osageの音楽は“カテゴライズされない” 異なるルーツを適材適所で発揮する4人のパーソナリティに迫る

osageのパーソナリティに迫る

 昨年8月、両A面配信シングル『マイダイアリー/透明な夏』でメジャーデビューを果たした4人組バンド osage。今まさに勢いを増し続けている彼らの久しぶりのCDリリースは、初のアニメタイアップ曲「フラグメント」(読売テレビ・日本テレビ系全国ネット TVアニメ『青のミブロ』第2クールエンディングテーマ)を軸とした4曲入りのEP『フラグメントe.p』だ。これまでもジャンルやスタイルにとらわれず多彩な楽曲を生み出してきた彼ららしく、収録された4曲はそれぞれに異なる個性を持ち、それぞれの方向でフロントマン・山口ケンタ(Gt/Vo)のメロディと歌のよさを引き出している。そんな改めての“名刺”のような作品を作り上げた今だからこそ、今回のインタビューでは彼ら自身のパーソナリティについて語ってもらった。ルーツ、楽器を始めたきっかけ、そしてosageを続けてくる中で感じたこと……楽曲同様に個性的な4人の言葉からは、このバンドのユニークさがきっと伝わることと思う。(小川智宏)

「4曲で多面体としてのosageを引き出したい」(山口)

――メジャーデビューしてから5カ月ほど経ちましたけど、どんな実感を持ちながら活動してきました?

山口ケンタ(以下、山口):7月末の渋谷WWW Xでのワンマンライブでメジャーデビューの発表をして、そこからリリースとなると約半年になるんですけど、その間、東名阪のワンマンツアーをやったり、レコーディングも同時進行でやって。幸せなことですが、忙しくさせてもらいました。

ヒロクサマ(以下、クサマ):すごくあっという間に過ぎていったなという感じがしますね。やっぱりメジャーデビューしてから仲間が増えたので、すごく心強いなって思いながら過ごしてました。

田中優希(以下、田中):うん。レコーディングにしろ、MVの制作とかにしろ、関わってくれる人が増えたのを実感しましたね。MVとかも今まで最小人数でやってることが多かったんですけど、とんでもない数のスタッフさんに準備してもらって、撮ってもらって。ある種、自分たちも気を引き締められるみたいな。

金廣洸輝(以下、金廣):メジャーのスピード感に追いついていくのに必死になるのかなと思ってたんですけど、やってることは変わってないので。徐々に体が慣れてついていけるようになってきたなっていう印象ですね。

――今回の表題曲「フラグメント」はTVアニメ『青のミブロ』のエンディングテーマに書き下ろした曲ですが、作っていく上でどんなことを考えながらやっていきました?

山口:原作ももちろんですし、アニメの企画書も読ませていただいて。そこで描かれている壬生浪士組(新選組の前身)っていうのが、すごくバンドにも通じるところがあったんですよ。ひとつの屋号を掲げて、その中で個性的なメンバーたちがひとつの正義の下で鎬を削っていくというか。それぞれ相反するところ、いがみ合う部分もあるんですけれど、最終的に目指すところが一緒っていう構図が、バンドを見ているようで面白いなと思って。なので、非常にシンパシーを感じるというか、親近感がある中で制作ができました。

――この曲でosageのことを知る人もたくさんいると思うんですけど、そういう意味ですごくいいなと思ったのは、この1曲を聴いただけではosageがどういうバンドなのかがわからないっていうところなんです。いろいろな顔があって、「こういうバンドだよ」っていうのを1色で見せないというか。もっと気になって聴きたくなっちゃう感じがする。そういう入り口をちゃんと作れたのが素晴らしいなと思いましたね。

金廣:EPを聴いたらよりわからなくなりますよね。

――そう。もっといろいろな顔が出てくるっていう。メジャーデビュー以降出してきた配信シングルはどちらかというとストライクをしっかり取りに行くような曲たちだった気がするんです。

山口:確かにそうですね。

osage - フラグメント [Music Video] (TVアニメ「青のミブロ」第2クールエンディングテーマ)

――だけどこの4曲はもっと自由に、いろいろな側面を見せていくような曲たちが並んでいますよね。

山口:このEPがメジャーデビュー後初のCDになるし、osageって「カテゴライズできない」っていうのもひとつの特徴だと思うので、4曲も入れられるって考えたらできる限り多面体としてのosageを引き出したいっていう思いでした。同じような系統の曲が入らないように、各ジャンルから1曲ずつ選曲をしていって1枚にしたっていう。同じような曲が入っちゃうと、どうしてもつまらないじゃないですか。

クサマ:osageが経験して吸収してきたいろんなことを詰め込んだっていうイメージが近いのかなと思ってます。それこそいろんなアレンジャーさんに過去に携わってもらって、そこから受けた影響もふんだんに散りばめられているので。

金廣:うん。これまでいろいろなアレンジャーさんと楽曲を作ったり、ジャンルレスにいろいろな色のある楽曲をやってきた、その集大成としてのEPだなって思いますね。

――そういうタイミングだからこそ、改めてosageというバンドがどんなパーソナリティを持っているのかを読者に伝えたいなと思います。

田中優希(Dr)のルーツ

田中優希

――もともとクサマさん以外の3人は高校の軽音楽部で最初に出会ったんですよね。田中さんは当時を思い出していかがですか。

田中:当時、軽音部で僕だけ違うバンドをやってて。その当時から山口と金廣は同じバンドだったんですけど……あんまり好きじゃなかったです(笑)。

山口:(笑)。

――どうして?

田中:なんだろう、たぶんほぼ妬みなんですけど、僕はその当時結構洋楽をやるバンドにいて。レッチリ(Red Hot Chili Peppers)とかやってたんですよ。でも2人はどちらかというと邦ロックをやっていて。

山口:アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とか、ELLEGARDENとか。

田中:それに対して、当時高校1年生で、ちょっと思春期だったんで、「うわ、ミーハー!」みたいな(笑)。それで最初は好きじゃなかった。途中、夏休みぐらいから金廣とは一緒にゲームをやるようになって、仲良くなったんですけど、山口とは高校3年間でほぼ喋ってないと思う。

山口:喋ってないね。だって、(田中が)Bon Joviとかやってたんで、全然話しかけられなかったですもん。

田中:文化が完全に違いましたね。でもみんな一緒の大学だったので、そこからだんだん仲良くなってバンドに誘われて、今に至るって感じです。

――じゃあ、田中さんのルーツは洋楽のほうが強かった?

田中:そうですね。ドラムを始めようと思ったきっかけは、中1ぐらいのときに父親に連れられて行ったB'zのコンサートでした。最初はバンドっていう形にそんなにこだわりがなくて、純粋にドラムを叩く場所が欲しいから軽音部に入ったんです。その過程でバンド音楽をたくさん聴いて、自分がドラムを叩くにはバンドの形態を取るのが早いし、自分のやりたいこともやりやすいと思った感じですね。

――B'zを観てドラムやろうと思ったのも珍しいですね。

田中:いつもツッコまれるんですけど(笑)、そうなんですよ。もちろん最初はB'zの2人を観に行くつもりで行ったんですけど、確か東京ドームとかで、そのデカい会場で一番インパクトを感じたのがドラムだったんです。そのライブの最初の音がドラムで、「なんだ、今の音!」みたいな。その印象が強く残りすぎて「ドラム始めよう」みたいな。その時からB'zにドハマリしたんで、「俺は将来B'zのバックバンドになる」っていう目標でドラム練習していました。

金廣洸輝(Gt/Cho)のルーツ

金廣洸輝

――金廣さんのルーツは?

金廣:僕はTHE BACK HORNですね。バンド音楽を聴き始めて最初に好きになったのがTHE BACK HORNで、「コバルトブルー」を聴いたときにすごくたぎるものがあって。そこから邦ロックがずっと好きで。だから洋楽をやっているのは斜に構えている感じがして(笑)。僕は僕で(田中に対して)「何やコイツ」と思ってたんですけど、上手いし、ゲームを通じて仲良くなって。彼(山口)はなんか文化祭でバク転とかしてたんで、ちょっと住む世界が違うなあと思ってました。

クサマ:同じバンド内で(笑)。

――そもそも金廣さんがギターを手に取ったのは何が理由だったんですか?

金廣:成り行きですね。一緒にバンドやろうと言った友達がドラムを始めて、残るはベース、ボーカル、ギターで。音痴なので歌はダメだとなって、ベースとギターってなったときになんとなくギターの方がかっこいいなって。それでなんとなく始めました。だからなりたい像みたいなのもなく、ずっとなんとなくやってきたんですよ。大学生活もバンド活動やって、なんとなく楽しいっていうか、夏休みの延長が続いてるみたいな。だからギタリストとしての覚悟みたいなものがなかったんですよね。でも……僕、もともとバッキングギターだったんですけど、リードギターになってから自分の中での「かっこいい」が変わったというか。やっぱり見せ方も変わるし、ちゃんとかっこいいギタリストになりたいなって思いました。

――そこでスイッチが入ったというか。

金廣:そうですね。スイッチが入りました。

ヒロクサマ(Ba/Cho)のルーツ

ヒロクサマ

――クサマさんのルーツは何なんでしょう?

クサマ:何だろうなあ……でもバンドとかロックに出会ったのは、中学1年生とか2年生ぐらいの時にBase Ball BearとかRADWIMPSとかサカナクションがメジャーデビューした直後だったりしたので、それで聴き始めたのがきっかけかもしれないですね。そこから洋楽とかにも入っていきました。

――ベースを手にするようになったきっかけは何だったんでしょうか。

クサマ:中学生の時に、一番最初に買ってもらったのがギターだったんですが、始めた瞬間、細かすぎて向いていないなと思って。「ごめん、ベースも買ってもらえませんか?」とお母さんにお願いして買ってもらったというのがきっかけですね。

――この3人と出会ってバンドに入ったときに自分の音楽の趣味と合う感じはありました?

クサマ:めちゃめちゃ合うなと思いましたし、もともとベースボーカルをやってたんで、「もっと骨太にしてやれるな」って。でもテクニカルすぎるベーシストはたぶんこのバンドには合わないなとも思って。それよりも、どちらかというと男らしさみたいな部分が必要というか、一番かみ合うんじゃないのかなと思ったので、かしこまりすぎないベースを弾くことは意識してましたね。

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