THE ALFEEの“青春”はまだまだ続く デビュー50周年の喜びを分かち合った熱いステージを観て
音楽特化型アリーナ会場であるKアリーナ横浜にて8月17日、18日の2日間開催された、THE ALFEE恒例の夏のイベント『THE ALFEE 2024 Wind of Time 50年目の夏祭り』の2日目。台風7号が通過したと思ったら、大雨情報も出た神奈川県内。暑さも最高潮に達したこの日のKアリーナ周辺は前日に引き続き、“熱さ”を求めるTHE ALFEEファンであふれていた。先行予約も導入されていたものの当日グッズ売り場では長蛇の列が続き、「スポニチ創刊70周年×THE ALFEEデビュー50周年公式アニバーサリー新聞」も発売。「デビュー50周年」を記念したさまざまなイベントやTV出演など、ファンと言えども追えなくなるほど情報は日々更新。期待と興奮のなか開催される“夏イベ”ということで、4フロアからなる会場はこの日を待つファンでびっしり埋め尽くされていた。
開演を待ちわびる歓声と拍手が鳴り響く中、客電が消え場内が暗転するとメインステージにはドットイメージが彩り始める。浮遊する無数のライトが次々に形を変え「50」「A」「ALFEE」の文字が幻想的に浮かびあがる。SEが流れ、花道で続くセンターステージからスモークが漂うなか、高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井 賢(Vo/Ba)が登場。ステージごと上昇し、びっしりと埋め尽くされた会場を見渡し、観客の視線を一身に浴びると、ステージがもとの高さに戻り、3人は花道を通って、照明で形作られた「ALFEE」の文字が浮かぶメインステージに戻り、楽器を持って定位置に着く。ブルーと白の照明が光線のように降り注ぎ、オープニングナンバー「白夜-byaku-ya-」で本編がスタート。客席からは大歓声があがる。間髪入れずにドラムロールが鳴り響き「FLOWER REVOLUTION」へ。高見沢の「HEY! JUMP!!」の叫びに観客が一斉にリズムに合わせてジャンプする。高見沢が上手へ、桜井が下手へ、坂崎がセンターステージに移動し、明るくも力強いメッセージソングで会場を幸せなムードで包み込む。
メインステージに戻り「今夜も3人ともやる気満々。思う存分50年目のTHE ALFEEを堪能してください!」と坂崎がMC。坂崎のシンセドラムが鳴り響くと客席からは感嘆の声があがり、春ツアーでも披露された「シンデレラは眠れない」へ。美しいピアノの音が響くと、またも観客からは感嘆の声があがり「STARSHIP -光を求めて-」へと移っていく。前日の公演とは違うシングルヒット曲が次々と披露され、客席は期待にあふれていく。上手に坂崎、下手に高見沢、センターに桜井とポジションをチェンジし、ステージセットを効果的に使ったステージングを見せつける。曲が終わると左右のふたりは走ってメインステージに戻り、58作品連続ベスト10入りを果たしたDouble A-Sideシングル収録曲「ロマンスが舞い降りて来た夜」のイントロに。モータウンビートの弾むようなリズムとロマンティックな歌詞で紡がれるグルーヴで楽しい気分になれるナンバーだ。ステージ両脇に設置されたモニターには、高見沢をセンターに振付を三者三様に踊るMVが映し出され、センターステージに移動しギターソロを終えた高見沢が振付を実演する一幕も。
その後のトークでは踊った感じに手応えがあったのか、「踊ってきたよ、いい感じ。秋にまたさきトリオでやろう」という高見沢の提案も飛び出した。坂崎が客席に着席を促すと、ステージに用意されていた椅子に桜井が座り、その上に高見沢が座り、またその上に坂崎が座るお約束のパフォーマンス。Kアリーナの客席を眺めながら「本当に凄いよね。もの凄い迫力で、秩父の山を思い出す」と桜井が言えば、二人からの無茶振りで「秩父音頭」をラップ調で披露(前日は正調で披露)する羽目に。しばし笑いに包まれた後は、ライブハウス時代には十数人の観客の前で披露していたという、懐かしいナンバー「夕なぎ」が紹介されると、観客からはどよめきが起こる。坂崎のハーモニカが冴え冴えと鳴り響き、センターステージの3人には上からスポットがあたると、まるでライブハウスのような臨場感に。同曲を作ったときのエピソードや桜井営業部長による夏のイベントグッズ紹介を経て、再び3人は楽器を持ちライブへと戻る。
前日は1987年のシングル曲「君が通り過ぎたあとに -DON'T PASS ME BY-」を披露した7曲目、この日は1984年秋にリリースされたシングル「恋人達のペイヴメント」にチェンジ。美しいラブバラードに酔いしれたあとは、メインステージからドラマティックなピアノが聞こえ、高見沢のエンジェルギターが点灯し、3人がマイクを通さない“生声”でサビを熱唱するバージョンの「星空のディスタンス」に。個々の声量の大きさ、3人のハーモニーの美しさが体感できる贅沢なひとときに、観客からは大きな歓声と拍手が巻き起こる。円形のステージの全方位に向きながら演奏し、盛り上げた後はメインステージに戻っていく。
坂崎、桜井が一旦ステージを去り、高見沢のトークタイムに。これまでのセットリストが「夕なぎ」以外は全てシングル曲であることに触れ、シングル曲を歌うとその頃のこと、特に自分の髪型を思い出すという高見沢らしいエピソードも。そして「歩みを止めないでよかった」という言葉がしみじみと響く。「学生時代に出会ったバンドが50年経ったらこんな曲に辿り着きました」と、最新Double A-Sideシングルの「KO.DA.MA」へと進んでいく。この夏イベで初めて生で聴くが、哀愁を感じるメロディとハードなサウンドが、想像以上にライブで映えるナンバーだ。坂崎のアコースティックギターが鳴り響き、色とりどりに変わる照明の前方で炎が上がり、プログレッシヴな「幻夜祭」へ。壮大なナンバーのあとは照明が無数の矢のようにステージに降りかかり、ヘヴィなナンバー「ジェネレーション・ダイナマイト」のイントロが始まり、爆発音が鳴り響く。観客も疲れを見せるどころか、ますます会場内のボルテージが高まって行く。続いて鐘の音が鳴り、高見沢のボーカルで始まる「Heart of Justice」に。美しいブルーの照明のなかで放たれる希望に満ちあふれたこの曲の後半では観客もコーラスに参加し、ラストスパークに向け一体感を増していく。
そして、一旦暗くなったステージ中央の坂崎のみにスポットライトがあたる。坂崎がボーカルを取るナンバーの中でも特にファンの人気が高く、節目節目に演奏されラストの歌詞が変更されてきた、バンドにとっても大切なナンバー「Musician 2024」で本編ラストに。変更された部分の歌詞〈命の火が消えるときまで、君だけに歌い続けよう〉に込めた今の彼らの思いを、THE ALFEEとともに青春を歩み続けた観客はしっかりと受け止めたことだろう。
モニターには「マラカスライト」点灯の指示が出され、アンコールを待つ客席に色とりどりの光が点灯し始める。アンコールの歓声が響く中、ステージの照明はブルー、グリーン、ピンクのメンバーカラーに変わっておなじみのテーマソングに乗って、「祭」と印字されたネオンカラーの法被を着こんだ、まさるの「ま」、たかみーの「た」、さかざきの「さき」による「またさきトリオ」が登場して、いよいよ祭りムード全開に。Kアリーナを「毛、あり~な」ともじって笑わせた後は、春ツアーでも披露された墨田区出身の江戸っ子・坂崎の歌唱による北島三郎の「まつり」。そして、この夏、盆踊りで使われ話題になった「メリーアン」の音頭バージョン「メリーアン音頭」を演奏した。提灯が飾られたセンターステージには、4名のメリーアン音頭ダンサーがうちわを持って踊り、モニターにはこの夏行われた「秋田竿燈まつり」の「THE ALFEEの竿燈」、「青森ねぶた祭」の「THE ALFEE ねぶた」の映像が映し出され、祭の宴もたけなわに。彼らのデビュー曲「夏しぐれ」のB面「危険なリンゴ」をまたさきトリオが歌い踊ったあとは、「じゃあね、バイバイ」とテーマソングをバックに去っていく。