幽体コミュニケーションズ、人間と機械の混ざり合いの中で鳴らす音 ウ山あまねとの対バンで届けた新しい音楽体験
ヒップホップとロックとアンビエントとフォークが、詩と吐息と叫びが、肉体とテクノロジーが、混ざり合って創造されていく空間。原始的でありながら、まったく体感したことのなかった新鮮さが常にそこにあった。彼らは「物語」を切り刻みながら、しかし今この瞬間に生まれる人と人、人と音、音と音、魂と魂の関わり合いに対しては、全力で慈しみ、抱きしめようとしていた。拒絶するのではなく、耳を澄ませ、目を凝らすことで、彼らは新しい場所に到達しようとしていた。
いししの歌声は音源で聴く以上に力強く、ダイレクトに響いてくる。吉居は鮮やかなエフェクター使いで空間を様々な色に染めながら、時にいししやpayaを見ながらしっかりと呼吸を合わせ、アコギを刻む。そして、payaは椅子に座りながらも、椅子に座っているとは思えないような感じで、その体を柔軟に、しなやかに動かして、歌う。全身を使った表現。被った帽子からは角のようなものが生えていて、その姿はまるでシャーマンのようであると思う。
この夜、MCでpayaの口から語られたことだが、彼らの新曲のタイトルになっている「ミュヲラ」という言葉に、意味はないという。この先、この言葉に触れる人それぞれが、それぞれの形で、この言葉に意味や概念を見出してくれればいい、と。新しい言葉に出会うことの喜びを彼らは知っていて、それを私たちに伝えようとしているのだ。
ライブのラストはウ山あまねもステージに登場し、幽体コミュニケーションズとウ山のコラボレーションによって「ショートショート」のリミックスバージョンが披露された。知らなかった(あるいは、忘れていた?)幸福に出会えた、素晴らしいライブだった。
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