Little Glee Monster、アルバム『Ambitious』を語り尽くす さまざまな感情を共有しながら奏でる6人のハーモニー

リトグリ、『Ambitious』語り尽くす

 去年10月に結成10周年を迎えたLittle Glee Monster。そんな彼女たちがリリースする『Ambitious』はとにかく攻めた1枚に仕上がっている。収録された楽曲に耳を傾けると、成長していく中で、励ますだけでなく弱さを見せるようになった、グループの現在地がはっきりと見えてくるのだ。大きな節目を迎え、これからさらにグループを盛り上げるという“大志”を抱いた6人が目指すものは何なのか。いつも以上に複雑で繊細なハーモニーを奏でている6人が共有している感情をじっくり聞いた。(編集部)

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ブルーノート東京でのライブは「自分たちなりに新しい届け方や見せ方ができた」

かれん

──昨年行った前回のインタビュー(※1)では、ブルーノート東京でのクリスマスライブ『Little Glee Monster 10th Anniversary Christmas Special Live』を楽しみにしているとお話ししていました。開催からちょっと時間が空きましたが、せっかく今回のアルバム初回生産限定盤Aにクリスマスライブの映像が収録されるので、ここで当日のことを振り返ってみたいと思います。お客さんとの距離がかなり近かったですが、実際に経験してみていかがですか?

かれん:手を伸ばせばお客さんの肩とかに触れそうなぐらいの距離感で、お客さんの料理を盗もうと思えば盗めるほどの近さでした(笑)。あんなに落ち着いた雰囲気の中を歌うこともなかなかないし、普段のガオラー(リトグリファン)さんがいつもとはちょっと違うお洋服を着ていたのも新鮮でした。

miyou:事前にもっと張り詰めた場所をイメージしていたんですよ。

ほかのメンバー:えーっ(笑)!?

miyou:いや、本当に(笑)。普段ライブに来てくれているお客さんばかりだけど、ブルーノートにぴったりな装いで来てくれていたから、最初はすごくドキドキしたんですけど、ライブが進むにつれて表情を見ていたら「ああ、いつものみんなだ」みたいな安心感が湧いてきて。そういう意味では、自分たちなりに新しい届け方や見せ方ができたライブだったので、すごく面白かったです。

結海:クリスマスシーズンということで、アレンジも原曲から冬っぽく変えてみたり、このライブだからこそできる曲の届け方があるんだなと、1曲1曲歌いながら噛み締めていましたし、このブルーノートライブをきっかけに6人で初めて歌った曲もあったので、それがすごく嬉しかったです。

かれん:「Magic Snow」や「オレンジ」は、このブルーノート公演で初めて6人で歌ったので、私たちの中でも特別感は大きかったです。

ミカ:あと、前回のインタビューでお話しした「世界はあなたに笑いかけている -winter ver.-」も披露できました! こんなに早く実現するなんて……せっかくなので、今後はこの6人でのクリスマスソングを作ってみたいです。

MAYU:いいね!

アサヒ:個人的には「I WAN'NA BE LIKE YOU」が印象深かったです。私たちも久しぶりに歌ったし、ブルーノートでのバンド編成にもすごく合っていて、みんなで同じグルーヴを感じながら楽しく歌えました。

MAYU:あとはだいぶマニアックな「NO! NO!! NO!!!」を、(10月の『Little Glee Monster 10th Anniversary Live』ぶりに)こんな短期間でまた歌うとは思ってなかったです。でも、10周年ライブでは私とかれんとアサヒの3人で歌ったから、今回は6人バージョンだったし、歌割りも結構複雑で。個人的には結海との掛け合いが多かったですけど、誰がどこを歌うかはちょっとした脳内パズル状態でした(笑)。でも、全体的に楽しかったです。ちょっと大人のテンポ感の曲が中心で、普段のライブともだいぶ雰囲気が違いましたし。これが映像として残るのは個人にも嬉しいですし、何よりうちの父が喜んでいます(笑)。

かれん:そうなんや(笑)。

CMソング、『EIGHT JAM』出演……多くの人の目や耳に触れる機会が続く

──年が明けてからもいろいろな動きがあり、なかでも2月から放送がスタートした日清食品「カップヌードル チリトマトヌードル」の新CM「チリトマゾンビ篇」に「ちょ待って!」の替え歌バージョンが採用されたことは大きな驚きでした。

かれん:ありがとうございます。正直リトグリが歌っているってわからない人もいると思うんですけど、たくさんの人の目や耳に触れる機会が増えたのは素直に嬉しいです。でも、最初にお話をいただいたときはびっくりしました。「え、うちらですか?」って。

ミカ:うん、びっくりしました。

MAYU:過去のカップヌードルのCMソングも耳に残るような曲が多かったですし、「ちょ待って!」もそういう曲になればいいなっていうのは制作したときから思っていたので、選んでもらえたときは驚きと同時に嬉しさもあって。

かれん:日清さんが真面目に大ふざけしているので、そこに仲間入りできたのも嬉しいですね。

結海:レコーディングの日、日清さんをはじめとしたCMのスタッフの皆さんがいらっしゃってくれたんですけど、そこでも最後の最後まで映像にこだわって話し合っている姿が印象的で。

アサヒ:野菜の切れ具合の話とかね(笑)。

miyou:「もうちょっと速くできるよね?」とかね(笑)。

かれん:そういう場面を見て、改めてプロなんだなって思いました。

──2月16日には『EIGHT JAM』(テレビ朝日系)の「ハモリがスゴイ名曲」特集にも出演。こちらも反響が大きかったのではないでしょうか。

かれん:友達からも「観たよ!」って結構言われましたし、ファンの皆さんもXに感想をたくさんポストしてくださっていたので、想像以上にいろんな人が観てくれたんだなと実感しました。

──こういうインタビューで、皆さんからコーラステクニックの難しさや高度さはいろいろ聞いてきましたが、ああいう形でわかりやすく実現されると、改めてその難易度の高さに圧倒されます。

かれん:「UP TO ME!」をハモっているところもまるまる2回放送してもらいましたし、いつ誰がどこを歌っているかもわかりやすく手を挙げて歌ったりしていたので、普段私たちが何をやっているかを理解してもらうきっかけになったんじゃないかなと思います。

MAYU:普通にライブを観ているだけじゃ伝わりきらない部分も多いと思うので、ああいう機会を与えていただけること自体がすごくありがたいです。

「For Decades」に込められた“姉”と“妹”のメッセージ

MAYU

──外へ向けた露出も増えていく中、3月19日には待望のニューアルバム『Ambitious』がリリース。このアルバムに向けて、チーム内ではどのような話し合いがありましたか?

かれん:昨年10月にデビュー10周年を迎えて、記念ライブも2日間もさせてもらって、ファンの皆さんも一緒にお祝いしてくれてたくさんの愛を与えてくださったので、今度は私たちがここからの10年みんなのことを引っ張っていけたらいいねという話になって。「Ambitious」という単語には「大志を抱く」という意味もありますし、私たちがみんなを先導していくよっていう強い意志を表したいなと思って、このタイトルにしました。

──「Ambitious」にはほかにも「野心的」や「意欲的」という意味も含まれています。大きな節目を経て、より攻めるリトグリというのを投影されているんでしょうね。

かれん:そうですね。10周年を迎えられたことは本当に嬉しいしありがたいけど、ここからさらに盛り上げていきたくて。ここを通過点としてリトグリをこの先何十年も続けたいというチーム全体の思いが、アルバムタイトルやオープニングトラックの「For Decades」に乗せられています。

──今回は新曲を中心にお話を伺っていきます。まずは、今話題に出たオープニング曲「For Decades」について。この曲を受け取ったとき、皆さんはどう感じましたか?

結海:今の私たちにすごくぴったりな内容だなと思いました。歌詞には〈感動も 葛藤も/その両方分け合おう〉と、綺麗なだけじゃない部分やもがいているけど前に進んでいこうっていう、マイナスとプラスの歌詞がバランスよく入っている印象を最初に受けて。私も日常では嬉しいことだけじゃなくて「どうしたらいいんだろうね?」とか悩むこともあるけど、この6人が一緒だからこそ、その悩みも解消できるし、もっと言ったらこの6人とガオラーとの絆だったり、この曲をJリーグ2025シーズン応援ソングに使っていただいているJリーグの選手とサポーターの皆さんの関係だったりと、何かをやっている人とそれを応援している人という関係は世の中にいっぱいあるので、そういう人たちの顔を想像しながら歌えたらいいなって、歌詞をもらったときに思いました。

──感動と葛藤って、まさにリトグリがこの10年歩んできた道のりそのものですし、だからこそ説得力も強く伝わります。

かれん:これはサポーターの皆さん、選手の皆さんもそうだと思いますけど、やっぱりスポーツって勝ち負けがはっきりしているので、たぶん悔しい思いだったり葛藤だったりが皆さんにあると思うんです。この曲を作ってくださったとおるすさんをはじめとしたチームのみなさんも「この曲を何十年も先まで歌い続けられたらいいなっていう思いを込めて、『For Decades』ってタイトルを付けたんだよ」とおっしゃっていたんですけど、歌詞も1番は私たち姉3人(かれん、MAYU、アサヒ)から妹たち(ミカ、結海、miyou)への「怖くないよ、大丈夫だよ、一緒に進もう」っていうメッセージで、2番は妹たちから姉たちに向けて「不安もあるけど、前に進んでいきたい」というメッセージが込められているそうなんです。そういう双方の思いって私たちだけじゃなくて、スポーツ選手とサポーターの関係にも当てはまるのかなと思っています。

──この曲はじっくり聴き込むと、主メロの後ろでのコーラスワークがめちゃくちゃ「らしいな」と感じまして。そこだけ抜き取っても聴きごたえがすごいんじゃないかと思いました。

MAYU:実は結構ややこしいというか、難しいことをやっているんですよね。そこはとおるすさんというアカペラをやっている人ならではの視点で構成されているので、難しいけどやりがいはありますね。

かれん:実はシーズン1年間を通しての応援ソングはこれが初めてとのことなんですけど、Jリーグファンの皆さんからも「この曲で初めてリトグリをちゃんと聴いたけど、めっちゃいいと思いました」という感想の声をたくさんいただいていて。応援し続けてくれている方からの声ももちろん嬉しいですけど、こうしてファン以外の方からの反響があると「ああ、届いたんだ」と実感できてありがたいですね。

ミカ:その瞬間に「歌っててよかった!」って再確認できますし。

──そもそもリトグリとスポーツとの相性っていいはずですし、これまでもたくさん実績があるじゃないですか。

アサヒ:以前も「いつかこの涙が」を高校サッカー(『第96回全国高校サッカー選手権大会』応援歌)に使っていただいて、そこから何年か経って今度はJリーグに関わることができた。あの頃高校サッカーで頑張っていた選手たちの中には、現在プロで活躍している方もいらっしゃると思うので、一緒に成長できているようで嬉しいです。

歌練習のほとんどを費やしたこともある「Gravity」

ミカ

──アルバムは以降も「DIVA」「ORIGAMI」と大きなノリで心地よい流れを作り上げていき、そのまま5曲目「Gravity」に到達。この曲はメロディの運びや展開にかなり強いクセがありますよね。

一同:(笑)。

MAYU:確かに! これは難しい!

かれん:今までにないぐらい、何回も転調しますから。

──Aメロも、1番と2番とでキーが違うし。

MAYU:そうなんです! びっくりしました。

かれん:そんな曲、今までになかったので面白いですね。

アサヒ:ちなみにこの曲、メンバー人気ナンバー1です。

──わかります。僕もこのアルバムでトップクラスに好きな曲です。イントロのピアノが初期の「HARMONY」を彷彿とさせたり、サビの歌詞にも〈Harmony〉というワードも出てきますが、ただ原点回帰しているだけでなく表現からは成熟ぶりもしっかり感じられる。それをこの少ない音数の中で証明しているのもさすがだと思いました。

結海:このアルバムの中では、コーラスが一番難しかったよね。

ミカ:確かに。でも、これコーラスって呼ぶのかな?

かれん:フェイクっぽいパートが多くて、みんなそれぞれ違う動きをしたりしてるので、バランスだったり歌い癖とか歌い方とかも結構ちゃんと揃えないと……。

miyou:本当に大変なことになるよね。

かれん:おっしゃるように音数が少ない分、粗もはっきりも目立ってしまうので、練習からかなり苦戦しました。

MAYU:1回、歌練習の日がこの曲でほとんど潰れたよな。

ミカ:そうだった。しかも、初めて聴いたときはワンコーラスだけだったから、フルだとこんなに転調してコーラスもすごいことになっていて、一気に難しくなったんですけど……だからこそ、いろんな人に聴いてほしくて。きっとこういうタイプの曲って、好きな方も多いと「思うんですよ。リード曲ではないけど、リトグリらしい要素がたくさん詰まっているので、いろんな方に聴いてほしいです。

アサヒ:ライブを重ねていく中で、極めれば極めるほど進化していく曲になりそうな気がするので……大変ですけど頑張ります!

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