稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾、NHK教育バラエティー『ワルイコあつまれ』が果たした役目 番組が教えてくれたこと

 稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾と学ぶNHKの教育バラエティー『ワルイコあつまれ』が、3月11日に最終回を迎えた。タイトルにある「ワルイコ」とは「教科書通りじゃ生きていけない現代社会において、好奇心を持って多様な価値観に触れようとする人」のこと。まさに、教科書からはみ出して、遊び心を持って学ぶことができる番組だった。

 『ワルイコあつまれ』は2021年9月13日、事前の宣伝も予告も一切なしという、これまでのテレビ番組の始まり方とはまったく異なる形でスタートしたことでも話題を呼んだ。「型にハマらない」ということも、この番組が見せてくれた教えのひとつ。今までと同じやり方にとらわれなくてもいい。新しくて誰もやっていないかもしれないけれど、面白そうだと思うことに飛び込んでいこう。そうして新しい地図を広げていった3人のスタンスにも通じるスタンスにワクワクさせられたものだ。

 オムニバス形式で届けられた各コーナーもこれまでの教育番組とは一線を画すもの。なかでも香取による往年の人気キャラクター・慎吾ママが復活したことも、視聴者の胸を熱くさせたところだった。慎吾ママで育った世代が、親となって子どもとともに視聴する。そんなことができるのも、アイドルとして長年愛され続けてきた彼らだからできること。

 20年以上の時を経て、彼らも大ベテランの風格をまとうようになった。それでも変わらずに、彼らは全力でキャラクターを演じるのだ。稲垣が88歳のユーチュー婆(ばあ)“ヨネキン”に扮する姿や、草彅と香取が仲睦まじく“ガヤガヤ姉妹”としてコントを繰り広げる様子も、この番組ならではの嬉しく、そしてどこか懐かしい風景。もしかしたら、3人にとっても初心に近いものを思い出させてくれる、そんな場所だったのではないだろうか。

 どれほどキャリアを重ねても、一つひとつの仕事に対して手を抜くことなく真摯に、そして楽しみながら取り組む。そんな姿からは、“やり切るかっこよさ”を学ぶことができた。「慎吾ママの部屋」と題して歴史上の人物を招くコーナーでは、数々の大物ゲストも登場。マリー・アントワネットに扮した大地真央、水戸黄門姿の里見浩太朗など、「この人がこの姿でバラエティに出るの!?」という贅沢なサプライズが叶ったのも、この3人の活動に心打たれるものがあってこそだろう。

 4回の特番を経て、2022年4月からレギュラー化。2024年4月にはNHK EテレからNHK総合へと引っ越して、子どもも大人も幅広く楽しめる番組へと進化していったのも嬉しい展開だった。その間に、彼らを取り巻く環境も大きく変わっていった。地上波テレビに復活し、以前のように連続ドラマの主演を務める姿も見受けられるように。その変化を受け入れながらも、安定した心持ちでやるべきことを続けていく姿にも、今を生き抜く“柔軟な姿勢”を学ばせてもらったように思う。

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