NCT、aespa……“SMエンタ推し”が多いのはなぜか 既成概念にとらわれない経営方針と所属アーティストのスタイル

 SMエンターテインメント(以下、SM)の快進撃が止まらない。芸能界での経験が豊富なイ・スマンが1989年に設立し、自身の名前の頭文字を取って名づけたこの会社(当初の名称は「SM企画」/1995年に株式会社として法人登記)は、90年代後半から数々のビッグネームを輩出し、瞬く間にK-POPシーンの代名詞的な存在となった。その勢いは年を追うごとに加速し、最近では国連の提案に賛同を示し、サウジアラビアの政府要人とサウジポップ(S-POP)の可能性を話し合うなど(※1)、海外への目配りも忘れない。

 そしてここ数年、SMが熱心に取り組んでいるのがメタバース(仮想空間)だ。未来のエンターテインメントの中心的な役割を担うデジタル空間の中で、同社は『SMカルチャーユニバース(以下、SMCU)』と題したビジョンで様々な事業を予定している。すでに運営が始まっている公式ファンクラブ『KWANGYA CLUB』をはじめ、仮想国家の設立とその場所に参加できるパスポートの発行、多彩なIPコンテンツが体験できる空間『KWANGYA@SEOUL』『KWANGYA@LA』など、計画は多岐にわたる。

SMCU the Origin

 SMCUの世界観によく登場する用語=KWANGYAは、日本語にすると「広野」。具体的には「無規則、無定形、無限の領域」を指す。つまり、枠にとらわれずに自由に活動したいという気持ちの表明なのだろうが、実はこの姿勢はSMCUから始まったわけではなく、SMの公式創立時期である1995年前後にすでにあったのだ。

H.O.T. ‘전사의 후예 (폭력시대)(Age of Violence) MV

 1996年にイ・スマンが今までにないタイプのアイドルとして生み出し、事務所の躍進のきっかけとなったのが、男性5人組のH.O.T.だった。このグループはポップではない要素でヒット曲を作り、当時のK-POPシーンに多大な影響を与えている。アメリカの男性3人組ヒップホップグループ、Cypress Hillを思わせる暗めのヒップホップサウンドと、いじめをテーマにした歌詞、ヴィジュアル系バンドを意識したと思われる強烈なファッションセンスなどがそうだ。

 H.O.T.に続いて手掛けた女性3人組のS.E.S.も、ビジュアルはメジャー感が漂うものの、音楽面ではかなり攻めていたと思う。なかでも印象に残っているのが、2000年にリリースした「Be Natural」である。落ち着いたR&Bアレンジと韓国の伝統楽器を組み合わせて独自のムードを醸成。K-POPが進むべき新たな道を示した楽曲として現在でも評価が高い。

aespa 에스파 ‘Dreams Come True’ MV

 ちなみにS.E.S.を含むSMのオリジナル曲は、期待の所属アーティストがリメイクすることが通例で、過去にはRed Velvetやaespaなどがカバー曲をリリースしている。H.O.T.のヒットナンバーもSUPER JUNIORやBoAなどSMの後輩たちが歌っているところをよく目にするが、こうした伝統は先輩たちの功績をたたえるとともに「SMの基本理念を忘れないでほしい」という事務所からのメッセージも含まれていると推測される。

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