moon drop、『Sweetest』で伝えたいメッセージとは? 「僕らのラブソング」「みよじ」誕生秘話を深掘り

1月15日、moon dropの最新アルバム『Sweetest』が配信リリースされた(1月29日にCDがリリース)。今回のインタビューの中でメンバー自身が語っているように、今作はバンドとして、そしてメンバー個々人の成熟を色濃く感じさせるという意味で、彼らにとって大きなターニングポイントとなる作品である。全10曲の収録曲それぞれから4人の確かな成熟を感じ取れるが、今回は、特に大きな変化を感じさせる2曲に絞って話を聞いていった。その1つが、自分たちのファンへのメッセージを真っ直ぐに伝える「僕らのラブソング」、もう1つが、moon dropにとって初のウエディングソング「みよじ」。作品そのものがそうであるように、今回4人が語ってくれた力強い言葉たちは、これから先のバンドのさらなる飛躍を深く予感させてくれるものだった。(松本侃士)
“大人”としての成長を感じる『Sweetest』
ーーはじめに、今作に対する手応えについて教えてください。
清水琢聖(以下、清水):表現が合ってるのかわかんないですけど、大人になったなって感じがしました。今までのフルアルバムって、サウンドが激しくて、(浜口)飛雄也の歌詞もちょっとトゲトゲしいみたいな曲を絶対に入れてたんですけど、今回は入ってなくて。完成したアルバムを通して聴いてみて、すごく新鮮だなって。
坂知哉(以下、坂):たしかに、大人だなって思いました。タイトルも、今まで日本語の文章っぽい感じだったのが、今回は、英単語一発でバンっていう。今までの流れと違うアルバムができた手応えがあります。
ーー1曲目の「僕らのラブソング」は、今回の収録曲の中でも特に重要な1曲だと思います。他の曲においては、“私とあなた”、“僕と君”のように、主人公と相手との関係性が描かれることが多いのですが、この曲は、他の楽曲と観点が大きく異なる、さらに言えば、moon dropとファンの関係性を描いているように感じました。
浜口飛雄也(以下、浜口):今までは、誰かの背中を押すとか、そういうつもりで曲を書いたことってあんまりなくて。でも、ここ数年、特に2024年を振り返った時に、やっぱりmoon dropのことを応援してくれている人たち、いつも気にかけてくれている人たちに、すごい助けられたなって思ったんです。で、そういう人からいつもいろんなものをもらってばかりだったので、このアルバムでは、僕らから何かを返したい、応援歌と言ってしまえば応援歌なんですけど、「この曲があるから大丈夫」って思ってもらえるような、そういうお守りになるようなものを渡したいなと思って。
ーー今のお話を聞いた上で改めてタイトルを見てみると、「僕らの」という所有格に、moon dropとファンの関係性を色濃く感じます。
原一樹(以下、原):僕も、この曲の歌詞を見た時に、他の曲のような1対1の関係性ではないなって思いました。moon dropとして、ファンの皆さんに送り届ける曲として、この曲はすごい重要なものになっていくんじゃないかなって感じましたね。
清水:きっとこの曲は、このアルバムや今回のツアーのテーマソングになるんだろうなって感じたんですよね。それで、アルバムの1曲目に持っていきたいなとは思っていました。
浜口:この曲は、お客さんと一緒にライブを作ることができる曲だなって思ってるので、今からお客さんの声を聞くのが、すごく楽しみです。
ーーこれまでの楽曲と比べても、王道のJ-POP感が強いというか、圧倒的に、華やか、煌びやかですよね。
浜口:そうですね。ライブですごい映える曲にしたくて、編曲を担当してくださったSUNNYさんにも、そういう気持ちを合わせてお伝えした上でご一緒させていただきました。
ーーSUNNYさんとのやり取りで、何か印象に残っていることなどがあれば教えてください。
坂:もともと僕らでアレンジを考えていた時は、ちょっとキメが多すぎるかなって抜いてたんですけど、SUNNYさんの提案でキメがどんどん増えていって、結果的にそのキメの連続がすごく印象的になったと思っています。
原:ドラムで言うと、ラスサビ前、もともとは普通に流れるような感じだったんですけど、SUNNYさんと相談して、コンビネーションのフレーズを入れて。結果、ラスサビにいくぞ! って感じがすごく出て、今回もご一緒させていただけてすごくよかったなと思いましたね。
ーー清水さんは、アレンジを組み立てていく時、もしくは、レコーディングの時のことで、何か印象に残っていることはありますか?
清水:僕はそれこそギターソロで、ソロ1とソロ2に分かれてるんですけど、転調前の1の部分がまったく思い浮かばなくて、どうしようと悩んでいたんです。夜中に休憩がてら録音ボタンを押しながらギターを弾いてたら、これいいかもって思えて。
ーー極めて感覚的なお話だと思うので言語化するのが難しいかもしれないですけど、「これいいかも」と思った時の感覚って覚えていたりしますか?
清水:いつもそうなんですけど、歌を際立たせるために、特に今回のアルバムではあまり我を出さないようにしています。ただ、このソロ1に関しては我を出しまくっています。上京前、名古屋でギターのレッスンをしてくれていた先生と一緒によくジョン・メイヤーのコピーをしていたんですけど、その頃に培ったものを出せたソロになったんじゃないかなって。
坂:ジョン・メイヤーやったんや!