藤井 風、Vaundy、Official髭男dism、SUPER BEAVER……それぞれの表現で向き合う“生きる”ということ
Vaundyが、3月26日に新曲「人生はミックスナッツの組み合わせ」を配信リリースした。
同曲では、酸いも甘いもある人生がミックスナッツに喩えられている。〈大好きなあの娘〉と別れたのだろうか、いじけた様子の主人公が歌詞では描かれているが、ノリのよいビートとVaundyの喋るような歌い方も相まって、どこかコミカルな雰囲気も漂っている。そして、〈人とは/それぞれの悲しいとこ/を詰め合わせたミックスナッツ〉と割り切る点からは、「小さなことで悩まずに気楽にいこうぜ」と言われているような痛快さを感じられるのだ。張り詰めていた気持ちがふっと緩むような、不思議な魅力を持つ楽曲である。
今回のVaundyのように人生をテーマにした楽曲は数知れないが、そこにはアーティストごとに“生きる”ことに対しての捉え方、表現の違いが見られて面白い。ほかのアーティストでも、“生きる”ということに向き合った楽曲を挙げてみたい。
『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)でのパフォーマンスも記憶に新しい藤井 風の「満ちてゆく」は、人生において本当に必要なものは何かを問いかけてくる。藤井が青年と老人の二役を演じたMVも印象的で、冒頭の〈避けがたく全て終わりが来る〉ことを映像からも感じさせながら、この曲で彼は〈手を放す、軽くなる、満ちてゆく〉と歌う。満たされるために何かを手に入れるのではなく、執着するものを捨てて、逆に軽くなること。そうすることで、真に心が満たされるということ。尽きない欲求に苦しみがちな私たちに、生きていくためのヒントを優しく教えてくれているようだ。ピアノの調べとソウルフルな藤井の歌声も美しく、生き急いでしまう時に気持ちを落ち着かせてくれるような、珠玉のバラードである。






















