ELLEGARDENとBRAHMAN、ライブハウスに刻んできた爪痕 Zepp Tokyo最後の日、歴史的対バンへの期待

 2021年7月。1999年の開業以来、数多くのバンドがライブを行ってきたZepp Tokyoが、2022年1月1日をもって営業終了することが発表された。理由は、Zepp Tokyoのある東京・臨海副都心エリアの再開発のため。コロナ禍で小さなライブハウスが苦境に立たされているなか、理由は違えど時期を同じくして、大規模ライブハウスの代表格といえるZepp Tokyoが営業終了するというニュースは、大きな衝撃を与えた。小さなライブハウスに収まりきらなくなったバンドが、次に立つ場所。そして、ホールやアリーナ、フェスなどといった、さらなる大きなステージへと羽ばたいていく場所。そんな架け橋のような立ち位置のライブハウスとして、Zepp Tokyoはたくさんの物語を生み出してきた。

 しかしZepp Tokyoは、その規模感から「ライブハウスであって、ライブハウスではない」と言われることもあった。そんなハコをライブハウスに「してきた」のは、ステージに立つバンドたちだったと思う。私自身が、その筆頭と感じているバンドがBRAHMANだ。おそらく2000年ごろから、何度も彼らのライブをZepp Tokyoで観てきた。先ほどの「ホールやアリーナ、フェスなどといった、さらなる大きなステージへと羽ばたいていく場所」という位置づけとは矛盾してしまうが、彼らはZepp Tokyoでライブを行うようになってからも、小さなライブハウスのステージに立ってきた。その一方で、大きなライブハウスやフェス、そして幕張メッセや日本武道館のステージにも立ち、そして現在はホールツアー『Tour -slow DANCE HALL-』を行うなど、表現や状況によって芯を揺るがさぬまま、しなやかな挑戦を続けている。

BRAHMAN「 Slow Dance 」LIVE

 バンドというものは、会場のキャパシティを通して階段を登り続けるものーーそんな私が抱いていたセオリーを壊してくれたバンドのひとつは、間違えなくBRAHMANだ。「ハコに選ばれるのではない、選ぶんだ」というような強い意志を感じた。その意志があったからこそ、BRAHMANはZepp Tokyoをライブハウスにすることができたのだと思う。どんなハコでも、彼らはギュッと距離の詰まったパフォーマンスを見せてくれたし、かと思えば孤高とも言えるスケールを感じさせてくれた。そういった意味では、まっさらに「ライブ」が楽しめる大規模ライブハウスのZepp Tokyoは、その両方を感じられる場所だったと思う。

 そんなZepp Tokyoで12月31日に行われる最終公演『Zepp Tokyo Thanks & So Long! FINAL』に、BRAHMANが出演。ELLEGARDENとのツーマンライブだ。BRAHMANのTOSHI-LOWと、ELLEGARDENの細美武士は、the LOW-ATUSとしても活動しており、2021年6月には1stアルバム『旅鳥小唄 -Songbirds of Passage-』をリリース。2人が固い絆で結ばれていることは、ファンなら周知の事実だろう。しかし2人が、BRAHMANとELLEGARDENという、“広く世に出て行った最初のバンド”で対バンするのは、奇跡的な出来事のように思える。

the LOW-ATUS「サボテン」MV

 そもそも、ELLEGARDENが2008年に活動休止するまで、BRAHMANと交わるイメージは正直なかった。どちらもライブハウスを拠点としていたものの、バンドとしての世代や、音楽性、雰囲気……まあ、結局なんとなく目に見える限りのいろいろなところが別モノだと、私が勝手に決めつけてしまっていたのかもしれない。しかし2011年の東日本大震災をきっかけに、足繁く東北を訪れるようになった細美とTOSHI-LOWは、交流を深めていく。そして2018年、ELLEGARDENが活動を再開。3年余りが経ち、Zepp Tokyoの最終公演というメモリアルなタイミングで、満を持してELLEGARDENとBRAHMANの対バンが実現することになった。

Make A Wish [from THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018@ZOZOマリンスタジアム]

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