10-FEET×バスケに続くヒットは生まれるか? RADWIMPS、スカパラ、B'z 松本孝弘……様々な形でスポーツを彩る楽曲
2023年の上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート「JAPAN Hot 100」で5位にランクインした10-FEET「第ゼロ感」。この曲のヒットは言わずもがな、エンディング主題歌を務めた映画『THE FIRST SLAM DUNK』とのタイアップ効果によるものだろう。ドリブルを思わせる4つ打ちのリズムを基調としたロックナンバーで、試合シーンとのリンクも相まって大きな反響を集めた。同作ではオープニング主題歌にThe Birthdayの「LOVE ROCKETS」を起用しており、ロックの持つダイナミズムがスポーツのシーンにおいてもその迫力を増幅させることを改めて証明した。そこで今回はリアルな世界でスポーツを彩るロックバンドについて考察してみたい。
スポーツと音楽の関係性として大きな役割を果たしているのが、やはりテレビ中継のテーマ曲だろう。中でもロックシーンとの結びつきが強いのがサッカーだ。特に「NHKサッカーテーマ」ではこれまでサカナクション「Aoi」、Suchmos「VOLT-AGE」、King Gnu「Stardom」などを起用。同局の歴代オリンピック中継テーマ曲と比べてみてもロックバンド率が高いのは偶然ではないだろう。ちなみにサカナクションの「Aoi」は2013年のリリースだが、今年になって「北海道マラソン2023」のテーマ曲にも抜擢。異なるスポーツに同一曲が起用された珍しいケースである。
2011年、そんな「NHKサッカーテーマ」に「君と羊と青」を提供したのがRADWIMPSだ。2018年にはフジテレビ系のサッカー中継テーマ曲として「カタルシスト」を発表するなど、何かとサッカーには縁のある彼らが、新たにJリーグ30周年記念アンセム「大団円 feat. ZORN」を書き下ろした。ラッパーのZORNを迎え、「カタルシスト」でも見せていたヒップホップ的なアプローチを発展。サポーターの大合唱を連想させるシンガロングパートを全編に渡って配置しつつ、ZORNによるラップをフィーチャーしたミクスチャーサウンドを展開している。「運命なんてやつがもしも本当にいたとしても そいつにだって勝って目の前で書き換えさすだけ」と、強い気持ちで試合に向かっていくアスリートの精神性が描かれているのが印象的だ。リリースに先駆けて国立競技場で披露された同曲の演奏は、YouTubeで確認することができる。
サッカーと共に日本のスポーツ界における二大巨頭とも言えるのが野球だろう。球団歌や選手の登場曲など野球文化において音楽は欠かせない存在だが、中でも今年注目したいのは東京スカパラダイスオーケストラだ。まず最新作『JUNK or GEM』収録の「カルペ・ディエム~今日がその日さ」は「J SPORTS STADIUM2023」野球中継テーマソングとしてオンエア中。華やかなホーンセクションがファンファーレのように鳴り響き、今を生きることの大切さを茂木欣一(Dr)が爽やかに歌い上げるスカパラ流の応援ソングに仕上がっている。
他にもMAN WITH A MISSIONとのコラボ曲「Freak It! feat.東京スカパラダイスオーケストラ」は今年日本中を熱狂させた「2023 ワールド・ベースボール・クラシック」のAmazon Prime Videoでの中継テーマソングに起用。また最近では「第105回全国高校野球選手権大会」のテーマ曲「フォトグラフ」をEXILE ATSUSHI feat. 東京スカパラダイスオーケストラ ホーンセクション名義でリリースしている。甲子園と言えばブラスバンドが会場を盛り上げることでお馴染みであり、スカパラホーンズの起用は納得の一言だ。
さらに野球以外にもセンテニアル・パーク京都競馬場のCMには新曲「追い越してく星」が起用。2021年に開催された東京オリンピック閉会式での演奏も記憶に新しく、ホーンの音色一発でスカパラだとわかるその記名性の高さと、あらゆるシーンを盛り上げる圧倒的なパフォーマンスで唯一無二のポジションを築いている。