King Gnu、Ado、三浦大知、クリープハイプ、羊文学、KIRINJI……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はKing Gnu「SPECIALZ」、Ado「唱」、三浦大知「能動」、クリープハイプ「I」、羊文学「more than words」、KIRINJI「指先ひとつで」の6作品をピックアップした。(編集部)

King Gnu「SPECIALZ」

 TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」OPテーマの新曲。両者の組み合わせなら2年前の『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌「一途」が印象に残っているが、高速カッティングで駆け抜けた「一途」に比べ、今回はぐっとアダルト寄り。ビートはBPM低め、妖しいサンプリング音がいくつも飛び交い、井口理と常田大希のボーカルもねっとりと色っぽい。仄暗い磁場にぐいぐい引き込んでいくタイプの一曲であり、いわゆるJ-POPアプローチはほぼ意識していないのだと思う。いまや常田の挑戦、常田の大胆さが、そのままどんなタイアップにも通用する時代。メジャー5年目の貫禄を強く感じた。あとは、イヤホンで聴くとよくわかるが、ダブリング・ボーカルの細やかさはすごい。これが覇王のクオリティ。(石井)

Ado「唱」

【Ado】 唱

 ボカロPであるピノキオピーが提供したベースミュージック系のダンスチューン「アタシは問題作」、Vaundyの楽曲提供によるソウルフルなロックナンバー「いばら」、シンガーソングライターのみゆはんが手がけた、温かくて大らかなミディアムバラード「向日葵」と、楽曲をリリースするたびに表現の幅を広げ続けているAdoの新曲「唱」は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィンイベント『ハロウィーン・ホラー・ナイト』とのコラボ楽曲。GigaとTeddyLoidが作曲・編曲、TOPHAMHAT-KYO(FAKE TYPE.)が作詞を担当したこの曲は、ラテン、ヒップホップ、エレクトロスウィングなどが融合した……つまり、国境やジャンルを飛び越えた濃密にしてド派手なアッパーチューンに仕上がっている。華やかなダークネスと称すべきトラックを完全に乗りこなし、奔放なメロディ、ラップを放ちまくるAdoのボーカルはまさに無双状態。(森)

三浦大知「能動」

三浦大知「能動」

 前作アルバム『HIT』(2017年)以来、約7年ぶりとなるオリジナルアルバム『OVER』(2024年1月リリース)からの先行配信曲。サウンドプロデューサーは、SixTONES、AI、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEなどの楽曲を手がける女性クリエイター・TOMOKO IDA。作詞は三浦とTSUGUMI(SOULHEAD)の共作となっている。ノイズを含んだシンプルにして前衛的なビート、〈動け 動け ただ能動〉というラインから始まり、しなやかなグルーヴを感じさせる旋律、研ぎ澄まされたラップ、ソウルフルなフェイクをを交えながら、〈その時まで生き抜くだけ〉〈Step into another dimension〉という強い決意を反映したラインを響かせる。周囲の動向に惑わされず、能動的なアクションを貫きながら、常に新たな次元へと向かい続ける。そう、「能動」は三浦の在り方そのものだと思う。(森)

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