LE SSERAFIM、『HOT』でさらなる快進撃へ 世界に問いかけた“愛することに全力を尽くす”メッセージ

LE SSERAFIM (P)&(C) SOURCE MUSIC

 LE SSERAFIMが3月14日、5作目となるミニアルバム『HOT』をリリースした。韓国語・英語・日本語による“語り”で始まり、続くメイントラックで核となるメッセージを伝え、トータル5曲で魅せる本作は、2024年に発表した3rdミニアルバム『EASY』と4thミニアルバム『CRAZY』に続く作品だ。どうやら彼女たちは、これらの作品でひとつの物語を完成させたようだ。

 この三部作を通じて提示したストーリーが何なのかが気になるところだ。『EASY』では心の奥底にある悩みと焦りを打ち明け、『CRAZY』ではそうした不安にとらわれるよりも、すべてを投げ出してCRAZYになろうと呼びかける。さらに最新作『HOT』では、「愛することに全力を尽くす」という自分たちの態度によって内面がしっかりと構築されていく過程を見せている。

LE SSERAFIM (르세라핌) 'EASY' OFFICIAL MV
LE SSERAFIM (르세라핌) 'CRAZY' OFFICIAL MV

 しかし、メンバーがこの三部作で言いたかったのは、「どんな困難や障害があっても、それを克服しようとする姿勢の大切さ」なのだと思う。実はこのテーマは、三部作に限ったものではなく、デビューから現在まで繰り返し登場してきたものであり、いばらの道のさらに上を歩もうと決意する「ANTIFRAGILE」や〈私のルールは自分で決める〉と声高らかに歌う「Eve, Psyche & The Bluebeard’s wife」などが代表的な例だと言えよう。

 とはいえ、同じテーマでも、『HOT』は以前よりも熱く主張しているのが興味深い。

LE SSERAFIM (P)&(C) SOURCE MUSIC
LE SSERAFIM (P)&(C) SOURCE MUSIC
LE SSERAFIM (P)&(C) SOURCE MUSIC
LE SSERAFIM (P)&(C) SOURCE MUSIC
LE SSERAFIM (P)&(C) SOURCE MUSIC
20250320-le-sserafim-01
previous arrow
next arrow
KIM CHAEWON
20250320-le-sserafim-01
20250320-le-sserafim-02
20250320-le-sserafim-03
20250320-le-sserafim-04
20250320-le-sserafim-05
previous arrow
next arrow

 タイトルトラック「HOT」では、〈내가 나로 살 수 있다면/재가 된대도 난 좋아〉(私が私らしく生きられるのであれば/灰になっても私はいい)、〈Bonnie and Clyde it oh/Not running from it〉といったインパクトのあるフレーズを多用している。「HOT」とともにこの作品の重要曲となる「Come Over」も同様だ。〈No lying when it feels right〉で始まる歌詞はすべて英語で綴られており、それぞれの言葉に説得力があって聴きごたえがある。

LE SSERAFIM (르세라핌) 'HOT' OFFICIAL MV

 サウンドの充実ぶりも見逃せない。パワフルなワードを使った歌詞となれば、トラックメイクも情熱的もしくは刺激的になりそうなものだが、幸福感と冷静さが交じり合ったクセのある音作りによってメッセージ性を際立たせている。そのような点においても、安易なアプローチをよしとしないLE SSERAFIMらしさにあふれた作品だと思う。

 『EASY』はハードロックやオールドスクールヒップホップ、『CRAZY』はEDM(テックハウスやテクノ)をメインとしていたが、『HOT』は、特定のジャンルにこだわらずにポップなサウンドを追求したようだ。強烈なイントロ曲「Born Fire」、ロックやディスコの香りがそこはかとなく漂うポップジャンルのタイトル曲「HOT」、ビンテージ風の幻想的な雰囲気が漂う「Come Over」、大人向けのジャージーハウスといった感じの「So Cynical (Badum)」など、新作は今までにありそうでなかったタイプのトラックがずらりと並ぶ。

Born Fire
So Cynical (Badum)

 BTSの楽曲でも知られるアリ・タンポジ(「HOT」に参加)や古きよき時代のソウルミュージックを新しい感性でリメイクするイギリスのバンドであるジャングルのメンバー(「Come Over」に参加)などを制作陣に加えたのも、老若男女問わず、より多くのリスナーに届くものを作ろうとした結果なのだろう。

Come Over

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる