imase、TikTok40億再生のヒット曲を作っても庶民派な価値観 「自分の生活水準を上げたくない」

imase、ブレイク後も庶民派な価値観

 岐阜出身、2000年生まれのアーティスト、imase。2020年に音楽活動を始め、TikTokにショート尺のオリジナル楽曲を投稿すると、瞬く間に人気を集め、2021年12月「Have a nice day」でメジャーデビュー。昨年8月に配信された「NIGHT DANCER」は韓国の配信サイト「Melon」総合チャートでJ-POP史上初のTOP20入りを果たし、この曲のMVは再生回数1億回を突破するなど国内外で大反響を巻き起こしている。

【imase】NIGHT DANCER(MV)

 ひとりきりの部屋から世界へと広まった音楽とともに、imase自身、この数年をまさに怒涛のスピード感で駆け抜けている。今回のインタビューでは、これまでの活動を振り返り、大きな変化の中で感じていたことや歌詞から、自身の価値観や内面を紐解いていく。(上野三樹)

岐阜在住時は仕事をしながら空き時間に楽曲制作

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ーー「NIGHT DANCER」でのブレイク以降は特に、国内外で活動の幅が広がっているimaseさんですが。最初の楽曲を投稿してから、ここ数年ずっと大きな変化の中にいると思います。このスピード感の中でアーティストとしての自分や音楽性というのはどういうふうにイメージしていったんでしょうか。

imase:最初はショート尺でSNSに楽曲を投稿していたのですが、その頃は特にこういうアーティストになりたいみたいなのはなくて。本当に純粋に、作った曲を誰かに聴いてほしいというだけだったんです。でも今思い返すと、そのときのナチュラルな制作意欲って結構大事だったなと思っていて。今になって自分が音楽をやる理由を探してみたり、どういう曲を作りたいのか、どういうアーティストを目指したいのかを考えることがあるんですけど。例えば今だったら、ライブではこういう曲があったほうがファンの方々が喜んでくれるかなとか、曲を作るにも理由があったりすると思うんです。でも当時はただ曲を作るっていう、良くも悪くも本能的なものだったなって。それも自分にとってはすごく良かったなと思うんですよね。

ーーナチュラルな制作意欲って興味深いんですけど、それって何なのでしょう。

imase:こんなアーティストになりたいみたいなのが特にないまま、ただの興味本位で動いていました。元々、興味があることは色々やってみるタイプで。高校を卒業してからはキャンプをしたり、友達と秘密基地を作ったり、草野球やフットサルをやったりしていて。その中の1つが音楽という感じでした。

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ーー幼少期や学生時代はどのように過ごされていましたか。

imase:保育園に通いはじめる前はすごく静かな子で。「玄関で待ってて」と言われたらずっとじっとしているような、おとなしい性格だったみたいです。でもだんだん、小中高と成長していく中で、目立ちたがり屋な性格になっていったのかな。小学生の時に友達と漫才をやったりしていましたから(笑)。人前でみんなを楽しませることが好きだった気がします。ゲームは昔から好きで、保育園の頃からファミコンをやっていたので、ゲーム音楽から受けた影響は今も少なからずあるのかなと思います。中学高校ではサッカーをしていました。中学まではかなり真剣にやっていて、プロサッカー選手になりたいなと思っていたんです。途中で諦めちゃったので、高校では純粋にサッカーを楽しんでいました。

ーー将来は家業を継ぐという選択肢もあったそうですね。

imase:そうですね。でも本当に自分はそれでいいのかな、みたいな迷いというか……そういう気持ちはどこかにあったと思います。ただ、特に学校の成績が良かったわけでも、得意なことがあったわけでもないですし。だったら家業を継ごうかなという気持ちでした。

ーーそんなimaseさんが音楽を始めたこの3年で、ご自身を取り巻く環境が大きく変わりました。音楽制作においてはどんなことが一番変わりましたか。

imase:ありがたいことにタイアップのお話をいただく機会が増えたので、テーマがある上で曲作りをしたり、自分のライブを意識しながら曲作りをしたりと、楽曲制作のレパートリーが増えました。そこが一番変わりましたね。

ーー上京してからの生活面ではどんな変化が大きいですか。

imase:もう全部が違うと言ってもいいくらいです(笑)。岐阜にいるときは仕事をしながら空き時間に曲を作っていました。今はアーティストとして楽曲制作をしながら、ありがたいことにファッション誌の撮影など音楽活動以外のお仕事もさせていただいています。

ーー人生ハードモードになりましたか?

imase:うわ、それは難しい質問ですね。別の仕事をしながら音楽を作るのも大変だったので、どちらにも大変さがある気がします。

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ーー岐阜から東京に出てきて一番衝撃だったことは?

imase:なんだろう、いっぱいありますね。まず思ったのは、僕が食べたことがない食べ物ってまだいっぱいあったんだなって(笑)。これは結構、衝撃でしたよ。ラーメンやとんかつにしても、こんなに味や種類がたくさんあるんだ? とか。あとは、交通の便がすごく良いことにも驚きました。電車の路線図が毛細血管みたいに広がっていて。地元だとコンビニも車で行かないと行けないし、タクシーを使うという文化もない。東京だと終電を逃してタクシーに乗ったらすぐに街から街を移動できますが、岐阜だと大変なことになりますから(笑)。

ーーでは上京してからタクシーに頻繁に乗るようになりましたか?

imase:いや、僕はそんなに乗らないです。だって高くないですか(笑)? 今まで自分で運転していたので、何で車移動にお金を払わなきゃいけないんだろうって思っちゃいます(笑)。

ーーそうなんですね。生活環境が変わることで、音楽のテーマや歌詞にも変化はありましたか。

imase:自分ではまだそこの変化はあまり感じていないです。数年後に、今作っている曲を聴いたら「変わったな」と感じるかもしれないですが、現段階ではわからないですね。

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