ammo「夢を夢のままで終わらせない」 満員のZepp Shinjukuで迎えた東名阪ツアーファイナル

ammo、ライブレポ

 大阪発の3ピースammoの東名阪ワンマンツアー『ammo presents “温厚故に高温”』が、11月8日Zepp Shinjuku (TOKYO)でファイナルを迎えた。ammo史上最も大きな会場でのワンマンだがチケットは即完(全公演)。2018年に結成をして2020年に1stシングル「寝た振りの君へ」をリリースし、バンドとしてエンジンを加速するところでコロナ禍に突入して活動が翻弄されはしたが、着実に作品とライブを重ねてここにたどり着いた3人。これまで2作のEPと2作のフルアルバムをCDのみでリリースしており、現在サブスクでの解禁はされていない状況だが、それでも彼らと同世代だろう若い観客が会場を埋め尽くしているのは、ライブという場で観客と濃いコミュニケーションを作り上げてきた成果だろう。大きなステージに一段と大きく掲げられたバンドのロゴはどこか誇らしく、それを見つめるフロアの熱気も高い。ここからバンドが駆け上がっていくその足音や鼓動が、リアルに聞こえてくるようなライブとなった。

 大音量のSEにフロアが沸き立ち、登場した岡本優星(Vo/Gt)、川原創馬(Ba/Cho)、北出大洋(Dr)は、ドラムのもとで手を合わせ気合いを入れる。「大阪、ammo、はじめます。“温厚故に高温”Zepp Shinjuku、よろしくお願いします!」という岡本の言葉で、ライブは「わかってる」からスタートした。軽やかに歩くようなテンポで観客の体を揺らすと、「ライブハウス、はじめようか!」(岡本)とスピードをあげて「ハート・フル」「未開封」、そして「深爪」とパンキッシュなサウンドでコブシを振るわせフロアをもみくちゃにする。その先頭を切っていくのはダイナミックな北出のドラムであり、アグレッシブにステージで暴れベースプレイする川原だ。3コードのシンプルでノイジーなロックにのせ、アイロニカルな言葉あそびをフィルターに心の内を晒すammoの曲。音とギミックのある言葉の間からぽろっと溢れ出るため息や、あるいは猛烈にハングリーな本音が、同世代のリスナーとシンクロするのだろう。なかでもライブではそのハングリーさがあらわになって、ステージもフロアも前のめりでつかみ合っている。骨太なUSオルタナロック的なリフが冴える「最後は繋がるわかれ道」の曲中、「俺たち今、Zeppで歌ってる!」と岡本が叫んで観客とその興奮を分かち合った瞬間は前半のハイライトだ。

 中盤へと向かうブロックでは岡本がピンスポットのもとでギターで弾き語りをはじめ、観客はその声に耳をすます。そこからベースイントロによる「寝た振りの君へ」「(emoji)」というミディアムテンポでじっくりと聴かせる曲で、熱を帯びた観客の体をクールダウン。緩急のある流れを作っていけるのは、ワンマンならではだ。「ファイナルのこの景色を目の前にして夢のなかにいるみたいなのは、きっと俺が思い描いていた夢が、この景色だったんだと思う」と改めて目の前に広がる光景を見ながら岡本はMCをする。そして「夢中で歌ってきた、ずっと歌ってきた曲を」というと、「CAUTION」に突入した。臆病さや言い訳をかき分けて衝動を取り戻すエネルギーに満ちたこの曲は、バンドにとってもファンにとっても灯し火になる曲だろう。僕はずっとここにいると力強く歌うこの曲中に、岡本は「僕に何ができるかな」と声を上げる。問いを投げかけるようにも、腹をくくった叫びにも聞こえるその言葉に、観客は渾身の力で応えていく。

 こんなグッとくるシーンから、岡本はギターをつま弾きながらバンド結成から今に至る道のりを語った。2020年に大阪のインディーズレーベルOrange Owl Recordsに所属し、挑戦を重ねて会場を大きくしながらこうしてZepp Shinjukuのステージに立っていること。そしてこのZeppをゴールにせず、挑戦を続けていくことを改めて宣言すると、「フロントライン」からさらに爆裂なアンサンブルでフロアをもみくちゃにしていった。汗の香りがたちこめ、シンガロングのボリュームが上がっていくなか岡本は何度も「届いてますか」「夢を夢のまんまで終わらせねえ」と大きな声を響かせる。元気一杯の前半のモッシュ&ダイブとはまたちがう、怒涛とも言えるうねりを帯びたフロア。アグレッシブな曲が連投され3人と観客の熱がぶつかり合うと、北出は上着を脱ぎ捨ててショートチューン「包まれる」へとぶっちぎっていく。

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