NUMBER GIRLは再び解散へ DOPING PANDA、ELLEGARDEN、THE YELLOW MONKEY…再結成したバンドの今

 NUMBER GIRLが12月11日のぴあアリーナMM公演をもって、「再び解散」する。

 解散から16年余、2019年2月15日に再結成を発表した彼ら。思いもよらなかった“NUMBER GIRLの存在する世界”の再来となった。そして、彼らのライブや、彼らがフェスに出演することが、贅沢ながら自然に感じられるようになってきた矢先の、再びの解散発表。向井秀徳のコメントには「再結成において大きな目的のひとつであったライジングサンロックフェスティバルへの出演を果たし、これを区切りとして各自の音楽活動に戻ります」とあり(※1)、「そうだった」、と今さら思い出した。再結成を発表した時の向井のコメントには「またヤツらとナンバーガールをライジングでヤりてえ」という、実に明瞭な目的が表れていたことを(※2)。しかし2019年、彼らが出演予定だった『RISING SUN ROCK FESTIVAL』初日は、台風の接近で公演中止に。そして、2020年、2021年の同フェスは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために開催中止となった。こうして考えると、2019年にライジングに出演していたら、もっと早く再びの解散が訪れていた可能性がある。向井はこの4年間を「とても楽しかった」と総括しているけれど、なかなか目的を果たせないもどかしさもあっただろう。ただ、こちらとしては長きにわたり“NUMBER GIRLの存在する世界”を再び味わうことができた。

NUMBER GIRL - 透明少女

 とはいえ、この4年間は、思ったようにライブができない世界でもあった。すでにライブシーンは動き出しているものの、やはり以前のような、揉みくちゃになったりシンガロングするような状況には戻れていない。私自身も、今年の『ARABAKI ROCK FEST.』のステージで彼らを観て、あの頃と同じ曲が、あの頃と違う聴かれ方をしている光景に、いろんな意味で“今”だと思った。ただ、そんな中でも、彼らは状況を超えていけるパフォーマンスをしていたし、オーディエンスの歓喜も肌で感じることができた。

 もうひとつ、向井秀徳のコメントにおける「稼ぎてえ、と切望しておりました」「この目的を全くもって果たせていない」という赤裸々な内容も話題を呼んだ。こと日本では金銭面に言及するバンドがあまりいないから刺激的だったし、彼らしいジョークとも受け取れるけれど、向井だから発信できるコロナ禍のバンドのリアルでもあったと思う。

 ただ、もちろん、NUMBER GIRLも含めて、あらゆるバンドの再結成の理由は「稼ぎてえ」だけではないはずだ。もっとも、「稼ぎてえ」という目的だけで再結成できるほど、バンドってシンプルではないと思う。たとえば、今年1月28日に再結成を発表したDOPING PANDA。再結成の目的が「稼ぎてえ」だったら、もう少し時期を見据えて動くと思う。でも、きっと今じゃなければいけなかったのだ。その証が、3月2日にリリースされた、すべて新曲のフルアルバム『Doping Panda』。これが、DOPING PANDAのクリエイティビティがあふれ出ている今だから叶った再結成だったのではないか、と思うほどの最高傑作なのである。『FUJI ROCK FESTIVAL '22』7月29日のWHITE STAGEにも、2012年の解散前には見られなかったような表情で、ピュアにバンドを楽しむ3人の姿があった。もっと言えば、世界を目標に突き進んでいたあの頃より、フジロックが似合うバンドになったと思う。

DOPING PANDA「Imagine」

 “今”という意味合いならば、10年の活動休止期間を経て2018年に再始動を果たしたELLEGARDENが、今年、再始動してからは初となるアルバムを制作しているところに関しても言えると思う。活動休止期間中も愛され続け、伝説と化していた名曲たちを、2018年以降は見事に今のものとしてライブで躍動させてきた彼ら。その“今”を新しい形に落とし込むタイミングを逃さないために、制作に突入したのではないだろうか。細美武士のブログ(※3)からも、メンバーと共に充実の日々を過ごしていることがうかがえる。

「Reunion TOUR 2021 ~Eat music in the same LIVE HOUSE~」Final at Zepp Haneda

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