Newspeak、新章に向けたスタートダッシュ 2年ぶり東名阪ワンマンツアーファイナル
パワフルなSteven(Dr)のビートから、グラマラスかつポストパンクな「RaDiO sTaTiC」で再びギアアップ。どの曲に対しても鮮やかなフロアの反応がステージにも還流して、さらにうねりを増していく。TAKEのリフに乗せてメンバー紹介をしつつ、ダンサブルな「Media」になだれこみ、Reiのセンシュアルなボーカルがさらに熱を帯び、Stevenは「TOKYO!」と叫ぶ。ギミックを排し、生バンドのライブアレンジに振った「Where Is Your Mind」ではフレキシブルなプレイが際立つ。レンジの広い音楽性とロックバンドのスリルで目の前の景色をどんどん変えていくNewspeakらしいライブが展開、あっという間に11曲をプレイしていた。体感で言うと30分ぐらいだ。
Reiが一旦、カームダウンするように長めのMCを始めた。曰く「Newspeak、最近日本語の曲もやってるんですけど、元々英語で始めたのは僕がシャイなんだよね」「でも、そろそろ自分の第一言語でやろうかなって。最初は恥ずかしかったけど、ライブで初めてやった時、伝わった気がして」と、久しぶりに日本語詞を盛り込んだ「Before It's Too Late」の曲振りをして、演奏を始める。Reiの地声の深みが魅力的に届くバースと日本語詞の相性は、まさにNewspeakならではの聴感。物語を平易な言葉に落とし込んだ歌詞を発語する、その伝播力をライブで確認できた。バンドの第二章を明快にする「Before It’s Too Late」を披露したあとは、よりフロアとのムードが親密になり、弾けるビート感の「Lake」では〈oh〉のシンガロングが広がり、Reiの「懐かしい曲を」という振りから、2019年リリースの「Maybe You're So Right, Gonna Get My Shotgun」を披露した。端的に言えばこだわりや過去との訣別を歌ったこの曲が、今の意味を持って響いてきたのも、この日のテンションからすれば自然なことに思えた。
本編ラストはReiが見えない不特定多数のための漠然とした存在ではなく、何者でもなくていい、自分の周りの人を楽しませればいいという心持ちで書いたと言う「Be Nothing」をセット。もうバンドも辞めてやる――それぐらい混沌とネガティビティに絡まった末にできたというこの曲は、何も隠すことのない今のNewspeakのゼロ地点なのだろう。しっかり刻まれるような演奏で締めくくったことに、今回のワンマンツアーの意味を見た。
アンコールでは、遂に完成したニューアルバムのリリース日が7月10日に決定したことを発表し、そのリリースパーティーの開催も告知。アルバムタイトルはセルフネームの『Newspeak』であることが知らされると大きな歓声が上がった。期待感をさらに上昇させるには十二分なアナウンスである。
そして「Silver Sonic」と題されたアルバムからの新曲も披露。もしや最速BPMか? とも思しきアッパーでストレートなナンバーだ。しかもダブルアンコールも行い、バンドの新章に向けたスタートダッシュはすでに始まった。代表作を予感させるニューアルバムと、ここからさらに本領発揮するNewspeakの未来を見た2時間だった。
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