Ave Mujica、謎のベールに包まれたバンドが披露した圧巻のステージ 物語の序章を告げた初ワンマンライブを観て

Ave Mujica、初ワンマンレポ

 今年2月4日、突如ネット上でその存在が確認されたAve Mujica。ライブイベント『BanG Dream! 11th☆LIVE』(2月4、5日開催)で配布されたフライヤーから特設サイトに飛べたことから、次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』の新たなリアルバンドであることは予想できた。しかし、サイトやSNSでは現実と仮想を行き来する様々な謎解きが投げかけられ、多くのバンドリーマー(バンドリ!ファンの呼称)は煙に巻かれ続ける。YouTubeには5編の楽曲がMVとともに次々と公開されていくが、メンバーの名前をはじめとする詳細は依然、謎に包まれたままだった。そんな状況の中、6月4日に開催されたのが『Ave Mujica 0th LIVE「Primo die in scaene」』だ。会場となる中野サンプラザは、Ave Mujicaの正体をいち早く目撃せんとするオーディエンスたちで埋め尽くされ、目に見えるほどの熱い期待が渦巻いていた。

Ave Mujica
Ave Mujica

 独特な雰囲気を醸し出すSEに導かれるように客電が落とされると、映写機が回りだす音とともに瞳のアップがスクリーンに投影される。そこに鐘の音や不気味な笑い声などが重なっていくことで、まるでゴシックホラーを想起させる雰囲気が会場を支配していく。その後、YouTubeで公開されていた謎の動画「ホントウノワタシ -再生-」から少女のモノローグ部分が引用されて流されることで、仮想と現実は次第にオーバーラップしていく。謎のバンドと出会った少女がぽつりとつぶやいた「そこに行くのは、きっと私だ。」というモノローグは、Ave Mujicaから届いた謎に導かれて中野サンプラザに足を運んだ一人ひとりの心の声に重なっていく――。

 ステージには黒いローブを纏い、フードを被り、仮面をつけた5人。美しく怪しげなピアノの旋律に導かれ始まったのは1曲目「黒のバースデイ」。バンドはギター&ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムというオーソドックスなスタイルだが、ドラムはオープンハンドスタイルでツーバス、ベースは5弦で、ギターは共に7弦を使っていることに驚く。その編成が生み出す圧倒的な音圧で会場を揺さぶりにかけ、その上で存在感のあるボーカルがAve Mujicaの世界観を強く引き受けたリリックをメロディに乗せて放っていく。ライブ冒頭から叩きつけられた、各メンバーの持つ凄まじい音楽スキルにオーディエンスは大きな歓声で応戦していく。2曲目にはangelaのカバー「KINGS」を披露、会場をさらに大きく沸かせる。スラップベースをたっぷり盛り込むなど、Ave Mujicaとしてのオリジナリティを感じさせるアレンジメントが施されているのが頼もしい。

 ライブは冒頭からの流れを受けて、モノローグによるストーリーを挟み込みながら進行していく。三日月の映像をバックにプレイされた「ふたつの月  ~Deep Into The Forest~」では、ヘヴィで耽美な世界を描き出した。曲中、ボーカルとギターの2人が背中合わせで演奏するというエモーショナルなシーンも。そこから間髪入れずに届けられたのはALI PROJECT「暗黒天国」のカバー。シャッフルから高速2ビートへとなだれ込むドラムの技巧に唸らされる。イントロから会場にoiコールが鳴り響いたのは、“バンドリ!”の先輩バンドであるRoseliaの「Determination Symphony」のカバーだ。楽曲自体が持つパワーに負けない圧巻の演奏と力強く伸びやかなボーカリゼーションは、Ave Mujicaの計り知れないポテンシャルをしっかり提示してみせた。

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