aiko、雨の中で完遂した6年ぶりの『Love Like Aloha』　「花火」で迎えたフィナーレに届いた願い

　aikoが8月30日、野外フリーライブ『Love Like Aloha vol.7』を神奈川県茅ヶ崎市サザンビーチちがさきにて開催した。『Love Like Aloha』は、aikoが2003年から不定期で行ってきた夏の恒例イベントで、6年ぶりの開催となる。今年は台風接近の影響により悪天候の中での準備や調整が直前まで行われ、当日を迎えることとなった。会場に向かうまでも不安定な天気が続いていたが、開場中には晴れ間が覗く時間も。サザンビーチには続々と観客が集まり、周辺の海の家やグッズ売り場などが賑わい、早くもお祭りムードに包まれていた。

　開演直前のアナウンスが流れると、aikoを呼ぶ大きな声が至るところから湧きあがる。11名のバンドメンバーがステージにつき、ピアノのイントロが聞こえるといよいよaikoが登場。突き抜けるようなボーカリーズが印象的な「58cm」から幕を開けた。aikoのライブではおなじみ「男子ー！　女子ー！」のコールアンドレスポンスの後には「今日は絶対最後までやります！　よろしくお願いしまーす！」と力強く宣言。ステージ背後から特効が勢いよく上がって始まった「ストロー」では、手を振ったり、手でハートを作ったりと、ファンサービスも交えながら一人ひとりに歌を届けていく。aikoも観客も笑顔でいっぱいだ。この季節にぴったりの夏曲「帽子と水着と水平線」、ホーンが高らかに鳴る「荒れた唇は恋を失くす」と花道からメインステージまで駆け巡り、序盤から会場のテンションを一気に高めていった。

「みなさん、雨の中今日は来てくれて本当にどうもありがとうございます！　台風が来ていて昨日も今朝も雨が止まらなかったけど、この時間だけはみんなの気合いで雨が止まっていると思っています。ほんまにみんなのおかげです、ありがとうございます」

　観客に何度も感謝の思いを伝える中でふと「やば……やば！」と、開催の実感が込み上げてくるaiko。「みんなジャンプするたびに砂（浜）に埋まってってるやろ？　『Love Like Aloha』はライブを楽しんで数日後に筋肉痛も襲ってくるっていうライブなので、みんなで一緒に楽しいライブを作りましょう！　よろしくお願いします！　では歌います！」

　波の音をバックに、aikoの歌から始まる「相思相愛」や「ハニーメモリー」の披露へ。野外にもかかわらず息遣いまで伝わるような親密な歌声が幻想的な雰囲気にマッチする。これらの楽曲以外にも、この日のaikoのボーカルはいつにも増して素晴らしく、繊細な歌声に聴き入る瞬間が度々訪れた。

　この『Love Like Aloha』を楽しみにしているのはaikoやファンだけではない。特設ステージ横にある海の家には満員の人が押し寄せ、近隣の建物には横断幕を掲げて楽しむ人たちの姿が。MCでaikoは、そうした地元の人たちとも積極的にコミュニケーションを取っていく。そして「6年ぶりのこの場所でのライブ、めちゃくちゃ嬉しい。桑田佳祐さんからお花をいただきました！　だからやっぱり歌いまーす！」と告げて始まったのは、サザンオールスターズ「涙のキッス」のカバー。『Love Like Aloha』では、サザンゆかりの地へのリスペクトを込めて、サザンの楽曲を披露するのも恒例だ。ここから続いたメドレーではすっかりあたりも暗くなり、星空の映像をバックにした「アンドロメダ」から、「ボーイフレンド」「雲は白リンゴは赤」のような賑やかなナンバー、「あなたは優しい」「KissHug」「果てしない二人」といった蒸し暑い夏の夜に映えるバラードまで次々と披露されていく。

　「透明ドロップ」「milk」あたりで再び雨が降ってくると、aikoのパフォーマンスに一層気合いが入り、カメラに向かって挑発的なアピールも。サザンオールスターズ「みんなのうた」では会場一体の盛り上がりを生み、エッジーな「be master of life」では途中でストップをかけて観客を煽りつつ「小雨も止んでほしい！」と叫び、ラストサビで感情を爆発させた。