プロ野球選手の登場曲、人気アーティストは? 阪神優勝への「栄光の架橋」、佐々木朗希のあいみょん愛……傾向を大調査
ペナントでは、セ・リーグは阪神タイガース、パ・リーグはオリックス・バファローズの強さが際立った今年のプロ野球。現在、クライマックスシーズン真っ只中である。ところで、各選手たちはどのような楽曲を登場曲として使用しているのだろうか? 今回の記事では、一部ではあるが、登場曲の傾向を紹介していきたいと思う。
12球団の各選手たちの登場曲を見ていくと、GReeeeN、EXILE、ベリーグッドマンの名前が多く、12球団別で比較しても、ほとんどのチームで、誰かひとりは上記いずれかのアーティストの楽曲を使用していることが確認できる。プロ野球選手たちの世代としても、これらのアーティストが青春時代のド真ん中であり、馴染みのいいJ-POPとして触れてきた層が多いことが想像できる。結果、青春時代を共にした楽曲としても、全体的な使用頻度が高い傾向になったのではないだろうか。
特に、GReeeeNに関しては、熱血教師と不良たちが甲子園を目指すストーリーが描かれたドラマ『ROOKIES』(2008年/TBS系)の主題歌を担当していたということもあり、選手のなかでも馴染み深いアーティストとして受け入れられた側面が強そうだ。今年の『ワールド・ベースボール・クラシック』(以下、『WBC』)の代表選手でもあった東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手はGReeeeNが登場曲として書き下ろした「遠くの空 指さすんだ」(第1打席)を選曲しているし、『WBC』の選手で言えば、今はメジャーで活躍しているダルビッシュ有選手も、かつてGReeeeNの「道」を登場曲として使用していた。
このような世代ド真ん中のポップスが存在感を示す一方で、バンドの楽曲の使用頻度の高さも窺うことができる。そのなかでも特にONE OK ROCKの存在感は強い。中日ドラゴンズの森博人選手は「欲望に満ちた青年団」を、埼玉西武ライオンズの佐藤隼輔選手は「Take what you want (featuring 5 Seconds of Summer)」を使用していることが確認でき、「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」「キミシダイ列車」「We are」なども他選手の登場曲にセレクトされている。
バンドの楽曲で言えば、サザンオールスターズのようなキャリアのあるバンドから、BUMP OF CHICKEN、MAN WITH A MISSION、back number、[Alexandros]、Official髭男dism、King Gnuなど、幅広い世代の名前を確認することができる。たとえば、読売ジャイアンツの岡本和真選手はサザンオールスターズの楽曲を「希望の轍」をはじめ複数の打席で選曲、北海道日本ハムファイターズの伊藤大海選手はMAN WITH A MISSIONの「Emotions」、2021年にセ・リーグの新人王を受賞した広島東洋カープの栗林良吏選手も以前はOfficial髭男dismの「コーヒーとシロップ」を使用していた。
バンドのなかでも、WANIMAは特に存在感が強く、福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手、東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手との交流もあり、それぞれの登場曲を書き下ろしている。柳田選手には「遠くまで」、村上選手には「Chasing The Rainbow」を書き下ろしており、両楽曲は先日リリースされた最新アルバム『Catch Up』にも収録されている。
また、細かく見ていくと、UVERworldやSUPER BEAVERといったバンドの名前も多い。“選手がそれぞれに選んだ好きな楽曲を使用する”という前提はありつつも、出番を前に自分を鼓舞するような意味合いで、熱いスタンスで音を鳴らすバンドの楽曲を登場曲として選ぶ選手がいることも確認できる。
もちろん、バンド以外の登場曲も数多く使用されている。特に、スポーツ番組の主題歌や大会のテーマソングを担当した実績があるアーティストや世代的に選手たちの青春時代と合致しているということで、ポルノグラフィティ、いきものがかり、FLOW、コブクロなどの名前を連ねている。
そういう並びのなかで印象深いのが、ゆず。というのも、阪神がリーグ優勝を勝ち取った先日、阪神の守護神・岩崎優が9回のマウンドに上がる際に流れた楽曲が、ゆずの「栄光の架橋」だった。
実はこの楽曲は、今年7月に脳腫瘍で亡くなった阪神の元選手・横田慎太郎が使っていた登場曲であった。そして、岩崎と横田は同期入団だったということもあり、この日の「栄光の架橋」はより意義深いものとなって会場で流れ、ファンの多くが大合唱を行い、それがSNSのトレンドに入ることにもなったのだった。