ammo、ねぐせ。、KALMA……若手バンドにおけるショートチューンの増加 My Hair is Badが影響源に

 ライブを締めくくる曲の後、突如として追加で演奏されたり、連続で投下されたりと観客やリスナーたちのボルテージを高めてくれるショートチューン。Hi-STANDARD「TURNING BACK」やGOING STEADY「GOING STEADY」をはじめ、SHANK「submarine」、04 limited sazabys「Remember」など、とりわけパンクシーンにおけるショートチューンは枚挙にいとまがなく、シーンの十八番といえるだろう。

 しかし現在では、パンクシーン以外を主戦場とする若手バンドもショートチューンを多く持っているように感じる。この背景には、楽曲がTikTokやInstagramのリールといった短尺動画内に収まること、新型コロナウイルスによる制限下のライブの反作用としてモッシュやダイブが発生するような疾走感溢れる楽曲が希求されていること、そもそも音楽シーン全体として楽曲の長さが短縮傾向にあることなど様々な要因が考えられよう。そんな傾向の一因として、個人的にはMy Hair is Badの存在を挙げたい。

 若手バンドにおけるショートチューンの増加が、My Hair is Badに端を発しているとはどういうことか。彼らの名前を聞けば、「真赤」や「恋人ができたんだ」など瘡蓋を剥がすように過去の恋愛を思い返す曲を想起するかもしれない。

My Hair is Bad - 真赤 (Official Music Video)
My Hair is Bad – 恋人ができたんだ (Official Music Video)

 一方で、彼らには多くのショートチューンの名曲もある。30秒に満たないラブソング「クリサンセマム」や駆け落ちしたであろう二人の姿を描き出す「噂」などの楽曲たちは、瞬く間に過ぎ去った恋愛や生活を描き、アルバムやライブのギアを変える役割を担ってきた。

My Hair is Bad - 昨日になりたくて エゴイストSPOT

 

Uwasa

 そして、彼らの影響は今の若手バンドに続いている。

 1月にCDオンリーのEP『re:想-EP』と配信限定EP『re:奏-EP』を同時リリースし、TOY'S FACTORYよりメジャーデビューを果たした大阪発のロックバンド・ammoはこの最たる例だ。彼らが所属するレーベル・Orange Owl Recordsの代表を務める渡辺旭は、My Hair is Badを輩出したTHE NINTH APOLLOを設立しており、両バンドはCDやライブハウスにこだわる“現場主義”のイズムで通底している。また、岡本優星(Vo/Gt)はMy Hair is Badのライブに足繁く通っていたことを明かしており(※1)、影響を強く受けていることが分かる。そんなammoの代表的なショートチューンは「包まれる」。〈アイロニー〉と〈内緒に〉、〈結構〉と〈決行〉など、わずか1分の中にammoの武器である言葉遊びが詰め込まれ、〈胸の中で眠りたいのです〉という欲望が階段状に上がっていく音階によって切に響く1曲となっている。

ammo - 包まれる - Live Music Video

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