中島健人がU:nityへ贈る愛の花束、決意の一夜を振り返る 「僕というアイドルを選んでくれてありがとう」

中島健人、ソロコン&囲み取材レポート

 「『アイドルでいられるかな?』って思ってた時期もあったのね」――そう話した中島健人はこの1年、どれほど悩んで、渦巻く感情と向き合ってきたのだろう。昨年末にリリースされた1stアルバム『N / bias』を携え、有明アリーナで3日間にわたり開催された『KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”』。1月19日の最終公演で、昨年からのソロ活動を振り返りながら、彼は素直な想いを打ち明けた。「でも、負けるわけねぇなって思うわけよ。ずっとプライド持ってやってきたし。一緒に歩んできたじゃん、みんなと」と、涙をこらえながら客席を見つめる。そして続けたのだ。「俺、たぶん死ぬまでアイドルだわ」――と。

 公演前に行われた囲み取材でも、中島は「これからもアイドルだし、僕のことを応援してくれるファンの皆さんも僕にとってはアイドルなので。素敵なリスペクトの関係を今後も続けられたらいいなと思っています」と語っていた。環境が変わり、「人生の中でも特に濃い1年だった」という2024年。支えになったのはU:nity(ファンの呼称)の存在だったという。今回のライブはU:nityと直接会える場所ということで、「1年間お待たせしたので、やっと恩返しができるなと思っています」と喜びを滲ませた。

中島健人(撮影=河村美貴(田中聖太郎写真事務所))

 昨年、同じく新たなスタートを切ったtimeleszについて問われると、「刺激、めちゃめちゃ受けてますよ」と即答。「『お互い面白いことをやっていこうね』って言って、それぞれのストイックを追求した結果なので」「応援してます、もちろん」と語った。

 そんなグループ所属時代から、作詞作曲などのクリエイティブに意欲を見せていた中島。今回のライブの演出も彼自身がプロデュースしており、“ジョーカーの話”がテーマだという。冒頭、メインステージから花道を抜け、センターステージに立った中島はアカペラで「ピカレスク」のサビを噛みしめるように歌い上げる。沸き起こる歓声とともに重厚なサウンドが響きわたり、本格的にライブがスタートした。演説台を模したセットでの歌唱を含めた「N / o'clock」を経て、「388日ぶりのステージです。お待たせ」と呼びかけると、「ヒトゴト」ではスクリーンにSNSをモチーフにした映像が登場。ライブ自体がSNSを通して生配信されているかのような演出で届けられた。

 セットリストには、グループ時代のソロ曲も含まれていた。4人のダンサーと届けた「Teleportation」は、2012年に発表された初のソロ曲。スタンドマイクを巧みに操りながらパフォーマンスした「Bye Bye Me」に続き、2020年発表の「SHE IS...LOVE」では曲の後半で高く舞い上がり(通称:Nフライング)、会場後方まで向かう。

 こうした過去曲も盛り込んできたことは、今の彼が、これまでの歩みの上で成り立っていると伝える意味もあったのかもしれない。29歳の時に作ったという「Scene29」では机のセットに向かい、歌いながら1冊の本を捲り始める。アルバムなのだろうか、スクリーンには幼少期の中島の写真がいくつも映し出された。途中で自分にカメラを向け、ペンを走らせたかと思うと、彼が見せたページには撮影した写真と日付、「一生愛してる!」の文字が。U:nityと過ごす今この時間が、新しく1ページに刻まれていた。

 上昇するセンターステージで甘い歌声を響かせた「Jasmine Tea」、女性ダンサーと妖艶なムードを演出した「ROSSO」、紙吹雪が舞う中でにぎやかに届けられた「jealous」と、曲ごとにガラリと雰囲気が変わるライブはまったく先が読めない。

中島健人(撮影=田中聖太郎)

 次は何が起きるのかと期待が高まる中、この日は“GEMN”としてタッグを組んだキタニタツヤのゲスト出演というサプライズが待っていた。楽曲はもちろん「ファタール」。ハイタッチを交わし、センターステージに立った2人は、息の合ったダンスを繰り広げる。

 そして、2人は「カレカノ!!」で一緒にトロッコに乗り込んでアリーナを一周。トロッコは初だというキタニを見て嬉しそうな表情を浮かべる中島と、「(トロッコに乗れるのなんて)最初で最後だよ!」と嘆きながらもグッズのピカレスクの銃口(ペンライト)を構えて盛り上げるキタニ。ユニット活動を通して、彼らが絆を深めたことが伝わってくる一幕だった。キタニの曲紹介で「Love風」へと繋げると、再びトロッコに乗り込んだ中島は、「Hey!! Summer Honey」「Black Cinderella」でラストスパートを駆けていく。

 ライブはここまで、ストーリー仕立ての映像を随所に挟みながら進行していった。映像の中で花束を手にした中島は、指名手配犯として追われてしまう。追い詰められた矢先、ピカレスクの銃口を持った少女の助けによって再び逃走。最後の映像で、中島は少年とババ抜きをしていた。自分が負けてしまうのに、ジョーカーではない方のカードを取るよう少年に促す中島。彼の手元に残るジョーカーに花束が浮かび上がったところで、映像は冒頭のシーンに戻り、彼は再び花束を抱えて歩いていった。

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