“ammoの曲”はライブを重ねて“みんなの歌”に 東京のホームで遊び尽くした『Don't Cry No Tour 百ノ位編』

ammoライブレポ

 ammoがライブツアー「ammo Major 1st full album『SONG LIE』release tour『Don't Cry No Tour 百ノ位編』」の東京・高田馬場CLUB PHASE公演を1月16日に開催した。

 このツアーは昨年7月リリースのフルアルバム『SONG LIE』を携え、昨年の9月より開催されていたもの。9月から10月にかけて“千ノ位編”として東名阪のZepp公演を行い、その後全国のライブハウスを回る“百ノ位編”へと突入した。一般的に、小箱から始まり、ツアーファイナルやファイナルシリーズとして大きな会場で締めくくられることの多いリリースツアーだが、ammoは逆の行程を踏んだ。Zeppで楽曲の持つ力を実感し、小箱ではそれらを自分たちの手に、そしてリスナーの耳に馴染ませて、それを使った遊び方を探っていく。そんなツアーだったのではないだろうか。

ammoライブ写真

 この日ももちろんチケットはソールドアウト。超満員のCLUB PHASEがammoの登場を待つ。暗転すると、3人はゆっくりとステージに姿を現す。最後に登場した岡本優星(Vo/Gt)は満員のフロアをうれしそうに見渡し、彼らとグータッチをするように拳を突き出す。そして大歓声をすっと鎮めると、ギターをつまびき〈平日の夜は不安で 妄想膨らんで〉との歌詞のある「箱の中から」を歌い始める。北出大洋(Dr)と川原創馬(Ba/Cho)によるどっしりとしたリズムが加わり、平日の夜の“小箱”の中で、ammoのワンマンが始まる。じっくり1曲を聴かせたあと、岡本が「最高の夜にしよう!」「元気にやってた? こっちは超元気なんですけど!」と声を上げ、軽やかなドラムから「やまない愛はある」「深爪」で一気に場内のテンションを引き上げる。さらに川原が「卒業」とタイトルコールして、用意していたセットリストを急遽変更。川原が「せっかく足したんだ、全員で来い!」と煽ってツービートのサビに突入すると、フロアは大盛り上がり。しかも演奏直後に、もう一度「卒業」を続けるなどやりたい放題。岡本が「創馬がセトリを全部無視して」と笑えば、川原は「もっと無視します」とベースリフを弾き始めてさらに「後日談」も加える。その後のMCで「ワンマンライブってこんな自由だっけ?」「リハーサルの意味ねえ」と言っていた岡本だったが、「後日談」のサビで大きなシンガロングを受けた際には「今日はこんな感じでやるからよろしくね」とうれしそうに笑っていた。

ammo 岡本優星 ライブ写真
岡本優星
ammo 川原創馬 ライブ写真
川原創馬
ammo 北出大洋 ライブ写真
北出大洋

 「このツアーで一番めちゃめちゃになっちゃっている」というこの日のライブだったが、彼らはしっかりと『SONG LIE』の楽曲も届けていく。「意解けない」では浮遊感のある魅惑的なコーラスを聴かせ、「誰にも言えない恋、したことあるでしょ?」との岡本の言葉から始まった「ナイタールーム」や、恋の始まりを歌った「愛魔性の女」では、巧妙に韻を踏んだ歌詞と独特な譜割で楽曲の世界へと誘い、オーディエンスは自身の経験を重ね合わせじっと聴き入った。

 この日の会場・高田馬場CLUB PHASEは、ammoがこれまでもよくライブをやっていたライブハウス。岡本は「いつからか当たり前みたいに、ちょっと冗談みたいに言ってたなぁ、『高田馬場CLUB PHASEは東京の俺たちのホームです』なんて」と振り返りつつ、「さっきも言われたよ、『今日が良くなければ意味がねえよな』。やってやるよ。過去最高? そんなのには興味がない。これまでのことじゃない、これからの話がしたい。またammoがここにいないとダメだってライブをやるんだよ。それがホームバンドだろ」と、この日が今ツアーで一番“めちゃくちゃ”なライブになっている理由を明かす。語りながら「それでも変われないでいる」に傾れ込んで思い出に浸ったあと、3人は一気に加速。「高田馬場CLUB PHASE、ammoが戻ってきたぜ! あっという間に終わるからな。目を離すなよ!」と焚き付け、「突風」「星とオレンジ」「包まれる」「SHI'NE」といった新旧のアップテンポなナンバーを続ける。さらにここでも再び「卒業」を入れ込み、再び場内を熱狂の渦に巻き込んだ。それでもホームへの愛情は止まらず、岡本は「『楽しみにしてたのに最悪。髪の毛はぐしゃぐしゃ、Tシャツもぐしょぐしょ、なんだこれ』って思ってるやつなんかいねえよな? 居心地のいいライブハウスなんか大嫌いだ。俺の大好きなPHASEではずっとずっとカッコ良くいたいんだよ。この世で一番居心地の悪い場所にしよう!」と彼らしい言葉選びでCLUB PHASEへの気持ちを畳みかけて「フロントライン」を投下。さらに“ぐしゃぐしゃで、ぐしょぐしょで、最高な”空間を作り上げていった。

ammoライブ写真

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