若き実力者たちが踏み出した“世界”への大きな一歩 『TORA PROJECT』初のショーケースを振り返る

日本発、世界を舞台に活躍する才能を発掘・育成していくために、ソニーミュージックが2021年11月に設立したグローバルアーティスト育成プロジェクト『TORA PROJECT』。これまでに一期生、二期生、三期生、そして昨年末〜今年頭にかけて四期生の募集を行い、その中から選ばれたレッスン生が在籍。10〜20代のメンバーが日々ダンス、ボーカル、ラップ、語学(英語、韓国語)、演技などのレッスンに励んでいる。
今回は、3月30日に『TORA PROJECT 2nd SHOWCASE 2025』の開催が迫っていることを受け、昨年3月16日、東京・池袋 harevutaiにて行われた『TORA PROJECT 1st SHOWCASE 2024』のレポートを公開する。『TORA PROJECT』発足から3年目にして初めて行われたショーケースには一期生と二期生の全レッスン生27人(男子7人、女子20人)が参加。わずか4分でソールドアウトし、約400人の観客が詰めかけて満員の公演となった。
開演時刻になり、一気に暗転した会場には映画『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌「The Greatest Show」が鳴り響く。力強いコーラスと囁くような歌唱パートの中、ステージ後方の大スクリーンにはこの日ステージに立つレッスン生の名前とアーティスト写真が映し出された。それを背景に力強く、全身を使ってステージを埋め尽くすように躍動しながらパフォーマンスするレッスン生たちの姿は圧巻だ。夢に向かって、今を全力で表現する彼らから溢れる、ポジティブなパワーが眩しかった。
続いて披露されたのは、Ai、CHILL、Miyabi、Nikori、OTO、Rei、Yuunaの7人による、XG「SHOOTING STAR」「MASCARA」の緩急自在なダンスカバーメドレー。本家さながらのハイレベルなパフォーマンススキルは、7人のパフォーマンスに対する理解度の高さを窺わせた。

『TORA PROJECT』の一期生であり、『Nizi Project Season 2』で、日本合宿まで参加したYUITO、ファイナリスト EIJI、そして二期生のRennosukeによるユニットステージでは、3人のストロングポイントでもあるダンスを個性あふれる表現で魅了。会場は割れんばかりの歓声に包まれていた。

続いてのシーア「Chandelier」で、この日の総合演出も務めるSota(GANMI)の振り付けによるダンスをamy、AOI、COCORU、Hiiro、IRU、Miyabi、Nikki、Nikori、Ruka、YU、Yura、Yuunaの12人で披露した後、ステージに立つメンバーが目まぐるしく入れ替わりながらハンドマイクを持ち、Clean Bandit「Rather Be (feat. Jess Glynne)」やコナン・グレイ「Maniac」などのダンス&ボーカルカバーで雄大な世界観を表現。息吐く暇もなくノンストップで6曲を披露した。

そして日本語、韓国語、英語を堪能に使いこなす韓国出身の二期生・DONGMINがステージに登場し、客席に向けて挨拶。「最高にキュートでかっこいいステージを楽しみにしてくださいね!」と呼びかけ、Miyabi、Nikori、Ruka、Yuraのユニットへバトンタッチ。それまでのダンスナンバーから一転、4人は重厚なハーモニーで、オリヴィア・ロドリゴのヒット曲「drivers license」を歌い上げ、オーディエンスを魅了する。続けて、CHILL、KYLA、LIYA、OTO、Rei、YUIKA、Yuraがアジアを代表するインドネシアの歌姫 NIKIの「I LIKE U」を官能的なダンスを交えながら歌唱。ピンクと青に光るライティングの中、終わってしまった恋の儚さを情感豊かに表現していた。

その後はユニット/ソロパートへ。まず先陣を切ったのは、12歳のAOIと13歳のIRUによる『TORA PROJECT』のガールズ最年少ユニット。ジャスティン・ビーバー「Peaches」を歌い上げ、それぞれのソロパートでは可憐な歌声を響かせながら、時折顔を見合わせ美しいハーモニーを奏でる姿に、オーディエンスは息を飲んでいた。

そしてこの日、一番と言ってもいいほどの大きな歓声が送られたのはSODAIによるソロステージ。『Nizi Project Season 2』に参加し、韓国合宿まで進んでいたSODAIは、実はこの日まで『TORA PROJECT』への加入がシークレットだった存在。顔が見えないほどの薄暗いステージ上に、スモークの中から1人の男性が現れ、スタンドマイクを使って日本でも大人気となった韓国ドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』のOST「Beautiful」を歌い出し、スクリーンにSODAIの文字が浮かび上がると、会場中にどよめきと大歓声が沸き起こる。そんなSODAIは、しっとり歌唱したかと思えば、DEAN「I'm Not Sorry (feat. Eric Bellinger)」に曲が切り替わったの中盤からは、ハンドマイクでオーディエンスを煽る頼もしい一面も見せていた。そんなSODAIに、EIJI、Rennosuke、Salajin、TAISHI、YUITOがステージに加わり、続いて揃い見せたのは、フィリピンの5人組男性アイドルグループ SB19の「GENTO」。ステージギリギリまで前に出てきて客席を煽ると、オーディエンスのテンションは再び最高潮に。手を挙げて応える観客とステージが一体となる光景が目に焼きついた。


「皆さん、楽しんでいますか?」と会場に呼びかけ、恋をテーマにした自作曲「maybe」など2曲をソロのメドレーで披露したのは、DONGMIN。ステージを縦横無尽に駆け回り、できるだけ多くの観客を楽しませようとする姿は、会場を自分のものとする能力の高さを窺わせた。続いて、ラップとダンスで会場を沸かせたのは、個性的な衣装とサングラス姿で登場したAiとCHILLによるユニット。ラップでMAYA & COCONA of XG 「SHOW YOU CAN (Prod. Czaer, JAKOPS)」、ダンスブレイクでSkrillex, Missy Elliott & Mr. Oizo「RATATA」をミックスし、このパートを締めくくるのにふさわしいグルーヴ溢れるパフォーマンスで、オーディエンスの心と身体を揺らしていた。

そんなユニット/ソロパートが終わると、今回のステージの総合演出を務めたSotaと、同じくプロジェクトの立ち上げ時からダンストレーナーを担当しているKazashi(GANMI)が登場し、客席へと挨拶。「正直、こんなに人が来るんだと驚いています」「どうでしたか? ほとんど、僕たちが教えたんですよ」と言い、会場の笑いを誘った後で、前半パートのフィナーレを飾る楽曲へと繋げた。
前半パートの締めくくりに披露されたのは、『TORA PROJECT』のロゴが入ったお揃いの白いパーカーを身に纏ったレッスン生全員によるYOASOBI「群青」。〈好きなことを続けること/それは「楽しい」だけじゃない〉などの歌詞に描かれた夢を追う輝かしさともどかしさの間にある葛藤は、これから世界へ羽ばたくことを夢見るレッスン生たちの姿と重なり、エモーショナルな感情に。客席からは大きな拍手と歓声が送られていた。

