w-inds.、初期楽曲の連続でcrewを笑顔と涙に 新しい姿も届けた『Nostalgia』ツアーファイナル

w-inds.は彼らなりの高みを目指して、個々の楽曲やアルバム、あるいはツアーごとに、時にはダイナミックなまでの試行錯誤を重ねてきたグループだ。近年の楽曲のみで構成した『w-inds. LIVE TOUR 2023 “Beyond”』(2023年)を充実した形で終えたのち、2024年夏にスタートさせた『w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”』は、1stアルバムから4thアルバム、つまり初期の楽曲をメインに据えた構成で開催され、現在のw-inds. crew(ファン)のみならず彼らの楽曲とともに青春時代を送ったリスナーを中心に大きな反響を呼んだ。当初5公演を予定していたが追加に追加を重ね、最終的に18公演となった同ツアーのラストを飾った『w-inds. LIVE TOUR 2024-2025 “Nostalgia” The Final』(パシフィコ横浜)から、本稿では最終日の1月17日の模様を振り返る。
ライブは弾けるようにポップな「Feel The Fate」(2001年)で幕を開けた。カラフルな照明の中、真っ白な衣装で登場した橘慶太と千葉涼平はセットの2階から登場し、ダンサーズと当時の振りを再現する形で魅せていく。この演出は『w-inds.1st Live Tour “1st message”』(2002年)のオマージュのようだったが、これ以降もかつてのライブを彷彿とさせる演出が続いた。同ツアーでのオリジナル振付へのこだわりはツアー前のインタビュー等でも言及されていたが、まず驚いたのは2人の歌声だ。慶太はこれまで時期ごとに様々な歌唱アプローチにトライしているが、今回は原曲キーであったのはもちろん、デビュー当時の少年のような透明感溢れる歌声をミックスボイスも交えつつ披露。また現体制になって歌割を多く担う形になった涼平が、慶太と掛け合うスタイルでハイトーンを含む歌やラップも披露し、ボーカリストとしても確かな進化を見せていたことに、多くのcrewも驚いたのではないだろうか。

デビュー期楽曲の中でも10代らしい複雑な感情を目一杯詰め込んだような「Paradox」(2001年)では、先述のような透明感と甘さをフィーチャーした2人のボーカルが溶け合い、言葉を選ばずにいうなら“双子感”を醸し出していて印象深かった。この曲を含め複数の曲でメンバー1人+ダンサー2人で3人のフォーメーションで踊っていたのも、当時を思い出させる演出といえるかもしれない。
同ツアーで披露された大半の楽曲を手掛けたクリエイター・葉山拓亮による「四季」(2004年)では、慶太と涼平が鏡合わせのように向き合いパフォーマンス。アッパーな曲に漂う瑞々しさもデビュー期ならではだが、葉山作品が持つどこか憂いを感じさせるメロディは、バラードやミディアム曲で映えると改めて感じた。「Another Days」(2002年)などバラード~ミディアム曲での2人のハーモニーの美しさも出色で、デュオとして初期w-inds.を表現することに成功していたのではないかと思う。現在でもライブの定番曲になっている「SUPER LOVER~I need you tonight~」(2003年)では初期のコール&レスポンス「W! I! N! DS! w-inds.! w-inds.!」を復活させ、会場を爆発的に沸かせていた。
MCで「ツアーファイナルは今の季節に合わせて『Nostalgia』の良さを残しつつ、冬の名曲たちを盛り込んだ」(涼平)とコメントがあったが、この2DAYSで久しぶりの披露となった「空から降りてきた白い星」(2003年)では、慶太の冒頭の美しいフェイクや、椅子を使ったセクシーなダンスにも歓声が上がっていた。“蒼い時代”の楽曲を矢継ぎ早に繰り出していく中、「Night Flight~夜間飛行~」(2003年)では黒いトップスに着替え、色味を押さえた照明でしっとりとした世界観へと転換。リリース当時としては少し背伸び感があった作品かもしれないが、改めて彼らのレパートリーの良曲の多さに驚かされる。
このあとライブがバラードブロックに移るためMCで着席を促したものの、気分が高ぶりすぎたのかなかなか座らないcrewに向かって「みんな、いいから早く座れ?」と学校の先生のような慶太からのお叱り(?)に会場が笑いに包まれた。そんなバラードブロックの中でも、この“The Final”用に盛り込まれた「ageha」(2005年)はやはり久々の披露となった名曲で、crewたちにとっても嬉しいサプライズになったであろう。このツアーでは各楽曲のラップパートもワイルドで勢いのある初期のカラーを踏襲するスタイルで披露され、当時の楽曲の雰囲気を活かす試みがなされていた。

慶太の超高音フェイクが光った「Deny」(2003年)に続き、00年代初頭風のヒップホップファッションにチェンジしてのダンスブリッジがスタート。この部分も『w-inds.1st Live Tour “1st message”』のオマージュのようで、2人とダンサーズでブレイキンの技を目一杯に盛り込んだパフォーマンスを繰り出していく。
初期曲縛りということで前半もそうだったのだが、ポップな楽曲を現在のソリッドなダンススタイルで魅せる「try your emotion」(2002年)あたりからは同窓会的なパーティ感が漂う展開に。“The Final”用にチョイスされた「Winter Story」(2001年)ではcrewもハンドクラップで参加し、この日一番の一体感が生まれていた。
MCでは「僕も歌っていると17歳になれる(笑)。音楽ってすごく不思議な力を持っていて、一人ひとりの思い出をフラッシュバックさせてくれることがありませんか? このツアーで改めてw-inds.の歴史ある曲たちがみんなに愛されているんだと再確認できたし、大げさかもしれないけど、僕たちがみなさん一人ひとりの思い出を請け負っているんだという気持ちも生まれて。だからこそ、僕たちがw-inds.の歴史ある曲たちを歌い続けるのは、ある意味宿命なのかな? と思いながらツアーをやってきました。どこの公演でもみんながすごく楽しそうにしてくれているのが見えて、やってよかったなと思います」(慶太)の発言に拍手が巻き起こっていた。「みんなの笑顔だったり、涙だったりを見る機会がほんとに多いツアーだったね」と涼平も客席と目線を合わせながら答える。
