少女時代、TWICE……K-POPアイドルの長期活動、なぜ可能に? 韓国芸能界に変化が
またもうひとつの理由として、韓国のアイドルのファンダムの質の変化や、規模が格段に大きくなってきていることもある。2000年代前半までのK-POPアイドルは、CDアルバム以外のソフトや公式グッズが出ることは日本のアイドルと比較してもかなり少なく、トップクラスのグループでなければ単独コンサートを開くことも難しかった。世間的に、アイドルが必ずしも“儲かるビジネス”とみなされていなかったふしがある。
これは主にアイドルのターゲット層が国内の10代に限られていたから、という部分が大きい。2010年代以降は海外まで活動を広げるようになり、韓国内の景気の上昇やアイドル文化の成熟に伴って国内のファン層も20代以上まで拡大し始め、国内外で確実にアイドルの“オタ活”にお金を使うファンダム規模が大きくなっていった。結果、大衆人気に左右されずにファンの中だけである程度の規模の消費行動がされるようになったことで、経済的な面で長期間活動しやすくなっていると思われる。
K-POPアイドルファンが世界中に拡大したことで、インフルエンサーとしての影響力の大きさが認められ、ハイブランドのモデルやアンバサダーとしての仕事も増えてきている。このようなことも結果的にソロ仕事の拡大に繋がっているだろう。一方で、日本と韓国の共通点として、ソロよりもグループの方がファンダムが大きくなりやすいために、アイドルとして活動するのであればグループを軸においてソロ活動をする方がファンからの支持も長く続きやすいという事情もあるだろう。
このように、海外での人気の拡大やアイドルの仕事のバリエーションの広がりの結果、韓国内でのアイドルに対する社会的な目線やファンの考え方も変わってきている。兵役の期間自体が徐々に短くなっていることもあり、年齢に関わらず「グループが存続する限りは応援する」というケースが増えている。また、BIGBANGのようにアーティスト的な支持を受けるグループの場合、5年という長い休止期間の後に出した楽曲が大衆的にも大ヒットすることがある。
海外での大きな人気拡大という点はK-POP独自の背景だが、韓国社会の経済的・文化的な変化や、アイドル文化の成熟がK-POPアイドルの活動期間に影響しているという点は、時代は違っても日本のアイドルと同じような流れを通っているのではないだろうか。