RADWIMPS、ライブハウスツアーで再び覚醒するロックバンドとしての本能 北米ツアーを経て再会したファンとの熱狂の2時間

RADWIMPS、Zepp Haneda公演レポ

 そしてここで、この日一つ目のサプライズが。野田が奏でる美しい旋律に導かれる形で十明がステージに現れ、フロアから大きなざわめきが起こる中、「すずめ feat.十明」が披露される。深淵な響きを放つ彼女の歌声によって、それまで熱しきっていた会場の空気が一瞬にして変わった。その鳥肌が立つほどに美麗な旋律は、映画の世界を彩る要素として今まで何度も耳にしてきたが、儚さと逞しさを兼ね備えた彼女の歌声は、ライブで聴くことで音源以上に深く胸に響く。何より、深く息を吸う音もビビッドに伝わってきて、シンガーとしての彼女の存在感をかつてないほどにはっきりと感じられた。まさに、ライブならではの気迫に満ちた素晴らしい名演だった。また、ライブ翌々日の7月5日、十明は自身が作詞作曲し、野田がプロデュースを手がけた「灰かぶり」でシンガーソングライターとしてデビューを果たしている。

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 もはや決闘のような壮絶なバンドセッションを経て、初期ナンバー「ヒキコモリロリン」「俺色スカイ」が立て続けに披露される嬉しい展開に続き、ここで2人目のサプライズゲストのaoを迎えて、4月にリリースされた楽曲「KANASHIBARI feat.ao」へ。音源で聴いた時も驚かされたが、中盤のパートを担うaoの堂々たる歌声に改めて痺れた。混沌としたサウンドをしなやかに乗りこなしながら届けられる彼女の歌声は、無垢でありながらも混迷の世界を貫くような鮮烈な響きを放っていて、そのまっすぐな響きに何度も強く心を動かされた。ラストのサビにおける野田とのハーモニーも本当に美しかった。

 aoがステージを去った後も鳴り止まない歓声を受けて、野田は「ここからの未来を生き抜くための元気として、俺の体に注入したい」と語った。そして、今回の8年ぶりのライブハウスツアーについて、「楽しいな」「これだ! と思いました」と胸の内の想いを伝えながら、こうして観客とライブハウスで再会することができた歓びを深く噛み締める。

 ここからライブはいよいよクライマックスへ。切実な愛を温かなメロディとバンドサウンドに乗せて送り届けた「Tamaki」、そして、その曲のギターリフを受ける形でシームレスに「オーダーメイド」へ繋いでいく。「05410-(ん)」「有心論」では、フロアから再び壮絶な大合唱が巻き起こり、そして「お前らに会心の一撃を見せてやる」という野田の言葉と共に本編ラストの「会心の一撃」へ。フロアから、まだ観客たちにこれほどまでのエネルギーが残っていたのかと驚かされるほどの絶唱が轟き、最後は「東京、飛べるかい!」という煽りを受けて、一斉ジャンプが巻き起こった。まさに、圧巻のフィナーレであった。

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 アンコールでは、当初予定していた楽曲から急遽差し替える形で「トアルハルノヒ」が披露された。〈ロックバンドなんてもんを やってきてよかった〉という一節が象徴的だったように、長いキャリアを重ねてもなお、現在進行形でロックバンドの青春を謳歌するメンバーの想いが伝わってきて、どうしようもなく胸がいっぱいになった。最後に野田は、この日のライブを振り返りながら、「この場にちゃんと置いてきた」「受け取った」と溢れる充実感を伝え、「DADA」のカオスティックな轟音を通して約2時間にわたったライブは熾烈な大団円を迎えた。

 総じて、RADWIMPSにとってのホームは、やはりライブハウスであることを熱い実感を通して思い出させてくれるような素晴らしいライブだった。ロックバンドとしての本能を再び覚醒させた彼らが、今後どのような活動を展開していくのか。期待して続報を待ちたい。

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