「BiSを思い出して、研究員を思い出して、前向きに生きていける」 最後の日に第3期BiSが残した笑顔と涙

第3期BiSのラストライブ『Finale of third BiS』が1月12日に東京・日比谷公園大音楽堂で行われた。真冬の野外でメンバーと研究員(ファンの呼称)が全力でエネルギーを交わし合ったこのライブの模様をレポートする。

開演前のメンバーによる影アナの時点で客席の全エリアから上がっていた、ものすごい歓声。そして大音量が鳴り響き、1曲目「LET’S GO どうも」がスタートした。勢いよくステージに飛び出してきたトギー、ナノ3、ヒューガー、イコ・ムゲンノカナタ、クレナイ・ワールズエンドを出迎えた雄叫びが爆発。歌って踊る5人も全力だが、研究員のコールも凄まじい。「DA DA DA DANCE SONG」と「teacher teacher teacher」も連発されると、早くもライブの佳境を迎えたかのような熱気が野音を包んでいた。



メンバー各々の自己紹介の後、クレナイ・ワールズエンドが「みなさん、まだ寒いですか? まだみんな寒そうなので、あたたまるために声を出していただきましょう!」と研究員に呼びかけて、客席の各ブロックと交わしたコールアンドレスポンス。そして、「テレフォン」「DEAD or A LiME」「悲しみを纏う男たちの行進」が燃え上がるかのような勢いで披露されたが、照明の光で彩られたステージ上でパフォーマンスを繰り広げる5人の姿が美しい。一曲一曲を大切に育んできた活動の軌跡を実感させられた。メンバーがひたすらスクワットをし続ける「thousand crickets」では、研究員もスクワット。不穏なムードを醸し出すこの曲はBiSのライブの名物のひとつであり続けてきたが、野音の規模で繰り広げるとまるで超常現象のよう。爆音と雄叫びが夜空に向かって号砲のように打ち上げられた「FUCKiNG OUT」も痛快だった。



「全員の上着を剥ぎたいんですよ。みんなが『裸になりたい!』って言うくらい、もっともっと真冬の野音を真夏にしたいんです。世界一熱くなる準備はできてますか?」――追い剝ぎのようなヒューガーの煽りのMCを経て、強力な曲たちがさらに届けられた。西海岸パンクへのリスペクトを満載した「BASKET BOX」、開放的な盛り上がりを生んだ「STiLL BE CHiLD」、キュートなメロディに合わせて研究員も明るく踊った「LOVELY LOVELY」、ラップパートも交えつつ5人各々が歌声の魅力を煌めかせた「Olenimorph, Ole」、デジタルハードコアサウンドの「イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム」、瑞々しいメロディの疾走が雄々しかった「I WANT TO DiE!!!!!」……多彩なクリエイター陣が生み出したサウンドがかっこいい。約5年間にわたる第3期BiSの活動は、先鋭的な表現の探求でもあったことを実感させられた。



「このメンバーになってからずっとやり続けてきた曲で、いつか大きな場所で、みんなで拳を挙げてジャンプして肩を組んで、みんなで気持ちがひとつになれるような曲になったらいいなあって思いながらやってきました。『ライブでこの曲があれば大丈夫』って思えるような、お守りみたいな大切な曲になりました。どんな楽しみ方でもいいので、最高の時間を一緒に作りましょう!」――ナノ3が呼びかけてからスタートした「なまえをよんで」は、肩を組み合ったりしながら興奮を露わにする研究員の熱気が絶大だった。続いて「this is not a love song」や「つよがりさん」も披露されると、盛り上がりはさらに急角度で上昇。「一緒に遠くまで走ろう!」というヒューガーの言葉とともに突入した「R.U.N」は、研究員の熱い声が5人の歌を彩った。本編ラストの「BiS-どうやらゾンビのおでまし-」は、大量の人々が客席で飛び跳ね続ける風景が壮観。2019年にリリースされた際は第3期BiSの始動を感じさせるフレーズだった〈行かなくちゃ僕ら〉が、お別れの言葉のようにも感じられたのが少し切なかった。しかし、そんな湿っぽい感傷をすぐに打ち砕いてくれるのがBiSのライブだ。ステージ上の5人と研究員の交わし合った熱量が爽快だった。

