Ave Mujica、BAND-MAID、花冷え。......アニソン×ガールズバンドの傾向に変化? HR/HM起用の潮流を読む
2010年代末から現在進行形で、アニメ/ゲーム作品は空前の“大ガールズバンド時代”である。キャラクターを演じる声優がリアルバンドとしても活動するメディアミックス作品『BanG Dream!』を皮切りに、『ぼっち・ざ・ろっく!』の結束バンド、『ガールズバンドクライ』のトゲナシトゲアリなど、多くのガールズバンドが人気を博している。また、作品発ではない邦楽のガールズバンドもアニソンとの親和性は昔から高く、SCANDALやステレオポニー、the peggiesなど、これまで多くのガールズバンドがアニメ主題歌を担当。ガールズバンドの楽曲はアニメには欠かせないのだ。
そんなアニソン×ガールズバンドの化学反応は、いわゆる邦ロック的なアプローチや、青春パンクといったジャンルに該当される楽曲が現在まで多く歌われてきているが、直近のアニメ主題歌ではハードロックやヘヴィメタル寄りのサウンド(以下、HR/HM)も若干ではあるが増加傾向である。このコラムではガールズバンド×HR/HMのアニソンにフォーカス。直近の楽曲の紹介に加え、アニソンにおけるHR/HMの潮流について書き記していこう。
2025年冬クールのアニメのHR/HMな楽曲で真っ先に思い浮かぶのは、『BanG Dream! Ave Mujica』(TOKYO MXほか)の作中バンド・Ave Mujicaではないだろうか。ゴシックロックとメタルサウンドを軸に、物語性とホラー要素が混ざり合った独創的で耽美な世界観を展開する彼女たちは、アニメのストーリーの衝撃性と話題性、そして音楽の完成度も相まって一気に注目される存在となっている。EDテーマ「Georgette Me, Georgette You」は、ゴシックメタルパワーバラードとして一級品であり、キャッチーさと疾走感を兼ね備えたOPテーマ「KiLLKiSS」も不穏な雰囲気の本編を表すのにこれほど相応しいものはないだろう。
4人組ガールズラウドロックバンド・花冷え。は、アニメ『もめんたりー・リリィ』(TOKYO MXほか)のOPテーマ「おいしいサバイバー」で初のアニメタイアップを果たしている。セカイ系バトル×美少女日常アニメという特異な世界観に寄り添いながらも、インパクト抜群のイントロのデスボイスに重厚で疾走感のあるサウンド、そして様々な声色を切り替える花冷え。らしさはアニメ主題歌となっても健在だ。声優の豊崎愛生が参加した「お先に失礼します。」や、アキバ系カルチャーを題材にした「O・TA・KUラブリー伝説」など、アニメ文化に馴染みのある彼女たち。これからアニメやゲームのタイアップで彼女たちの名前を見ることが増えていくかもしれない。
そして今や国内のみならず海外でのハードロックシーンに燦然と輝く存在なのが、メイド服を身を纏ったビジュアルで重厚なサウンドを奏でる5人組ハードロックバンド・BAND-MAIDだ。彼女たちは、昨年秋クールに放送されたアニメ『グレンダイザーU』(テレビ東京系)EDテーマ「Protect You」に続き、現在の冬クールでは、オリジナルアニメ『全修。』(テレビ東京系)OPテーマ「Zen」を担当している。重厚感とキャッチーさを両立させたドライブ感のある楽曲であり、エピソードが進むたびに解像度が増すアニメの内容に寄り添った歌詞も胸を打つ。この曲の醍醐味の1つは、なんといっても20秒を超える圧巻のギターソロ。心酔してしまうようなそのギタープレイは必聴だ。