ammo・アルステイク・TETORA、互いを強くする関係性 3バンドが最高のライブを捧げた『VS DAY vol.1』

『VS DAY vol.1』レポ

 「VS DAY」というイベント名は「バースデー」と読む。というのも、KT Zepp Yokohamaにて本イベントが行われたこの日12月15日は、Orange Owl Records代表の渡辺旭氏と、ライブマスターズ代表取締役の岩下英明氏の誕生日であり、普段から彼らにお世話になっているTETORA、ammo、アルステイクの3組が共同主催でイベントを開くという趣旨で企画されたものだというのだ。だが、もちろん、この3組が誕生日を祝うというのは、たとえばステージ上でケーキを出すとかバースデーソングを歌うとか、そういうことではない。「ライブハウスで戦ってきた人間への1番のプレゼントは、ライブハウスで戦ってきたバンドのこれまでを更新する瞬間を目の当たりにさせることだと思ってます」とはammo・岡本優星(Vo/Gt)の言葉。

 くじ引きで決めたというこの日の出順。トップバッターはammoだ。「大阪ammo、始めます」と堂々と挨拶すると、「フロントライン」でライブをスタートさせる。〈今日ここで 朽ち果ててしまっても 最後の姿を見ててくれないか 前線の風速を超える夜に〉と歌い終えたあとには「そんな夜が始まった!」と続け、この日のステージへの覚悟を思わせる。川原創馬(Ba/Cho)と北出大洋(Dr)のどっしりとしたリズムに乗せ、心地よく韻を踏みながらも起承転結のしっかりついた歌詞を、岡本が歌っていく。「変化じゃなく進化がしたいし、流行りじゃなくて時代になりたいと思います。生き様の歌を」と静かに語り始まった「CAUTION」では、走り抜けた前半から一転、ミドルテンポで緩急をつけ、その生き様をしっかりと見せつけた。

 冒頭に抜き出したこのイベントへの想いを岡本が口にしたあと、「SNSにはない、噂話にもない、本物の対バンライブを体感して帰ってください」「これからとこれまでを知ってほしい、体感してほしい」と言葉を重ねながらバンドは「これっきり」や「歌種」とファストチューンを続けたあと、ミディアムチューン「なんでもない」と「好きになってごめんなさい」を丁寧に置いていった。

 続いてステージに登場したのはアルステイク。のん(Ba/Cho)とあむ(Dr/Cho)によるダイナミックな演奏に乗せ、ひだかよしあき(Vo/Gt)のどこかノスタルジックな歌声で「他人事」を歌い上げると、さらに熱量を上げ「chisa」「一閃を越え」「アイプチ」を連投していった。

 この日のイベントタイトルの候補として「対バン!!」を提案したというひだか。「“この日が勝負”みたいな日に、盛り上げ上手をやってても意味ねえから。Zepp Yokohamaフロアパンパン、そんだけじゃ物足んねえっすわ。ammoの心の中も、TETORAの心の中も、お客さんの心の中もパンパンにしたいと思ってます」と、彼らなりの“対バン”の意味を噛み締めると、「俺らの対バンに巻き込まれてくれよ!」と焚きつけ「嘘つきは勝手」「生活のこと」「ダメ彼氏」を畳み掛けていく。盛り上がるフロアに目をやり「最前の子、苦しそうやから、次速い曲やらないからちょっとずつ下がってあげて」と声をかけたのち、高速チューン「走れ」を投下するという演出でもさらに場内のテンションを引き上げた。初めてOrange Owl RecordsからCDを出した際「TETORA、ammoに次ぐ、Orange Owl Records末っ子のアルステイク」と紹介されたことが、「めちゃくちゃ悔しかった」と振り返っていたひだかは、最後に「Orange Owl Recordsの末っ子、アルステイクでした!」と誇らしげに挨拶して、「VS DAY」のステージをあとにした。

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