「星に願いを」に込められた“願い”を肯定する力 『ピノキオ』と共にディズニーの根幹を作った楽曲の功績
加えて、「夢を持ち、それについて願い、叶えること」はディズニー作品に一貫して描かれてきたテーマでもある。1940年にアニメーション版として公開された『ピノキオ』は「ゼペットが星に願い、夢を叶える物語」であり、その後もディズニーは時代に合わせ視点や表現を変化させながら同テーマを描き続けてきた。
特に『プリンセスと魔法のキス』(2009年)では、それまでディズニーが描き続けてきた「星に願う」ということだけに留まらないようなセリフも。もう待つだけではなく、自らの力で夢を叶えにいくのだという、より力強いメッセージへと変化を遂げている。本作では、主人公のティアナが星に願うシーンはあるものの、作品の軸は「本人が諦めずに努力を続けたことで夢を叶えた」としている。ディズニーは、作品によって多種多様な表現を用いたとしても、人々の「願い」を否定はしない。「願い」はやがて人に希望をもたらしパワーを与えてくれることは、変わらず大切にしてきた。「星に願いを」はこの短い楽曲とシンプルなメッセージに、人が「願い」によって得られる希望やパワーの可能性の本質を込め、長い時間をかけて伝え続けてきたのだ。
「星に願いを」が長く愛されてきた理由は、カバーアーティストが多いことにもあるだろう。海外ではビル・エヴァンス、ビリー・ジョエル、マイケル・ジャクソン、ビヨンセなどがカバーしており、本楽曲は様々なアレンジと麗しの歌声で人々の心に届けられてきた。男女問わず、年代も問わず、多くのアーティストにカバーされ、愛されてきたことがわかる。楽曲が持つ前向きなイメージと優しい曲調は、様々なシンガーの声質や個性を最大限に引き出しているようにも思う。それぞれに良さがあり、その良さをわかりやすくリスナーに届けてくれるのだ。
このように「星に願いを」はいつの時代も、多くの人に愛され、そして多くの人の「願い」を後押ししてきた。本楽曲がキーとなる『ピノキオ』もまた、長い時を経て2022年に再び多くの視聴者を魅了している。映画と合わせ、改めて「星に願いを」の良さを噛み締めてみてはいかがだろうか。
■リリース情報
『ピノキオ オリジナル・サウンドトラック』好評配信中
試聴・ダウンロードはこちら:https://disneymusic.lnk.to/PinocchioJapan
実写版映画『ピノキオ』はディズニー公式動画配信サービスDisney+(ディズニープラス)独占配信中
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