MyGO!!!!!×トゲナシトゲアリ、メディアミックス発の2大ガールズバンドが激突 シーンの新展開を期待させた対バンを観て

『BanG Dream!』(以下、『バンドリ!』)プロジェクトから生まれた“現実(リアル)と仮想(キャラクター)が同期するバンド”MyGO!!!!!と、アニメ『ガールズバンドクライ』と連動するリアルバンド・トゲナシトゲアリ(略称:トゲトゲ)が、初の対バンライブ『Avoid Note』を1月12日にTOKYO DOME CITY HALLで開催した。『バンドリ!』と『ガールズバンドクライ』はそれぞれガールズバンドを題材としたメディアミックスプロジェクトながらも、これまで交わり合うことは一度もなく、MyGO!!!!!に関しては『バンドリ!』のリアルバンド以外との対バンもこれが初めて。新年早々に実現したこのスペシャル企画で2組がどんなステージを繰り広げるのか、早くから注目が寄せられていた。

左右対称ながらも上手側が赤、下手側が青と、『Avoid Note』のメインビジュアル(赤側がトゲトゲ、青側がMyGO!!!!!)を思わせるセットと、2バンド分のセッティングが確認できるステージを前に、開演前から興奮を隠せない様子のオーディエンス。定刻を過ぎた頃に会場が暗転し、ステージ後方のスクリーンにオープニング映像が流れ出すと、フロアの熱気は一気に加速する。そして、60秒のカウントダウンでさらにテンションを高めていくと、ステージにMyGO!!!!!のメンバーが登場。ステージ下手に立つ愛音(Gt/CV:立石凛)のアルペジオに続いて、上手後方に位置する立希(Dr/CV:林鼓子)がハイハットでカウントを刻むと、バンドは「迷星叫」から勢いよくライブをスタートさせた。
MyGO!!!!!は昨年末12月22日に日比谷公園大音楽堂でのワンマンライブ『MyGO!!!!! 7th LIVE「こたえなんてなくても」』を開催したばかりだが、当日はそよ(Ba/CV:小日向美香)が不在のため4人でライブを決行。満を持しての完全体でのステージとあって、オープニングから躍動感と生命力が強く伝わる演奏で観る者を魅了する。ステージ中央に構える燈(Vo/CV:羊宮妃那)は拳を掲げながら、力強くも透明感あふれる歌声を届け続け、ステージ上手に立つ楽奈(Gt/CV:青木陽菜)は随所でテクニカルなプレイを織り込み、楽曲に彩りを加えていく。筆者がMyGO!!!!!のステージを観るのは久しぶりだったが、数々のステージを経験していく中でMyGO!!!!!らしいグルーヴが確立されていることを、この日のライブで確認することができた。
これまでのステージ同様に、アニメのキャラクターが目の前に実在するようなMCはこの日も健在。トゲトゲとの対バンを喜びつつも自分たちらしさを崩さない姿勢は、そうした一面でもしっかり貫かれていた。かつ、曲間では燈が「もっと声出せますか?」など煽りを入れたりシンガロングを促したり、あるいは愛音と楽奈が背中合わせでギターを弾いたりそれぞれステージ端まで移動してオーディエンスにアピールしたりと、単にキャラクターの再現を目撃するのではなく「今、目の前でリアルのバンドがライブをしている」実感も得られることができ、『バンドリ!』の世界観を大切にしながらMyGO!!!!!としての個性を極めようとする姿にバンドとしての成長を感じ取ることもできた。

楽曲に関しても、ストレートなギターロックやオルタナティヴロックを軸にしつつ、燈が歌う主旋律に楽奈による高音ハーモニーが絡み合う「無路矢」や燈のポエトリー調ボーカルが異彩を放つ「潜在表明」などでMyGO!!!!!らしさを提示。こうした楽曲群は普段トゲトゲの楽曲に慣れ親しんでいる層にもしっかりアピールできたのではないだろうか。MyGO!!!!!、そしてトゲトゲのファンをしっかり巻き込みながら、ラストはパンキッシュなアップチューン「音一会」でエモーショナルさを極め、約50分におよぶMyGO!!!!!のステージは終了した。