SARM、2ステージライブでの多彩な魅力 和のエッセンスも取り入れたBLUE NOTE PLACE公演
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“ヴィンテージボイス”と称される歌声、観る人を惹きつけるライブパフォーマンス、ジャズやブルース、歌謡曲をルーツとしたハイブリッドな音楽性──シンガーソングライター・SARMの魅力を挙げたらキリがない。2020年にリリースした「BONBON GiRL」がTikTokで注目を集め、2022年にはオーディションを勝ち抜いて『SUMMER SONIC 2022』に出演を果たした彼女。11月13日、14日に恵比寿・BLUE NOTE PLACEで行われたライブは、SARMの多彩な魅力を感じられるものだった。
SARMが同会場で2DAYSのライブを行うのは、今年5月に続いて2度目である。本ライブは2つのステージに分かれており、後半はゲストミュージシャンにブルースギタリスト・和琴奏者の高谷秀司を迎えた、和のエッセンスを感じられる内容となった。本稿では2日目の11月14日公演をレポートする。
1stステージの1曲目は「Breaking dawn」。サポートにシンサカイノ(Ba)、デザレ・ニーリー(Dr)を迎え、重厚感たっぷりにライブは幕を開けた。SARMの迫力のあるハスキーボイスが響きわたる。周囲の空気も、聴いている私たちの心も芯から揺らすような、本当に良い声だと思う。
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冒頭、サビのフレーズをアカペラで高らかに歌い上げたのは「Muscari」。彼女の魅力は歌声だけでなく、全身を使ったライブパフォーマンスにもある。表情、視線、手や足の動き。「Muscari」なら憂いを帯びた表情で、“寛大な愛”と“絶望”の意味を込めたという歌詞世界を表現する。目線が合うと、思わずドキリとしてしまうような艶やかさも感じる。「すごく昔に書いた曲」と紹介した「Cactus」では、ハンドマイクでステップを踏みながら軽やかに歌い上げる。全身で曲の世界観を届けているから、彼女の歌う姿にこんなにも惹きつけられるのだろう。
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「D♡VE QUEEN」ではクラップを煽り、客席からの手拍子に合わせて笑みを浮かべながら歌う。その表情からは、歌うことへの喜び、楽しさが伝わってきた。最後はスタンドマイクに向かい、ニーナ・シモンの「Feeling Good」をカバー。「引き続き2ndステージも楽しんでいってください!」と告げて、1度ステージを後にした。
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