドルの五稜星』)。4月12日の公開から約1カ月が経った今もその快進撃は止まらず、興行収入は128億円を突破し、観客動員数は約898万人を動員。さらに同作で『名探偵コナン』劇場版シリーズの累計観客動員が1億人を突破。国民的アニメシリーズとして確固たる地位を築き上げている。

 そんな『100万ドルの五稜星』の主題歌はaikoの「相思相愛」。SNS上ではコナンフリークを中心に「相思相愛」と『100万ドルの五稜星』の噛み合いっぷりが大きな話題を呼んでいる。本稿では『100万ドルの五稜星』の内容に触れながら、「相思相愛」と『100万ドルの五稜星』の親和性について考える。

※本稿は『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のネタバレを含みます。

 『100万ドルの五稜星』は『名探偵コナン』の人気キャラクター・服部平次と怪盗キッドが主軸となり物語が展開する。平次は想いを寄せる幼馴染の遠山和葉に”100万ドルの夜景”と称される函館山での告白を計画するものの、ひょんなことから殺人事件に巻き込まれる。一方キッドはある人物の遺志を確認するため、函館のどこかに眠るお宝の在り処を探していた。函館山での告白、そしてお宝というそれぞれの目的に向けて、平次、キッド、そしてコナンは函館中を奔走する。

 物語最終盤、事件を解決した平次は、函館山で和葉へ想いを伝える。高校生探偵らしく事件における犯人の”動機”を交えながら、不器用にひとつ一つの言葉を紡ぐ平次の実直な姿には多くの観客がキュンとしたのではないだろうか。平次が想いを伝えきると共に流れ出す「相思相愛」は、平次と和葉のラブロマンスにそっと、しかしぎゅっと寄り添う役割を果たす。「相思相愛」によって平次の告白が一層ロマンチックかつ切実なものとなり、観客の涙を誘うのだ。

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 今回の『100万ドルの五稜星』において、実は平次と和葉が一緒に過ごしているシーンは少ない。事件解決のために函館市内を駆け巡る平次を、和葉は心配しながらも信じ続けている。「相思相愛」における〈ずっと遠くから見てる 見てるだけで〉というサビのフレーズは、本作、ひいてはシリーズを通した和葉の平次に対する思いそのものなのだ。

 「相思相愛」のこのフレーズは、平次と和葉以外のキャラクターにも重ね合わせることができる。劇中で銃撃を受け病床に伏せた中森警部に娘として寄り添う中森青子に、その幼馴染である黒羽快斗=怪盗キッドが変装をして青子を見守るシーンはまさに〈ずっと遠くから見てるだけ〉。その切なくも温かい様に胸が掴まれる。『名探偵コナン』シリーズ最大のカップルである新一と蘭も、晴れて両思いになった今も新一がコナンの姿であるが故に“最も近く、しかし遠く離れ離れ”なふたりだ。『100万ドルの五稜星』だけでなく、シリーズにおける様々なキャラクターとカップルに〈ずっと遠くから見てる 見てるだけで〉のフレーズは共鳴しているのだ。

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