HYBEのSMエンターテインメント株式買収で勢力図に変化? 韓国四大事務所、2023年の最新動向
2月10日、BTSなどが所属する韓国の大手芸能事務所・HYBEが、BoAや東方神起、少女時代などの所属するSMエンターテインメントの株式を買収することが発表された。これにより、HYBEがSMエンターテインメントの筆頭株主となる。韓国において、両事務所はYGエンターテインメント、JYPエンターテインメントを加えて「ビッグ4」と呼ばれることもある。それゆえ、現地では「K-POP巨大恐竜の誕生か」と報じたメディアもあるほどで(※1)、その動向は日韓だけでなく世界でも大きな関心を集めている。
そこで今回、韓国の四大芸能事務所の動向に着目し、2023年の最新テーマや話題を改めて整理したい。
「マルチレーベル戦略」でコンテンツ力強化を図るHYBE
JYPエンターテインメントから独立した作曲家のパン・シヒョクが創業したHYBE。複数の芸能事務所を傘下に置き、BTSやLE SSERAFIMなど、海外でも高い人気を誇るアーティストが所属している。
そんなHYBEの特徴は「マルチレーベル戦略」にある。2022年10月に株主向けに発表された経営方針の中では、傘下にある複数の独立レーベルが協力・競争を行うことで、コンテンツ制作力を強化したいと言及(※2)。今回のSMエンターテインメント買収もその戦略の一環にあるものと考えられる。
HYBEの公式発表によれば、2023年には4つ以上のグループが誕生予定(※3)。特に日本とアメリカでは、韓国でデビューしたグループを輸出する形ではなく、現地でK-POP方式のグループデビューに挑戦する意向が示されている。2月10日には『BIGHIT MUSIC NEW BOY GROUP AUDITION』開催も告知。世界のK-POPファンダム拡大に貢献したHYBEならではの、新たなスター誕生に期待がかかる。
独自の世界観を追求するSMエンターテインメント
元歌手で司会者のイ・スマンが立ち上げ、K-POP市場の成長に大きな役割を果たしてきたSMエンターテインメント。同事務所には、日本国内でもファンの多い東方神起や少女時代、NCTなどが所属している。
HYBEによる買収で変化が生じる可能性はあるものの、SMエンターテインメントは2020年より、未来のエンターテインメントの世界観として「SMカルチャーユニバース(SMCU)」を構想している。SMCUとは、仮想世界の中ですべての所属アーティストを物語として連結させていくという独自性の高いプロジェクトのこと。同事務所はこの実現に向けて、各グループのあらゆるコンテンツで没入性の高いストーリーを描きながら、新しいストーリーテリングに挑戦するとしている(※4)。
そんなSMエンターテインメントは、2月3日に公式YouTubeチャンネルで2023年の計画を発表。新人ボーイズグループとガールズグループ、NCT TOKYO(仮称)、SMCUにつながるであろうバーチャルアーティストのデビューを予定しているという。新人グループのコンセプトや世界観の打ち出し方に加え、既存グループとの関連性をどのように描いて事務所独自の世界観をつくりあげていくのかが、今年の注目ポイントになると言えよう。