齋藤飛鳥、高山一実、鈴木絢音……乃木坂46で活躍広げた本格派の読書好きメンバー 宮田愛萌ら日向坂46&櫻坂46への影響も

 乃木坂46イチの読書家であり、3月28日の卒業セレモニーを最後にグループからの卒業が決定している鈴木絢音が、3月7日に初の書籍『言葉の海をさまよう』を発売する。そこで本稿では、卒業生も含めて坂道グループの読書好きメンバーの広がりに注目してみたい。

 橋本奈々未と共に乃木坂1期生の読書好きとして有名だったのが齋藤飛鳥。小学校高学年の頃に人間関係に悩んで、休み時間は図書室に通う習慣がついたことがきっかけとなり、読書に目覚めたという齋藤は、本を読むという意識はなく、スマホを見るのと同じくらいの感覚で自然に読んでいるという(※1、2)。好きな作家として、貫井徳郎、安部公房、澁澤龍彦、伊坂幸太郎などを挙げ、古典からSFファンタジーまで特にダークな作品を読むことが多いそうだが、以前『情熱大陸』(TBS系)では「好きな本を聞かれても人によって答えるパターンを決めている」「本当に好きな本は誰にも言わない」とも語っていた。ただ、それだけ自然と様々な作品を語れるほどの知識量には驚かされるし、2022年には『私の人生を変えた1冊フェア World meets KODANSHA』で『大江健三郎全小説 第1巻』を挙げるなど、業界人を唸らせた。

 乃木坂で初の小説家デビューを果たすなど、文芸ジャンルを切り拓いたパイオニアと言えるのが高山一実。2015年に雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載「乃木坂活字部!」をスタートし、湊かなえファンを公言する高山が作品の魅力を語ったり、メンバーを集めての読書会や一日書店員体験をするなど、本の世界の楽しさを世の中に伝えた。2016年より連載開始され、2018年に単行本として出版された小説『トラペジウム』は、「アイドルを目指す、ある女の子の10年間」について綴った長編青春物語で、累計発行部数は25万部を突破。(当時の)現役アイドルにしか描けない情熱や想いが描写された面白さが、湊かなえ、中村文則、羽田圭介らからも高い評価を得る。そこを皮切りに、元欅坂46で読書好きとして知られた長濱ねるが、2018年に『ダ・ヴィンチ』で直木賞作家・辻村深月と対談を行ったり、高山の『トラペジウム』についての感想文も寄稿。欅坂46卒業後の2020年9月からエッセイ『夕暮れの昼寝』を連載している。

 そして、乃木坂46最後の2期生である鈴木絢音は、「書店に行けば一冊は自由に買っていい」というルールがあるほど、親の影響で小学生の頃から読書をする環境に育ち、今や年間100~200冊を読んでいるという(※3)。ジャンルは小説やエッセイなど多岐にわたり、愛読書として筒井康隆『時をかける少女』を挙げているが、鈴木といえば仕事中も持ち歩くほどの“国語辞典好き”としても有名。『乃木坂工事中』(テレビ東京系)では、オススメの1冊として国語辞典をプレゼンし、編纂者によって辞典にも個性があることを熱弁をして話題に。各文芸誌で読書好きの著名人と対談するなど、読書好きアイドルとしての仕事を開拓していった。

 3月7日に発売される『言葉の海をさまよう』は、『小説幻冬』での対談連載が書籍化されたもので、辞書の編纂者、校正者、印刷会社、デザイナーなどとの対談集である。また、自身がこれまでどのように言葉や辞書と向き合ってきたかを振り返りながら書き下ろしたエッセイも収録され、これまで辞書の面白さを発信し続けてきた鈴木ならではの集大成といえるだろう。他にも鈴木は、ガンプラ好きであったり、飛行機好きアイドルとして『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)に出演するなど、趣味を仕事に繋げている印象が強かっただけに、グループ卒業後はさらに独自の路線で活動幅を広げていきそうだ。

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