守乃まもの人生に刻まれた“初期衝動”の連続 THE BLUE HEARTS、神聖かまってちゃん……音楽のルーツを探る

守乃まもの人生に刻まれた“初期衝動”

 守乃まもの人生は、常に独自の感性と衝動で彩られてきた--そんな彼女が、ついに1st EP『まもってほしいの。』をリリースし、憧れのバンドと東名阪ツアーを開催する。『LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」』への出演で脚光を浴び、多くの人々の心を掴んだ彼女だが、その音楽のルーツには衝動的にギターを手にした瞬間、バンドへの憧れや挫折、そして独学での音楽探求があり、時に迷いながらも自らの表現を突き詰めてきた経験が刻まれている。本稿では、“守乃まも”の人生に刻まれた転機や、音楽との向き合い方についてじっくりと話を聞いた。(編集部)

【オリジナル動画】守乃まもがギターを始めたきっかけは?

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一番古い記憶は3歳の時の幽体離脱と積み木遊び

──守乃さんの幼少期におけるもっとも古い記録で、最初にパッと思い浮かぶのはどんなことでしょう?

守乃まも(以下、守乃):あ、あの……3歳のときに幽体離脱をしまして……。

──えっ!?

守乃:夜、お母さんと一緒に寝ていたんですけど、幽体離脱をしていたみたいで。自分とお母さんを上から見ている思い出があるんですけど、それを今パッと思い出しました。

──それはなかなかない経験ですね……。

守乃:あと、その頃は積み木で遊んでいた記憶もあって。なので、一番古い記憶となると、3歳の時の幽体離脱と積み木で遊んだことぐらいですね。

──3歳児の経験として、絶対に並列しない出来事ですが(笑)。基本的にはどんな子供だったんですか?

守乃:保育園ではおままごとよりも外でサッカーとかするのが好きで。あと、絵を描いたり何かを作ったりすることもすごく好きで、よくドラゴンの絵を描いて人にあげていました。たぶんドラゴンの絵を描いて人にあげることで、子供ながらに承認欲求を満たしていたんだと思います(笑)。それこそ、小学生の頃にはポケモンの模写をあげたりしていましたし。

──では、小学校ではクラスでどんなポジションの子でしたか?

守乃:髪が短くて服装もジャージとかズボンだったので、見た目が男女不明みたいな人でした。超仲の良い子がいるわけじゃないけど、だからといって孤立しているわけでもなく、幅広く皆様と仲良くしていたと思います。あと、サッカーが好きだったので、みんなとよくサッカーをしていました。

守乃まも(撮影=はぎひさこ)

──音楽の原体験はどうでしょう。記憶に残っている音楽といいますと?

守乃:守乃家は家族みんな仲が良いほうなんですけど、毎週日曜はみんなで朝ごはんを一緒に食べるというルーティンがあって、その時にお母さんとお父さんが好きな音楽をかけていたんです。たとえばThe Beatlesとかキャロル・キングとかジャック・ジョンソンとか、山下達郎さんとかサザンオールスターズとか、ずっとかかっているから自然と覚えてしまって。それで好きになったかどうかはわからないですけど……いいなあとは思っていました。

 それが小学3年生の時だったんですけど、その頃ってThe Beatlesやジャック・ジョンソンとか、ほかの人は違う音楽を聴いていたんです。それは好きとかそういうことではなくて、「小3でこういう音楽を聴いてる自分、カッコいいし変わってるじゃん?」っていう気持ちで。

──人とは違うことをアピールしたかったと。

守乃:そうです。あと、その頃はブラックコーヒーも飲んでました。当時は「まずい!」と思ってたけど、それでも「小3でブラックコーヒー飲む自分って、カッコよくね?」みたいな。今思えば、早くも中二病を発症していたのかも。友達の前では出さないんですけど、内に秘めながら生きているのが楽しかったんです。でも、あの頃にいろんな音楽に出会えたことは、結果今に繋がっているので、「ありがとうございます、親」って感じです。

守乃まも(撮影=はぎひさこ)

THE BLUE HEARTS「人にやさしく」に受けた衝撃

──過去のインタビューを拝見すると、その頃に初めてギターに触れたそうですね。

守乃:そのことについて昨日思い出したんですけど……小3の時にお父さんがEaglesの「Hotel California」のギタータブ譜をくれて、それでギターを弾いてみようと思ったとよく話しているんですけど、実はThe Beatlesの「Something」のギターソロだけをコピーした記憶もあって。どっちが先かは記憶があやふやだけど、それがきっかけでギターを触りたいなと思い始めたんです。でも、やってみたものの全然弾けなかったし、ギター自体もカッコいいなぐらいでそこまで興味を持ってなかったし、飽き性なのもあって辞めちゃいました。

──そこから時間を置いて、小学6年生の時に本格的にギターを始めることになるわけですが、そのきっかけは? 

守乃:お兄ちゃんがTSUTAYAでTHE BLUE HEARTSの『SUPER BEST』(1995年)のCDを借りてきて。もともと「リンダ リンダ」は知っていたんですけどほかの曲は知らなくて、初めて「人にやさしく」を聴いたら……「え、何これ!?」って衝撃を受けたんですよ。それでいても立ってもいられなくなって、すぐ楽器屋でバンドスコアを買ってもらって。自分もこの曲を弾いてみたいと思って、またギターを始めました。

──完全に初期衝動ですね。

守乃:なんだか聴いているだけで、「早く何かしなくちゃ!」って気持ちが抑えられなくなったんです。小3から小6までの間にもGreen DayとかSum 41とかをカッコいいと思って聴いていたんですけど、THE BLUE HEARTSは初期衝動……憧れみたいな感じなんだと思います。

守乃まも(撮影=はぎひさこ)

──ギターは完全に独学?

守乃:独学で、今も音楽理論はゼロのまま生きてます。ひとりでやるぶんには感覚でなんとかなるんですけど、やっぱりちょっと……知らなさすぎてごめんなさいっていうときもあります。もちろん、ちゃんと学ぼうともするんですけど、すぐ忘れちゃうんですよ。だから、感覚だけでここまでやってきました。

──では、バンドを組んだことは?

守乃:高校の時は軽音部がなかったので、学校の外でバンドを組もうと思ってインターネットでメンバー募集してやっていたんですけど、うまくいかなくて。たぶん、私は人と一緒にやれないんです。バンドをやりたかったんですけど、誰かとバンドをやるのは無理で。すぐ終わりました。でも、バンドが大好きなんです。今でも「バンドっていいな」って気持ちが強いし、できるなら自分ひとりだけでバンドをやりたいなと思うほどで。

 あと、当時は高校生だったので「バンドをやってる自分が好きです」みたいになっちゃって、そこもダメだったんですよ。あの頃はまだ音楽というものを疎かにしていたので、だんだん生ぬるくなっちゃって、自分がゴミみたいに思えてきたので辞めてしまいました。今も守乃まもとしてライブをする時はバンド編成ですけど、やっぱりバンドがいいし、バンドでギターを弾きたいっていう思いだけで生きてます。

──バンドって音楽性と同じくらいに人間関係が重要になってきますものね。

守乃:そう考えると、本当はバンドに向いてないのかも。そもそも人をまとめられないし、全部自分でやりたくなっちゃうから、曲もデモも全部自分ひとりで作っちゃうんです。それで、デザインも全部やるみたいな感じで……たぶん、その当時は自分が一番偉いと思っていて……ダメですよ、そんなの。だからひとりです。

守乃まも(撮影=はぎひさこ)

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