King Gnu、Ado、三浦大知、クリープハイプ、羊文学、KIRINJI……注目新譜6作をレビュー
クリープハイプ「I」
クリープハイプの新曲「I」は、2020年にリリースされた空音とのコラボ曲「どうせ、愛だ feat.クリープハイプ」に新たな解釈を加えた楽曲。〈ぽっかり空いた 穴を塞いだ その正体は どうせ、愛だ〉という原曲のフレーズはそのままに、“君”に向けられた行き場のない感情——どうしようもなく好きだけど、どうにもならないーーに焦点を絞り、簡素な言葉遣いによって普遍的な表現へと導いている。具体的な情景描写ではなく、繊細に揺れる感情そのものを丁寧に掬い出すことにより、リスナーが自らの体験と重ね、“自分事”として受け取ってしまう構成も素晴らしい。歌詞の世界に立体感を与えるサウンドメイク、まるで独り芝居のように紡がれるボーカルも秀逸だ。(森)
羊文学「more than words」
こちらはTVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」EDテーマで、原曲はなかなか長尺な4分50秒。主人公と自分自身の共通点を探りながら、いつもどおり余韻や余白を大切に作ったのだろう。揺れるギターサウンドも、まろやかな地声とファルセットを行き来する唱法も、羊文学らしい透明感。今回はドラムの手数を削ぎ落とし、ダンスミュージック的なループ奏法にすることで、より曲がスマートに絞られている。また、ファルセットの中に多彩な表情をつけられるのが塩塚モエカ(Vo/Gt)の才能。儚さだけでなく、ハッとするほど強い意志を宿していたり、ため息が出るほどの色っぽさがあったり。ボーカルの音域がどこまでも広い曲なので、彼女の魅力がより広く伝わる。(石井)
KIRINJI「指先ひとつで」
ニューアルバム『Steppin' Out』からの一曲。イントロでは軽やかな指パッチンの音が登場。“中指を立てるより指先で音を鳴らそう”、そんな内容から始まる自己啓発ソングである。自分の機嫌を自分で取るコツ。人の意見に左右されない考え方。こう書けば新書のタイトルみたいだが、楽器の選び方、メロディの付け方、ハーモニーの重ね方で、本当に幸せな風が吹き始めてしまうのがKIRINJI流ポップマジックだ。さらに彼の場合、「このメロディなら次はこう来るだろう」という予測を小気味よく裏切る展開が毎度絶妙。“ドレミファソラシド”に近いサビの進行が、どんなふうに予想を外し、ファンタジックな着地を見せるのか。考えながら聴くと、もう、たまらなく楽しい。(石井)
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