平野紫耀&神宮寺勇太、北山宏光らも新曲リリース続くか? 三宅健とIMP.が拡張し、確立されつつある“TOBEの音楽”を考える

 今年3月、滝沢秀明が「株式会社TOBE」を立ち上げた。7月には三宅健、平野紫耀と神宮寺勇太、IMP.、8月には大東立樹、そして9月には北山宏光が合流し、TOBEは数カ月のうちに計12名が所属する事務所/エージェンシーへと一気に成長した。

 また、9月4日には所属アーティストの画像と動画に関する使用ガイドラインを公開。「TOBEおよびアーティスト個人が発信する画像や動画」をファン個人のSNSに投稿する行為について、著作権侵害を主張しないことを発表した(※1)。この事実からも、SNS以降の芸能事務所のあり方について模索している様子が窺える。TOBEのコンセプトである「新たな時代」(new era)、「次の世界」(next world)という言葉の通り、彼らは真摯に自分たちの未来に向き合おうとしているように見える。

 そして現在、所属アーティストの楽曲も続々とリリースされている。8月18日に世界同時配信されたIMP.のデビューシングル「CRUISIN'」、続く9月15日の2ndシングル「IMP.」は、いずれもセンセーショナルに受け入れられている。さらに9月22日には三宅のTOBE移籍後初のシングル「Ready To Dance」がリリースされ、こちらも喝采のただ中にある。

 本稿では、これら3曲にフォーカスしたい。まずはIMP.の2曲から、彼らの思惑や現在地について考える。

 TOBEアーティスト初のリリースとして大いに注目を集めた「CRUISIN'」。ビビッドな質感のMVと、R&BやHIPHOPから音楽的エッセンスを取り入れた同楽曲は、当初からK-POPとの共振を指摘されていた。実際、作曲を務めたAvin、Slay、Chase、Rocoberryの4組は全員が韓国出身のアーティストである。ファルセットの多用と、途中に差し込まれるベースミュージック由来のビート、それに呼応するラップパート、いずれもK-POPに散見される要素だ。

IMP. 「CRUISIN’」Official MV

 続く「IMP.」にも言えることだが、MVに「Dance Practice ver.」を用意したことからも、今や日本国内でも一般的になってきているとはいえ、K-POPの音楽マーケットの方法論を踏襲しているように思われる。わかりやすい例を挙げれば、BLACKPINKのダンス動画は軒並み億超えの再生数を記録し、それに追随するような形でファンメイドの動画がYouTubeのショート動画やTikTokで際限なく生成されている。先のガイドラインも、これら双方性の高いコミュニケーションと無関係ではないだろう。

IMP.「IMP.」Dance Practice ver.

 そして、個人的に今後のIMP.(ひいてはTOBEに所属するアーティスト全員かもしれない)を語るうえで非常に重要なのが、2ndシングル「IMP.」だと思っている。「CRUISIN'」の次にリリースされたのも特筆すべきで、ここにひとつ決意表明のようなものを感じられないだろうか。

 というのも、K-POPをリファレンスにした楽曲から、極めてJ-POP、日本的なグループソングに回帰しているのだ。

 ポップミュージックにおける日本のグループソング(男女問わず)を考えた時、大きな特徴のひとつとして想定されるのが雑食性の高さである。K-POPのように“K-POPっぽい”といった定石のあるプロダクションがほとんど存在せず、日本のボーイズ/ガールズグループは特定の音楽ジャンルに依存していなかった。

 翻って「IMP.」を聴いてみると、ソリッドなギターの鳴りはロックからの引用だし、チキチキと小気味よく刻まれるハイハットロールはトラップからアイデアを引っ張ってきている。そして、この曲で歌われているラップは「CRUISIN'」における現行HIPHOPではなく、どちらかと言えばミクスチャーロックが参照元として正しい気もする。

 すなわち、「CRUISIN'」と「IMP.」ではまったく異なる方向性を提示しているのだ。K-POPにリスペクトを表明しつつ、彼らはこれまで自分たちが培ってきた音楽観を捨てなかった。衣装のテイストを変えてまで表現したのは、そういった決意の強さなのだと思う。新境地を開拓しつつ、彼らには“原点”のようなものが見える。

 アプローチが異なる2曲は、まさしく今後のIMP.を支える両輪になり得るのではないか。

IMP.「IMP.」Official MV

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