元光GENJIメンバー再デビュー活発化は何の布石か? 佐藤寛之&山本淳一“ふたつの風”が放つ地続きの魅力

 元光GENJIのメンバー 佐藤寛之と山本淳一による新ユニット・ふたつの風が、12月5日にデビューシングル『君と物語』でユニットデビューを果たした。

 表題曲は“僕ら=佐藤・山本”と“君=ファンたち”で新しい物語を作っていこうという、「始まり」をテーマにしたもの。そのリリースイベントでは、光GENJIのパフォーマンスの代名詞だったローラースケートを履いて歌い、踊る様子がTikTokなどでも拡散された。さらに2024年1月8日からは、東名阪を巡る初ツアー『どこか君と物語 GINZA~SAKAE~SHINSAIBASHI』を開催。構成・演出を、少年隊の植草克秀が担当することでも話題を集めている。

 元光GENJIのメンバーがユニットとして再集結して新作をリリースするのは、内海光司と佐藤アツヒロによるU&Sに続くもの。Z世代を中心に昭和や平成初期の文化が注目されている昨今、元メンバーによるユニット結成をきっかけに、1987年から1995年まで活動した“母体”光GENJIも再び脚光を浴びそうだ。

 かくいう筆者も光GENJIに熱中していた“昭和人間”のひとりである(ちなみに推しは山本淳一だった)。きらびやかな衣装をなびかせながら颯爽とローラースケートでステージを駆け回る光GENJIの姿は、小学校低学年だった筆者のハートを鷲掴みにした。もちろん、メンバー全員が出演した映画『ふ・し・ぎ・なBABY』(1988年)も映画館へ観に行った。劇場内はパンパンの満席だったことを記憶している。何より、当時は歌番組全盛期とあって、光GENJIは出ずっぱり。露出が極めて多かった点がより人気に拍車をかけた。それまでの日本のアーティストにはないエネルギーをパフォーマンスから感じることができたのだ。

 楽曲もキャッチーで覚えやすかった。CHAGE and ASKAのふたりが作曲、そしてASKAが飛鳥涼名義で作詞した「STAR LIGHT」(1988年)は、〈STAR LIGHT STAR LIGHT〉〈YES NO YES NO〉〈FREEDOM FREEDOM〉〈ROLLING ROLLING〉といった英語が歌詞のなかで繰り返し歌われるのだが、英語の意味がわからなかった当時のちびっ子も、そのリズム感やノリに乗って英詞を口ずさむことができた。この英語のリピート箇所を歌うことがなんだかすごく楽しかった。しかも、ちびっ子にとってはメンバーはちょっと年上の“お兄ちゃん”のような雰囲気があったため、その歌により愛着が湧いただろう。

 「ガラスの十代」(1987年)は、山本淳一が〈言わないで 言わないで/さよならは間違いだよ〉と静かなトーンで歌い出し、諸星和己も落ち着いたテンションで〈何も解らない同士/こんな日もあるよ〉と続く。それから一転、メロディが解き放たれたように展開していく。サビの〈こわれそうなものばかり/集めてしまうよ〉の歌詞内容と勢いも大好きだったが、個人的には〈もっと側においで/もっと側においで〉の歌詞通りに引き寄せるような吸引力がサウンドに漂っていて、聴いていて気持ちよかった。こちらも作詞作曲は飛鳥涼。当時の光GENJIにしか歌えない“刹那”が表されており、名曲中の名曲である。

 そういったファン歴をたどってきた人ほど、ふたつの風、U&Sの結成は感慨深いものがあるのではないか。

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