「w-inds.の状態はアルバムを聴けばわかる」 『Nostalgia』ツアーを経たポジティブなムード、『winderlust』制作背景に迫る

w-inds.『winderlust』インタビュー

 w-inds.が16作目のオリジナルアルバム『winderlust』をリリースした。配信シングル「Run」「FAKE IT」「Imagination」、さらに「世界レベルのトラックが作れたと思っています」(橘慶太)というリードトラック「Who’s the Liar」を含む本作は、“w-inds.として、ファンと一緒に冒険を続けたい”というポジティブな意志に溢れた作品となった。また、キャリア初期の楽曲で構成された昨年のツアーのステージを収めた『w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”』(DVD/Blu-ray)も同時リリース。新作の制作、現在のw-inds.のモードについて橘慶太、千葉涼平に語ってもらった。(森朋之)

過去の曲を披露するというのは、自分たちの宿命、使命でもあると思う

w-inds.(撮影=梁瀬玉実)

――まずは『w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”』について。初期の楽曲を中心としたツアーでしたが、手ごたえはどうでしたか?

橘慶太(以下、慶太):「大好評だった」というのが一つの答えかなと思ってますね。ツアーの前は「絶対に盛り上がってもらえるだろうな」と思う一方で、ちょっと不安もあったんです。過去の楽曲を新たに表現するわけだし、「昔のほうが良かった」と思われたらどうしようって。しかも演出家も入れず、全部自分たちでライブを作ったので、もし失敗したら全責任を背負うことになるなと。そういう気持ちは少なからずあったんだけど、やってみたらみなさんに楽しんでもらえたし、気づけたこともいろいろあったんですよね。w-inds.の良さだったり、今後、自分たちが歩くべき道だったり。

千葉涼平(以下、涼平):『Nostalgia』には、久々に来てくれた方もけっこういらっしゃったんですよ。「10数年ぶりに来ました」みたいな声もいただいたし、再会じゃないけど、「こういうライブじゃなかったら、交わることができなかったかも」と思うこともあって。慶太が言ったように、始まる前は緊張感もありましたけど、みなさんすごく楽しんでくれて、本当にやって良かったなって思ってます。

――w-inds.の楽曲の魅力を再確認する機会でもあったのでは?

涼平:いい曲しかないなと思いませんでした?

慶太:うん。

涼平:当時は自分たちも10代で。今と昔で曲に対する感じ方も変わっているし、長く活動しているからこそ、考えさせられることも多かったですね。

慶太:1曲1曲に対する思い出が自分たちにもあるし、ファンのみなさんにもあると思うんですよ。その頃のことが蘇ってくる瞬間は昔の楽曲ならではですよね。リハーサルのときからウルウルする瞬間もあって(笑)。

涼平:ハハハ(笑)。

慶太:思い出が蘇るのもそうだし、メロディや歌詞の美しさを感じることがたくさんあって。それも相まってグッときてましたね。

――タイトルも『Nostalgia』ですからね。アーティストによっては、過去の曲を披露することで「懐かしい」と思われることに否定的な方もいると思うのですが、慶太さん、涼平さんは肯定的に捉えていて。

慶太:僕たちもどっちかというと「懐かしいと思われたくない」という感じだったんですよ。前作の『Beyond』ツアーは過去曲ナシで構成していましたし。でもそのツアーでいい評価を得られたことが自分たちの自信につながって。それがなかったら「もっとチャレンジして、今のw-inds.を見せなくちゃいけない」ということばかりになっていただろうし、『Nostalgia』はやってなかったでしょうね。『Beyond』ツアーを楽しんでもらえたことで、「ちょっと足を止めて、過去の曲を見つめ直す時間があってもいいんじゃないか」という余裕ができたので。過去の曲を披露するというのは、自分たちの宿命、使命でもあると思うんですよ。ファンのみなさん一人ひとりの思い出を僕らが預かっているというか、タイムカプセルを開けるように昔の曲をライブで披露することで、みなさんの思い出――そのなかには苦しかったこともあると思うんですけど、それも含めて「いい経験だったな」という思い出に変えてあげられたらなと。

涼平:慶太がw-inds.の曲を作る体制になって、それが当たり前になって。過去の曲だけに頼るのではなくて、新しい曲も古い曲もフラットになっているというか、「どっちもいいよね」という感じなのかなと。あとは自分のスイッチを替えるだけなので。両方いいんですよ。

慶太:僕たちもそうだし、ファンの人達もそう言ってくれるんですけど、昔の曲をずっと聴いていると今の曲を聴きたくなるし、逆もそうで。人間ってそういうものですよね(笑)。

これだけ前向きな曲ができたということは、自分自身が前を向いている

w-inds.(撮影=梁瀬玉実)
橘慶太

――では、ニューアルバム『winderlust』について。まさに今のw-inds.が表現された作品ですが、制作はいつ頃から始まったんですか?

慶太:1年前くらいかな。今回はわりと時間をかけて作りました。

涼平:前作の『Beyond』がかなりタイトだったからね。

慶太:1年経つと気持ちも変わるし、一貫性のあるアルバムかというと、そうではない気がしていて。1曲1曲、そのときのw-inds.がやりたかったことを形にできたし、すごく面白いアルバムになったと思っています。

――アルバムの前半はメロウなミッドチューンが中心で、“大人のw-inds.”という雰囲気。後半は攻めたダンストラック、ポップに振り切った曲もあって、メリハリがしっかりしてますよね。

慶太:それも狙ったわけではないんですけどね。もちろん作っていくなかで「こういう曲がほしいな」ということもあるけど、自然に作り上げていた感じが強いです。

涼平:曲ができたら、「どう?」みたいな連絡があって、レコーディングして。そういう時期がけっこう長かったです。

慶太:『Nostalgia』のツアーもあったからね。曲はできているんだけど、千葉さんがスケジュールを出してくれなかったり(笑)。

涼平:俺待ち(笑)。ツアーに影響が出るのも嫌だったので、タイミングを見ながらレコーディングさせてもらいました。

――制作、歌録りは慶太さんのプライベートスタジオで?

慶太:そうです。この前も涼平がウチに来てくれて。レコーディングが終わって、おすすめのパスタの麺をお土産に渡したんですよ。2週間経っても食べてないみたいなので、返してほしいです(笑)。

涼平:ハハハハ(笑)。

慶太:そんな感じで楽しくやってます(笑)。やっぱり、自分のスタジオがいちばんやりやすいんですよ。外のスタジオで録ることもあるんですけど、それを家のスタジオで聴いてみると新たに気づくことがあったりして。後悔しないためにもできる時は自分のスタジオで録りたいんですよね。

――『winderlust』というタイトルについては?

慶太:曲が揃ってから決めました。「Wanderlust」という言葉があって、ドイツ語で“冒険”とか“旅への願望”みたいな意味なんですけど、それとw-inds.を掛け合わせて。僕たちの冒険が続いていく、旅が続くというメッセージを込めています。

――それが今のw-inds.のモードだった?

慶太:そうですね。今回のアルバムは前向きな曲が多くて。歌詞を書くと、どうしても自分と向き合いますからね。フィクションで書く場合もあるんですけど、これだけ前向きな曲ができたということは、自分自身が前を向いている、w-inds.としてもポジティブな状態なんだろうなと。

涼平:『Nostalgia』で過去を振り返ったことも大きい気がしていて。そういう時間を経て、w-inds.として、ファンの方々と一緒に進んでいきたいというメッセージにつながったのかなと。

――素晴らしい。

慶太:『20XX “We are”』を聴くと、前向きではあるんだけど「辛いことを乗り越えようとしてるんだろうな」ってすごく感じるんですよ。

涼平:いいアルバムだけどね。ネガティブな感情を持ったまま進んでいこうという感じがあるけど、時期や時代的なこともあったので。

――新体制になって最初のアルバムであり、コロナ禍でリリースされた作品ですからね。

涼平:そうそう。今はもっと強い気持ちを持って進めているのかなって。

慶太:アルバムを買ってもらえたらわかると思いますけど、今はいい状態ですね。w-inds.の状態はアルバムを聴けばわかる(笑)。

涼平:そうだね(笑)。

w-inds.(撮影=梁瀬玉実)
千葉涼平

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