yama、渾身の歌声で魅せたこれまでの“歩み” 三部構成で紡がれたコンセプトライブ『Life is Beautiful』

yama『Life is Beautiful』レポ

 2024年12月24日、yamaにとって初のコンセプトライブ 『Life is Beautiful 2024』 の東京公演が、昭和女子大学 人見記念講堂にて開催された。“音楽と、映像と物語で構成するyama初のコンセプトライブ”と銘打たれた今回の公演は、ライブ全体を通して一編の物語を紡いでいく特別な構成のもの。本稿では、いつものライブとは似て非なる驚きや興奮、感動が次々と押し寄せてきた同公演の模様について振り返っていく。

 開演時間になると、会場が暗転。スクリーンに映し出されるのは、漆黒にも近い濃い青を基調とした暗い風景。その上に重なるyamaの声によるナレーションは、海底に向けて深く落ちていく主人公が胸に抱く切実な孤独感を伝えていく。そして、ステージに立つyamaにピンスポットライトが当たり、yamaはアカペラで「ブルーマンデー」を歌い始める。ホール全体に響く力強いバンドサウンドとは裏腹に、その上に乗って届けられるのは、けだるげな無力感を伝える言葉たち。〈沈んだままのソファーひとつ〉という歌詞が、今回の物語における海底の景色と深く溶け合う。続いて、「桃源郷」へ。この流れの中で披露されることで、〈桃源郷の場所なんて見当もつかないわ/だから此処でサヨナラ〉という閉塞感が滲む言葉たちがグッと際立つ。次々と楽曲が披露されていく中で、スクリーンには、暗い海の中を飛び交う光の映像が映し出されていく。

yama(撮影=ヤマダマサヒロ)

 「Oz」では、〈ひとりぼっちにはさせないでよ〉という他者を求める言葉に呼応するかのように、スクリーンにオレンジ色の光が灯る。ただ単に孤独に打ちひしがれるだけではない。「ないの」では、〈想像してたんだ  生きる意味を〉と、他者と共に生きる理由を希求する意志が歌われ、そして「愛を解く」「a.m.3:21」を経て、第一部の幕締めを担う「春を告げる」へ。スクリーンには、桜の花びらが華々しく舞い散る映像が流れるが、〈ここには誰もいない〉という言葉が歌われるたびに会場が暗転、ピンスポットライトがyamaを照らし、決して拭い切れない孤独の心傷を幾度となく浮き彫りにしていく。

yama(撮影=ヤマダマサヒロ)

 続いて、第二部の幕開けを告げる映像が流れる。自分にとっての本当の居場所を探すために、海底から、空の"青"を目指す主人公。ここからは、黒い衣装のyamaとキーボードの2人体制でのパフォーマンスが始まる。「真っ白」では、ライト&スモークがステージを満たし、文字通り「真っ白」な景色の中で、yamaの深淵な美声と真っ黒なシルエットが美しく際立つ。「Lost」では、〈瞬く星座は  今もあの日のまま〉という歌詞に合わせて、スクリーンを無数の黄金の光が満たし、喪失を超えて〈生きる事の意味〉を求める意志が歌い届けられる。続く「新星」では、ステージ上に点在する10数個のライトが一斉に点灯、また、ここからバイオリンが合流し、2人体制のライブパフォーマンスに豊かな彩りと躍動感が添えられていく。中盤のハイライトとなったのは、〈光の夜  手を伸ばせば/君に触れられる気がしたんだ〉と歌う「光の夜」、〈久しく見上げた 君の瞳は/滲んだ青だった〉と歌う「天色」の2曲。歌い終えたyamaは、「ありがとう」と一言告げ、ステージを去っていった。

yama(撮影=ヤマダマサヒロ)

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