RADWIMPS、ライブハウスツアーで再び覚醒するロックバンドとしての本能 北米ツアーを経て再会したファンとの熱狂の2時間

RADWIMPS、Zepp Haneda公演レポ

 6月から7月にかけて、RADWIMPSのライブハウスツアー『BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023』が開催された。彼らが国内でライブハウスツアーを行うのは、2015年以来8年ぶりである。改めて説明するまでもないが、この8年の間にバンドを取り巻く状況は大きく変わった。特筆すべきは、彼らが劇伴と主題歌を手掛けた新海誠監督の映画『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』の大ヒットで、今やRADWIMPSは問答無用の国民的アーティストとなった。そして今回、大きなスケールアップを果たした彼らが、久々に日本のライブハウスに帰ってきた。長きにわたるコロナ禍を経てついに観客の声出しが全面解禁されたこともあり、同ツアーにかけるメンバーの意気込みは相当に大きかった。北米ツアー、ヨーロッパツアーの直後から幕を開けたツアーであるにもかかわらずセットリストを大きく刷新して臨んでいることからも、その想いの深さが伝わってきた。本稿では、7月4日の東京・Zepp Haneda (TOKYO)公演(1日目)の模様を振り返っていく。

 1曲目は、コロナ禍で生まれた願いのバラード「ココロノナカ」だ。先行きの見えない混迷の日々の中で、一人胸の中で何度もこの曲の言葉を反芻していた人は多いと思う。野田洋次郎(Vo/Gt/Pf)のたおやかな歌声に乗せて歌い届けられる〈あの日々が来るまでは その時が来るまでは/楽しみを何百個と 書きためておくとしよう〉という切実な言葉たち。私たちは、またこうしてライブの場で再会できる日が来るのをずっと待ち続けてきた。そしてついに、〈その時〉が訪れた。〈いざ行こう さあハッピーエンドよ そこで待ってろ〉という結びの言葉にフロアから大きな拍手と歓声が巻き起こり、ここからRADWIMPSは、自分たちのロックバンドとしての本能を再び解き放っていくような怒涛のパフォーマンスを展開していく。

 いきなりトップギアのロックモード全開で届けられた「なんちって」「ソクラティックラブ」。野田は、ステージのフチのギリギリに立ちながら観客と熾烈なコミュニケーションを重ね、一切迷いなく次々とフロアにマイクを託しシンガロングを求めていく。そして、その想いに観客は全身全霊の歌声で応える。「調子はどうだい、東京!」「何も聞こえねえな!」という野田の激しいアジテーションと共に披露した「ます。」では、桑原彰(Gt)は、自らの持ち場を存分に使って何度も回転しながらギターを弾き倒し、武田祐介(Ba)は、ベースプレイの狭間で、観客に負けじと自らも何度も激しく拳を突き上げていく。そしてRADWIMPS流ミクスチャーロックの真髄「ハイパーベンチレイション」では、それぞれのメンバーが自らの渾身の演奏をぶつけ合い、激烈なバンドアンサンブルが立ち上がっていく。直近で北米ツアー、ヨーロッパツアーを経てきたこともあり、サポートドラマーの森瑞希、エノマサフミを含めた5人のバンドの息はぴったりだ。

 ここから、ミドルテンポの楽曲が続いていく。しかし、だからと言ってステージとフロアの一体感と高揚感が下がることはない。「指切りげんまん」では、フロアから自然と壮大な合唱が巻き起こり、「me me she」、そしてインスト曲「かたわれ時」から繋ぐ形で届けられた「そっけない」では、野田が歌いながら手を高く上げ、観客にシンガロングを要求していく。バラードでも、この場に集まった全員でライブを作っていきたいというメンバーの強い想いを何度も深く感じ取った(なお、「me me she」を披露する前に機材トラブルがあり、復旧するまでの間、野田がハナレグミの「おあいこ」を弾き語る嬉しいサプライズもあった)。

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